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これが 『スーパースポーツVer.5.0』の定義だ!スーパースポーツの最新技術をまとめた

Ver.5.0時代は『超絶パフォーマンスに誰もが触れられる悦び』なのだ 編集部は勝手にではあるが、昨今の最新スーパースポーツに新時代が到来したとし『Ver.5.0時代』を宣言している。前回は、『Ver.5.0』時代を抑える前に、これまでのVer.1.0~4.0を振り返ったみたが、今回は核心の『Ver.5.0』を検証・考察していこう。

絶対的な速さを使いこなそうなどと考えるのはナンセンス。その速さを生み出す技術や思想に、誰もが触れられるのがスーパースポーツバージョン5.0の醍醐味と存在意義。ライダーならば“知らずに終われない”バイクなのだ。

スーパースポーツの世代を、誠に勝手ながら区切らせていただき、最新モデルを「Ver.5.0」と定義させてもらう。手前味噌で恐縮だが、10年前に、当時のスーパースポーツを「Ver.4.0」とした流れを踏襲しただけだが……。 じつのところ4.0と5.0の境界は、けっこう曖昧かもしれない。

おおむね10年前、電子デバイスや高出力化で欧州製のスーパースポーツが国産勢に真っ向から挑んできた図式と、昨年来からのスーパースポーツ界の流れは、かなり似通っていると思えるからだ。 しかし、前ページで大きな写真で紹介するドゥカティのパニガーレⅤ4RやBMWのNEW S1000RR等の進化とインパクトは、Ver.4.0を大きく凌ぐ。スーパースポーツは、メーカーが持てる技術を結集して生み出す頂点モデルだから、高いパフォーマンスを有するのは当然と言えば当然だが、そのレベルがあまりに突出している。

MotoGPマシンに迫る驚異の超高回転! 

パニガーレV4Rのレブリミットは1万6500rpm(6速)。WSB開幕戦から連勝し、MotoGPマシンを凌ぐタイムを叩き出した。MotoGPにもっとも近い市販車だ

ご存知の方も多いだろうが、パニガーレⅤ4RはWSB開幕戦から6レースに勝利したが、開幕戦のベストタイムは同社のモトGPマシンを超えている。また4シーズン連続でWSB王者のJ・レイ選手とZX‐10RRも、開幕戦で勝利こそ逃したが、驚異的なベストラップを叩き出している。両車ともいかにワークスマシンとは言え、ベースは市販モデルなのだから驚く。

そして、そんな驚異的なスーパースポーツを、我々一般ライダーも手にすることができるのだ。……が、この事実に歓喜する素直なライダーがいる半面、あまりに飛びぬけた性能に〝不要論〞を唱える方も少なからずいる。昔気質のライダーの中には「乗りこなせないなら無駄」と思う方もいるだろう。だが、誤解を恐れずに言えば、最新スーパースポーツの性能を〝使いこなす、乗りこなす〞のは、それこそモトGPやW SBのトップライダーでなければ(もちろん、走る場所もサーキットに限定される)不可能なので、そこで論じるのは意味がない。

IMU(慣性測定装置)とスロットル・バイ・ワイヤがライダーを優しくサポート

IMUで車体の動的な姿勢をリアルタイムで把握し、スロットルの開け閉めでトラクションコントロール等の電子デバイスを緻密に制御。これがあるから誰もが安心して乗れる

また「自分にはとても無理……」と躊躇する方もいると思うが、最近バイクに乗り始めたビギナーではなく、もしかするとVer.2.0〜3.0当時の〝キビしいスーパースポーツ〞に乗って、心が折れた(失礼)ライダーではないだろうか?

じつはVer.5.0は、WSBレースへの参戦を前提にした驚愕のスペックを持つが、かつてのレースベース車(00年頃のレースに特化した750㏄の専用車両)などとは、かなり立ち位置も広義としてのパフォーマンスも異なる。電子デバイス群(走行モードやトラクションコントロール、ABS。一部のモデルでは電子制御式サスペンションも)の設定を正しく選択すれば、一般ライダーが不安なくスポーツ走行を楽しめるからだ。

軽量なエンジンパーツがハンドリングと勝利に貢献

ZX-10RRは従来のスチール製より102g軽量なチタン製コンロッドを採用。クランクシャフトの慣性モーメントを低減し、コーナー進入時のハンドリング特性を高めている

こう書くと「デチューンしてまで乗りたくない」と言われそうだが、これはライダーをサポートする割合が増えたり、特性を変化させているだけなので、カン違いして欲しくない。 たとえば最新スーパースポーツの走行モードは、レインを除けばどのモードでもフルパワーを発揮し、スロットルの開け方に対するレスポンス特性を変化させているモデルも多い。

要するに「スキルが高くないと性能を使えない」のではなく、「誰もが超絶的なパフォーマンスとは何か?を感じられる」ことに意義があるワケだ。 Ver.5.0は、バイクの〝今と未来〞を味わうための乗り物と認識するのが、正しいかもしれない。

最新機構を付加しながらエンジンは一層コンパクトに!

BMWの新型S1000RRは、カムシャフトの切り替え機構を加えたにもかかわらず、エンジン重量を4kgも軽量化し、コンパクト化(驚くほど前後長が短い)も図った

Column WSB開幕戦で、MotoGPに迫るタイムが炸裂!

開幕戦フィリップアイランドはA. バウティスタ&パニガーレV4R の圧勝だったが、注目すべきは上位陣のベストタイム。トップのJ. レイ&ZX-10RR は、昨年のMotoGPのM.マルケス& RC213V のわずか0.214 秒遅れ!コンディションの違い(フィリップアイランドでのMotoGP 開催は南半球の冬にあたるので気温や路面温度が低く、WSB 開幕戦は時期的に良好)があるので単純比較はできないが、とはいえMotoGPマシンと市販車ベースでこの差は驚き。ちなみにバウティスタは昨年MotoGPフィリップアイランドに参戦したデスモセディチ全車を凌ぐタイムを叩き出している。

Column WSBの“回転数制限”ってナニ?

性能均等化の目的から回転数制限が設けられており、STD 車の3 速及び4 速のリミッター作動回転数の平均に+ 3%か、最高出力発生回転数に+1100rpm の低い方を適用。各車で上限値は異なるが、決して“カワサキいじめ”とか“ドカ優遇”ではないコトを忘れずに!

Column 気になる“パワー・プライス・レシオ”は?

“プライスも性能のひとつ”という見地で比較(数値が小さいほど高性能!?)するとGSX-R1000R がかなり優秀で、新型が“ほぼ価格据え置き”のS1000RR も素晴らしい値。ちなみにパニガーレV4R はブッチギリで高値だが、STD 仕様のV4なら1.243 なので意外と現実的。

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