MotoGPマシンから市販車まで貫かれる、”ライダー最優先の開発思想”|GSX-S1000GT&Hayabusa
マス集中だけではない絶妙な重量バランス
ツアラーだけあって、快適装備が盛りだくさんのGSX-S1000GT。専用に強化されたシートレールや大型カウルなどの装備により、車重はベースとなったGSX-S1000に対し12kg重量増の226kgもある。
しかし、そのことがまったくネガになっていない。増加した重量を最適に配置することで、ライダーを疲れさせない落ち着いた挙動を実現。重さを使いこなし、ツアラーにふさわしい乗り味にしているのだ。
これは最新MotoGPマシンの開発思想とまったく同じ考え方だ。マスを集中させるだけではなく、うまく分散させることで狙った通りの特性を得る。GSXRRで得た経験が、GTにも生かされていると感じた。
ハンドリングは思いのほかキビキビしている。ここはS1000のキャラクターがそのまま受け継がれている部分だ。ブレーキングでの制動力の立ち上がり方、それに伴ってのサスペンションの動き、そしてスロットルレスポンスなど、すべての操作にリニアリティがあり、非常にレベルが高い。ツアラーというカテゴリーだが、ベースマシンのスポーティさが楽しい。
S1000では少しスポーティすぎると感じる人、そしてもちろんロングツーリングをしたい人にオススメできる1台となっている。
(青木宣篤)
GSX-S1000GT
- エンジン:水冷4ストローク直列4気筒4バルブ
- 排気量:998cc
- 最高出力:150ps/11000rpm
- 最大トルク:10.7kgf・m/9250rpm
- シート高:810mm
- 車両重量:226kg
- 価格:159万5000円