バイクエンジンの基本やトリビア、歴史を彩った名作などを詳しく解説
まずはエンジンの基本から。「バルブ形式」と「ストローク」を知ろう
エンジンの個性はバルブ形式で変化する
高回転・高出力を目指して大きく変化したのがバルブの駆動方式。’70年代、SVはすでに淘汰されていたが、OHVからDOHC まで急速に進化した。
SV(サイド・バルブ)
吸排気バルブをピストンと並べて配置。燃焼室が大きいため高圧縮による高回転化が望めず、現在はほぼ消滅。
OHC(オーバー・ヘッド・カムシャフト)
高回転時の“プッシュロッドの踊り”を解消するためカムをバルブの上に配置。カムが1本なのでSOHCとも呼ぶ。
OHV(オーバー・ヘッド・バルブ)
吸排気効率の向上と燃焼室の小型化(高圧縮化)を狙い、バルブをピストンの頭上に配置し、プッシュロッドで開閉。
DOHC(ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト
OHC以上の高回転化を狙い、吸気と排気バルブを独立したカムで開閉。バルブ直押し式とロッカーアーム式が存在。
4ストロークはクランク2回転、2ストロークは1回転で爆発する
4ストロークエンジンは、ピストンの動き1行程ごとに吸気、圧縮、爆発、排気を行う。クランク2回転、すなわちピストンが4行程で1度爆発。対する2ストロークエンジンはピストン上昇時の1行程で吸気と圧縮、下降時の行程で爆発と排気を行うため、クランクが1回転(ピストンが2行程)するごとに1度爆発する。
4ストローク
(1)ピストンの下降による負圧で開いた吸気バルブから混合気を吸う→(2)ピストンが上昇して混合気を圧縮→(3)プラグで点火・爆発してピストンを押し下げる→(4)ピストンが上昇し、開いた排気バルブから排気ガスを排出。
2ストローク
(1)ピストンの上昇とともにクランクケースがポートから混合気を吸い、前行程で燃焼室に吸気した混合気を圧縮→(2)爆発後にピストンが下降しながらケース内で混合ガスを圧縮するとともに、ポートで吸排気を同時に行う。