新たな“最強”伝説がはじまる! 新型 Ninja ZX-10R/RR デビュー
カワサキで最もピュアなスーパースポーツ、NinjaZX-10R/RRがモデルチェンジ。イメージを一新するニューデザインのカウリングにはウイングレットを新たに装備される。予想される日本でのリリース時期は21年春。それまで待ちきれないライダーに向け現時点で判明しているスペックをお届けする。
The King Evolved 進化する “最強” 新型 Ninja ZX-10R/RR デビュー
カワサキはいつの時代もイノベーターだ。世界に衝撃を与えるモデルをリリースしては、ムーブメントをリードし続けてきた。何度目だろうか? またもや巨大なインパクトを備えたバイクを送り出してきた。それが、この21年型ニンジャZX-10R(以下、ZX10 R)だ。
ツラ構えは、異相と呼んで差し支えない存在感。だがもちろん、奇をてらいファッション性だけが優先された形ではない。斬新なカウルのデザインは、エアロダイナミクスを追求して生み出されたものだ。 なぜなら、このマシンはZX10R。市販車を改造して争われるプロダクションレースの世界最高峰、SBK(スーパーバイク世界選手権)で怒涛の6連覇を達成し、これからも勝ち続けるための武器なのだから。
だが、スペック上は大きな進化は認められない。エンジンと車体の基本コンポーネンツは従来モデルを踏襲。エンジンは内部パーツを一部変更し補記類には手が加えられているが、フレームとスイングアームに関してはそのまま。ただしディメンジョンは変更される。
変えるべきところは大胆に、変える必要のないところは手を加えない。エクステリアはアヴァンギャルドだが、実のところ手堅い方法論で作られている。ソコにも、遊びのない〝本気”が伺える。 新しくなったZX10R、 コイツも間違いなく速く、そして絶対に強い。
全く新しいエクステリア、キーポイントはインテグレートウイングレット
“伝統と革新” 従来モデルをベースに 新技術を投入
POWER UNIT
ZX-10Rのエンジンの基本設計は従来モデルを踏襲している。203psの最高出力は変わらず、最大トルク11.7kgf・mにも変更はない。レブリミットはZX-10RRより1000rpm低い13700rpmとなっている。 パワーデリバリーのマネジメントは、トラクションコントロール、ローンチコントロール、電子制御式ABSなどを包括したシステムである KCMF(カワサキ・コーナリング・マネジメント・ファンクション)を搭載。トラクションコントロ ールのKTRCは、タイヤのスリップを防止するだけでなく、有り余るパワーを確実に路面に伝える、予測・フィードバック型のシステム。新たにクルーズコントロール機能も追加された。
CHASSIS
フレームとスイングアームは、基本的には先代モデルと共通。変更の必要なしと判断されたためだ。ただしジオメトリには手が加えられている。フロントフォークのオフセット量を2mm増大させ、トレール量を2mm減少。加えてピポット位 置1mm下げリアのアクスル位置を8mm後退させたことで、ホイールベースは10mmロングになった。これは評価の高かった安定性はそのままに、旋回性向上とハンドリングの軽快さを狙ったもの。ジオメトリの変更は、フォークオフセット量の変更を除けば車体に装備するアジャスト機能の範囲内で行われているもので、元来の車体設計が素晴らしかったことを証明している。ハンドル位置は10mm前進、ステップ位置は5mm上げられた。
The King Evolved Ninja ZX-10R/RR
従来型では水冷式だったオイルクーラーは空冷式に変更。オイルの冷却経路が独立したことで、油温の立ち上がりと冷却効率が向上。レーシーなルックスもスパルタンなイメージを強調する
リアサスペンションはカワサキ独自のホリゾンタルバックリンクレイアウト。BFRC Liteショックユニットはスプリングレートが上げられ、ダンピングは伸/圧共にソフトに変更された
小さくても効果絶大 フロントを路面に押し付ける ウイングレット
リバーススラントデザインが新鮮なカウリング。ヘッドライトの外側にある開口部が、インテグレーテッドタイプのウイングレットだ。独立型に比べれば目立ちにくいパーツだが、その効果は高くダウンフォースは17%向上している