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ついに復活 ! 先進の電子デバイスで武装したHONDA CBR600RR

しばらくラインナップから外れていたホンダのミドルスーパースポーツ「CBR600RR」の名が久しぶりに復活し、 9月25日から発売が始まっている。エンジンや車体の基本構造は踏襲しながらも先進の電子デバイスで武装。このクラスにかける意気込みを開発スタッフに訊いた。

狙うのはサーキット最速の座 新型ミドルスポーツに賭ける意気込みとは!?

先頃、新型CBR600RRの技術説明会が開催された。オンラインではあったが、 6名の主要なスタッフを中心に多数の開発エンジニアが一堂に会し、このモデルに対する意気込みがうかがえた。 CBR600RRは、13年型の時 に大きなテコ入れをしている。

つまり、今回が7年ぶりのモデルチェンジということになるが、型式名PC40で分類すると、オリジナルは07年型までさかのぼることができる。意地悪な見方をすれば、そこから13年が経過してなお、全面的な刷新には 相当しないということだ。とはいえ、前号でも新技術の一部を紹介した通り、設計変更はかなり多岐に渡る。特に電子デバイスの充実はこのクラスのマシンとしては抜きん出たもので、CBR1000 RR‐R SPとの近似性も高い。

ここに至るまでの経緯を開発責任者の石川譲さんやテスト領域責任者の堂山大輔さんらに説明してもらったが、特に堂山さんは「アジア選手権では16年以来、タイトルから遠ざかっており、動力性能でも車体の安定性でもラップタイムでもライバルの後塵を拝してきました。これらの問題を解決するため、根っこからレーシングマシンとして仕立てることにしたのです」と語り、王座奪還を明確に宣言。

その口ぶりからは、完成度に対する自信が滲み出ていた。 実際のインプレッションは次回掲載する予定だが、技術説明資料の中で気になった部分に関して質問してみたのでお届けしよう。

The Voice of Engineer 開発者を直撃! 新型CBR600RRにまつわるQ&A

CBR600RRは国内外のプロダクションレースで活躍しエンジンはMoto2マシンにも採用された、名車にして名機だ。果たしてその最新型はどんな仕上がりなのか?試乗会に参加する前に、いくつか質問を投げかけてみた。

Q.正直なところ600㏄クラスのスーパースポーツはやや存在感が希薄になっています。そんな中、モデルチェンジを敢行した意義とはなんですか?

9月に発売した 2020 CBR600RR

A.ご存じの通り、アジア太平洋地域のロードレース人気はかなりのもので、特にSS600クラスで勝てる高い戦闘力のマシンを投入してほしいという声が盛り上がっていたことが改良の出発点です。この地域に一般市販車として600㏄クラスを投入するのは初めてなので、販売面でも期待しています。また、日本向けには今一度、操るよろこびを体感して頂きたくラインナップしました。ジャストサイズのスーパースポーツとして広く楽しんで頂きたいですね。

Q.新採用のウイングレットはCBR1000RR-R SPともRC213Vともまったく形状が異なります。イメージが踏襲されなかったのはなぜですか?

CBR600RR
CBR1000RR-R SP
RC213V

A.ご指摘はよく分かります。RC213VやCBR1000RR-Rのボックスタイプも、今回のCBR600RRに採用した単翼タイプも狙っている効果は基本的に同じです。車体の安定性向上がそれですが、600ccク ラスの場合はエンジン出力がそれほど高くないため1000ccクラスほどウイリーに対する抑制が求められていません。また、あまり大型になったり、ウイングの枚数が増えると、このクラスのマシンに本来 備わっているべき俊敏なハンドリングが阻害される ため、テストの結果ご覧の形状に落ち着きました。

Q.出力特性を見ると従来モデルより大きく落ち込んでいる領域があります。扱いにくくなっていませんか?


A.吸気側と排気側の両カムシャフトのオーバーラップ角、吸気管の見直しなど、いくつかの要因が重なって出力特性がより高回転型になったからですが、TBW(スロットルバイワイヤ)の採用によってセッティングの幅が広がり、スロットル操作に対する追従性が向上しているのでご安心ください。

Q.パワーセレクターのレベルによって最高出力も変化するのでしょうか?


A.このグラフではそう見えますが、ギアが6速の時は全Levelでフルパワーに達しています。ではなぜこうなっているかというと、Level3~5では1速から3速のギアで段階的に出力を抑制しているからです。具体的な例をひとつ挙げると、Level5の1速では最高出力が70%相当に制限されています。

Q.ホイールベースが長くなるディメンションなのに 実際には短くなっているのはなぜですか?



A.’16年型比でキャスターが0.51°寝て、スイングアームが3mm長くなっています。確かにここだけ見るとホイールベースは長くなる方向ですが、ファ イナルやタイヤの変更、フォークの突き出しなど、レーサーに仕立てる時のセッティング幅を確保してあるため、こういう数値になっています。

Q.クイックシフターが オプションなのはなぜですか?


A.走行環境やお客様の好みなど、多種多様なリクエストがあります。それを踏まえ、各々の要望に応じて選択して頂けるようにオプション設定としました。この辺りの考え方は、CBR1000RR-RのSTDモデルも同様です。

歴代ミドルCBRの変遷

1992 CBR600F 600ccを国内へ投入
1999 CBR600F アルミフレームの採用
2001 CBR600F4i インジェクションの採用
2003 CBR600RR RC211Vの技術を採用
2007 CBR600RR マスの集中化を徹底
2013 CBR600RR MotoGPの空力技術を投入

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