今、”3気筒トライアンフ”がバイク界の勢力図を変えようとしている!
19世紀の末に誕生して20世紀に隆盛を極め、一度は歩みを止めたトライアンフだが、21世紀になった今、再びかつての勢いを取り戻している 昔となんら変わることなく、イギリス人によるイギリス製であることにこだわり続け、伝統と革新を行き来しながら歴史を育んできた ここからはその魅力にあらためて触れていこう。
いまトライアンフが熱い! イギリスの伝統と革新
クラシカルだけど中身は最新! Twin 2気筒、病みつきになる独特の脈動 Triple 3気筒
ラインナップを毎年拡大!
特に2000年代に入ってからというもの、積極的にニューモデルを発表。現在、左の5つのファミリーを軸に幅広く展開している。
TRIUMPH FACTORY CUSTOM
特別なパーツやスペックを盛り込み、専任の職人技が光るプレミアムなメーカーカスタム。現在3機種をラインナップする。
ROADSTERS
俊敏なハンドリングとアグレッシブなデザインがバランスしたハイパフォーマンスネイキッド。すべて水冷3気筒エンジンを搭載。
ROCKET3
量産市販車中、最大排気量となる2500㏄の水冷3気筒エンジンを搭載した究極のクルーザー。劇的な改良を経て復活したばかりだ。
ADVENTURE
世界中のツアラーの冒険を支えるオールラウンダー。この4月からは新型のタイガー900がラインナップに加えられる予定だ。
MODERN CLASSICS
現在9機種を揃えるトライアンフの主軸。味わい深く、美しいバーチカルツインを搭載する正統派ネオクラシックとして人気を誇る。
これぞライトウエイ トスポーツ! ROADSTERS STREET TRIPLE RS
2007年に初代モデルが登場して以来、着実にアップデートが 繰り返されてきたストリートトリプル 。その最新にして最良のモデルがこのRSである。そこにあるのは群の抜くフレキシビリティだ。
すべてを手の内に収め 自在に操れる歓び
なんら気遣うことなくクラッチをラフにつないでも、一切嫌がる素振りを見せることなく、力強く車体が押し出される。アルミツインスパーフレームに搭載されている3気筒エンジンは、ディーゼルのように低回転で粘るのだ。それでいて、スロットルを大きく開ければ1万2000rpmオーバーまでスムーズに到達。3気筒の美点として、「2気筒のトルクと4気筒のパワーを両立」と語られることがあるが、その手本のような仕上がりを持つモデルが、このストリートトリプルRSである。
また、このモデルには熟成という言葉もふさわしい。07 年の初代モデルから数えてこれまでに大小5度の改良が施され、その度に着実に進化。スクラップ&ビルドを好まず、元々の素材を大切に育もうとするイギリス人気質が各部に見て取れる。
とはいえ、エンジンの中身にはかなり手が加えられている。排気カム、クランクシャフト、バランサーなどが見直され、8000rpm付近のパワーとトルクが9%向上。最大トルクの発生回転数は1500rpm近く引き下げられたことも手伝って、この排気量帯では抜きん出た扱いやすさを見せる。それをサポートするのが、軽量コンパクトな車体だ。平均的な体格の男性なら足着き性は極めて良好で、マフラーのショート化などによるマスの集中化のおかげで引き起こしにも取り回しにも緊張感はない。
走り出してもその印象は同様だ。軽いがタイヤの接地感は豊富に伝えてくれるハンドリングにおかげで、コーナリングは自由自在。初めてのワインディングでも、とりあえずコーナーに入ってしまえば、あとはなりゆきに任せてしまえるほど、自由度が高い。曲率がきつくなっていればバンク角を足せばよく、さらに旋回力が必要ならブレーキレバーに少し触れるだけで、狙ったラインをき れいにトレースしていく。
多くのライダーが苦手とする、そうした操作をフォローしてくれる懐の深さが心地よく、いつまでも乗っていたくなる。すべてを自分の意志とスキルでコントロールしているという快楽を強く感じさせてくれるコーナリングマシンだ。見た目はアグ レッシブながらフレンドリー。それがこのモデルの魅力である。
ROADSTERS/STREET TRIPLE RS DETAIL
Moto2にエンジンを供給 そのレプリカであるデイトナは完売
Moto2マシンに搭載されているエンジンが、他でもないストリートトリプルRS用のものだ。トライアンフはその雰囲気を色濃く反映したモデル「デイトナMoto2 765」を2019年夏に突如発表。世界中のファンからオーダーが殺到し、瞬く間に完売した。Moto2用にチューニングされたエンジンの最高出力が140ps程と言われているが、このモデルは130ps を発揮。ドライカーボンの外装が凄みを効かせている。価格は235万円だった。
大排気量3気筒のスピードトリプルや100万円を切る入門モデルも用意
ストリートファイターは今やひとつのカテゴリーとして定着しているが、その先駆けとも呼べる存在が「ロードスターズ」と呼ばれるこのシリーズだ。これから注目すべきは、戦略的な価格設定を持つ末弟のストリートトリプルSだろう。
STREET TRIPLE S 99万9000円
STREET TRIPLE R Low 126万7000円
SPEED TRIPLE RS 194万8500円