1. HOME
  2. バイク
  3. 16年シーズンをプレイバック【最新技術を振り返るMotoGPマシン】加速にこだわった 2016 SUZUKI GSX-RR

16年シーズンをプレイバック【最新技術を振り返るMotoGPマシン】加速にこだわった 2016 SUZUKI GSX-RR

シーズン中にフレームを変更し加速にこだわった 2016シーズン SUZUKI GSX-RR 並列4気筒エンジンを搭載するスズキのMotoGPマシンは、’15年からチャレンジを始めたばかりだが’16年には第5戦フランスで3位表彰台を獲得。そして第12戦イギリスにおいて、マーベリック・ビニャーレスが初優勝を独走で飾った。日本車勢トップの最高速も記録するようになるなど、大きく進化したのだ 好評だった「GSX-R1000/R」の開発・試乗会の短期連載の引き続き、今回もGSX-Rをフラッシュバックする。シリーズの頂点に立ち、再びMotoGPに復帰し、表彰台と優勝を獲得した’16年のマシンを振り返る。シーズン中にアップデートを繰り返し、加速にこだわったスズキ最強マシン、その技術を詳細に紹介していく。 2017年4月号より

2年目の’16年モデルの並列4気筒エンジンは課題の出力を確実に向上させた さらに加速力を上げるためフレームも変更シーズン中のアップデートも行う

シーズン途中で’16年型フレームを投入

’16年のスズキはシーズン中のエンジンアップデートが可能だったため、第7戦カタルーニャで新しいスペックを投入。ただし、開幕前に十分な出力アップを達成しているので、微調整の範囲だ。一方、シャシーはエスパルガロが’16年用スペックを積極的に試したが、開幕の段階ではエスパルガロ、ビニャーレスともに’15年仕様を選択。「少し振りすぎた」という’16年型シャシーは’15年仕様との比較テストを継続したうえで、改良版を第7戦で投入した。

インライン4を搭載しながら非常にスリム

並列4気筒エンジンを搭載しながら、スリム&コンパクトに仕上がっているGSX-RR。実際、V4のGSV-Rから、カウル幅は変わっていない。GSV-Rとは’02年のMotoGP初年度から参戦したマシンで、’07年には優勝。800㏄最終年の’11年シーズン終了後に、スズキは参戦休止を発表。

液晶メーターは統一ECUを供給するマニェッティ・マレリ製を使用。カーボン製カバーが装着されているトップブリッジは、フロントタイヤの微細なフィーリングを感知するためのセッティングアイテムであり、オフセットはもちろん、剛性バランスを工夫。左ハンドルのスイッチは内側がメニュー選択用、外側にアップ&ダウン用を設置。

スイッチの下にはレバーがあるが、これはシームレスミッションのニュートラルを出すためのもの。右ハンドルのスイッチは、上からローンチ・コントロール、キルスイッチ、ピットレーン走行用、テールランプ。ウイングレットはサイドカウルにも設置されている

オーリンズ製のサスペンションとブレンボ製のブレーキシステムはMotoGP標準ブランド。ミシュランの17インチタイヤに対応するホイールはMFR製だ。回転センサーがボトムケース下部に2つ並べて設置される。スイングアームも独特のデザインだ。

ピボット部から後方に向かって広がり、大きなRを描いてアクスルを支持。リヤショック下端のリンクは、スイングアームから伸びる、長さ調整可能なロッドから入力される。リヤアクスル上部に回転センサーが設置されていて、カバーで保護する。ブレンボ製ブレーキキャリパーのステーとチェーンアジャスターは一体パーツで、肉抜きだけでなく繊細な曲線を描くなどデザイン性も高い。

エキゾーストは4-2-1集合。ステップ周辺はカーボン製カバーで熱を遮断。ブレーキペダルはフットレストと同軸で、ベースプレートとフットレストはブラック仕上げ。フットレストには精密な滑り止め加工を施す。スイングアームピボットは、カラーを入れ替えることで位置調整が可能。ステップはベースプレートに位置調整用の穴を設けつつ、ホルダー~フットレストの3点構成。ライダーの操作を妨げない面取りが美しい。

リヤショック上端はフレームにマウントされている。減衰力特性を迅速に変更できるTTXだけでなく、圧縮空気でジャッキアップするプリロードアジャスターも備える。ショック左側にはストロークセンサーを設置

タンクカバーの内部は公表されていないが、前半がエアボックス、後半~シート下が燃料タンクという構成で間違いないだろう。’16年の燃料タンク容量は全車22リットルで、’15年まで24リットルを搭載できたスズキにとっては減少になるが、燃費で問題が発生することはなかった。テールカウルはインライン4になった時点で極めてコンパクトな形状に

関連記事