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【KAWASAKI Ninja 1000SX】MotoGPライダー「中野真矢」とバイク女子「平嶋夏海」がガチで乗ってみた!

Ninja 1000SXが、排気ガス規制に対応してリニューアル。その最新モデルを、中野真矢さんと平嶋夏海さんがライディング。汎用性の高いスポーツツアラーとして、大きな支持を得ているモデルだが、ふたりのライダーの本音のインプレッションは、如何なるものだったのか?

重厚な存在感に秘めたフレンドリーな乗り味

中野:今回はNinja 1000SXを走らせてみたんだけど……。もっと、早く乗っておくべきだった!

平嶋:それって?

中野:いやあ、凄く良いバイクだった。あとひと月早く乗っていたら、確実に2022年のライダースクラブ・オブ・ザ・イヤー(2023年3月号掲載)の1台に食い込んできていたね。何位にするかは悩んじゃうところだけれど、スゴく気に入りました。欲しくなっちゃった。(笑)

平嶋:どの辺りが、そんなにお気に入りなんですか?

中野:押し出し感のあるルックスが、所有欲をソソるところもいいんだけれど、やっぱり乗り味。ドコがいいというよりは、バランスが絶妙だよね。エンジンも車体も電子制御も、全てがバランスしている。

ポジション設定が絶妙気負わずスポーツできる見事なバランス(中野真矢)
ポジション設定が絶妙気負わずスポーツできる見事なバランス(中野真矢)

平嶋:確かに、すごく乗りやすいですよね。ビックリしちゃいました。リッターバイクですし、乗る前は結構構えていた部分があるんですよ。それなのに、アレッ!? こんなに簡単に曲がっちゃうの? って。

中野:普段からビッグバイクに乗っているのに?

平嶋:私のV7レーサーは、排気量も750㏄ですし、軽くてコンパクトですから。フルサイズのリッターバイクは緊張します。

中野:意外だなあ。ビッグバイクでも、お任せなのかと思ってた。今日も楽しそうに走っていたし。

平嶋:いえいえ、ビビリが入ります(笑)。走り出しは慎重ですよ。でもNinja 1000SXは、他と比べると最初から気楽に走れました。もちろん、加速とかは凄いんですけど……。私は身体が大きくないですし、やっぱり1000㏄クラスのバイクは、支えられるかな? って、不安に思う部分があるんです。このバイクも不安を感じないレベルで足が着くわけではないですし。

中野:Ninja 1000SXは初めて乗ったの?

平嶋:そうです。バイク女子の仲間にオーナーがいるんですが、走る姿を見て長距離がラクそうだなあとか思ってました。その子はローダウン仕様にモディファイしていますね。

中野:それもアリだよね。僕はレースで育った人間でしょ? レーシングマシンって、すごく小さく軽く作られているから、市販車は押し並べて大きく感じる。Ninja 1000SXはボリューム感があるけど、ポジション設定が絶妙で日本人にあったポジション設定だよね。男性の平均身長くらいの人ならベストマッチだと思う。乗っていて身体にムリがない。

平嶋:シート高は820mmもあるんですね。でも、私でもどうにかなるかな? と、思えました。レーシングスーツだとキビシイですけど、街乗りのウエアなら、このままでもなんとか乗れそうです。

中野:まあ、無理せずにローダウンしてもいいわけだし。

平嶋:跨るとコンパクトで身体にマッチするんですけど、見た目の大きさに圧倒される部分はあります。

中野:デザインの見せ方だと思うんだけどね。タンクとかすごくボリュームを感じるでしょ? ビッグバイクらしさの演出かもしれない。

平嶋:でも、跨ってみるとハンドルは近いし、ポジションは思った以上にフレンドリーです。

車格と車重を忘れてしまうくらいに軽快に曲がってくれる(平嶋夏海)
車格と車重を忘れてしまうくらいに軽快に曲がってくれる(平嶋夏海)

中野:ハンドルの位置は、本当にいいね。上半身がリラックスできる。それでいて攻めた走りをするときも、しっかりフロントに荷重がかけられる。乗っていたら、どんどん楽しくなっちゃって、かなりペースが上がっちゃった。(笑)

平嶋:スゴく速かったです! ライディングモードは、何を選んでいたんですか?

中野:ほぼ『ROAD』。路面温度も低いし、最初は『RAIN』を使ってみたんだけど、トラクションコントロールの介入も早いし、これはウエット専用のセッティングだと判断して、その後はほとんど『ROAD』ばっかり。

平嶋:グイグイ攻めていたし、てっきり『SPORTS』モードで走っているのかと思ってました。

中野:『SPORTS』はスロットル操作に対して、パワーの立ち上がり方がリニアで、欲しいところでパワーが出る。スポーティだよね。でも、速さに対する心構えが必要というか、本格的なスポーツライディング用のモードだと思う。その点『ROAD』は、警戒する部分が一切なかった。スロットルを開けて、パワーがついてくるフィーリングが、本当に気持ち良かった。電子制御を含めてのセッティングが、かなりレベルが高い。

平嶋:私も中野さんからオススメされたので、ほとんど『ROAD』で走ってました。走りやすかったです。中野さんは、パワーが立ち上がる部分の特性にこだわりますよね?

中野:そこは譲れない。スロットルの〝開け口〞が命だと考えているから。3種類のモードを試して気づいたんだけど、モードを変えても〝開け口〞のフィーリング自体は変わらないんだ。レスポンスやパワーは違うけど、同じ感覚で開けていける。〝ドンツキ〞が皆無なところも素晴らしい。1000㏄のパワーで、ドンツキが出ると、僕でも怖いから。

平嶋:そうなんですよ。リッターバイクで緊張するところは、ソコなんです! でも、Ninja 1000SXで走っている時は、ドンツキのことをすっかり忘れていました。症状を感じていたら、絶対に気にしながら走ったはずですから。だから、乗りやすく感じたのかな?

中野:それはあると思うよ。気持ち良さそうに走っていたもの。サスペンションが、いい感じにストロークしていたし、見ていても楽しいんだろうなって感じたし。コレは僕の持論なんだけど、名車と呼ばれるバイクは、どれも〝開け口〞がいい。でなければ気持ち良く走れないから。

平嶋:Ninja 1000SXは、私も気持ち良く走れました! 最初に言いましたけど、走る前は緊張していたんですよ。速いし、大きいし。でも、予想外なレベルで軽快にコーナリングするんですよね。

中野:ヘアピンコーナーが楽しそうだったよね。

平嶋:アールが小さいコーナーですし、しっかり曲げられるか不安がありましたけど、ここで曲げなきゃと思った時は、もうバイクが曲がっている感じでした。

中野:クイックに曲がるよね、タイトなコーナーは本当に得意。旋回性は、かなり高い。しっかり向きが変わるから、立ち上がりで開けていける。ラクだし気持ちイイ。

平嶋:視点が高いから、寝かせていく時視線の変化が大きくて怖いかなと考えていたんですけど、そんなこともなくて……。なめらかにバンクしていくので、スーパースポーツみたいな緊張感もありませんでした。

中野真矢×Ninja 1000SX
中野真矢×Ninja 1000SX
平嶋夏海×Ninja 1000SX
平嶋夏海×Ninja 1000SX

中野:車体のバランスがいいよね。レースみたいな走りをするなら、フロントフォークのキャパシティが足りなくなるとは感じたけど、そういうバイクじゃないしね。そもそものところスポーツツアラーだし。

平嶋:今日はサーキットを走りましたけど、ツーリングには良さそうですよね。

中野:実を言うと、僕は仲間とはツーリングに行くけど、ひとりでのツーリングはほとんど行かないんだ。でも、ソロでのロングツーリングに憧れがあってね。キャンプしながらとか……。ツアラーモデルって、オジさんが乗っているバイクというイメージがあったけど、Ninja 1000SXならアリだなあ。

平嶋:ツーリング向けのオプションパーツがたくさん用意されているんですよね? 私はツーリング好きですし、そこはポイント高いです。そういえば、走り終わった時に『カスタムしたいな』って言ってましたよね。何か不満な点があるんですか?

中野:いや、別に不具合を感じたわけではなくて、Ninja 1000SXが気に入ったから。そうなると『自分のバイクだったら……』って、妄想モードに入っちゃう。愛車は自分色に染めたくなるじゃない? まず、マフラーを換えたいな。このバイク、吸気音が良いんだよね。だから、排気音がもっと良くなれば、もっと楽しく走れそうだと思って。あと、せっかく可動スクリーンなんだから、電動化して走行中に高さが変えられると嬉しい。

平嶋:私は、ボディカラーのグリーンの部分が、より深みのある色だったら、もっとカッコいいのにって思いますね。ソコが不満です。

中野:カラーのこと? やっぱり、女子目線だねえ。(笑)

平嶋:バイクはカッコ良くないとダメですよ! せっかく元のデザインがいいんだから、もっともっとカッコ良くしたいと思うんです。

中野:確かにっ! それは大事です。一番大事なことかもしれない。(笑)

KAWASAKI Ninja 1000SX

  • エンジン:水冷4ストローク直列4気筒 4バルブ
  • 排気量:1043cc
  • 最高出力:141ps/10000rpm
  • 最大トルク:11.3kgf・m/8000rpm
  • シート高:820mm
  • 車両重量:236kg
  • 価格:159万5000円
最高出力は141psを発揮。パワーモード、トラクションコントロールを包括したモードセレクト機能を搭載。シフトアップ&ダウン対応クイックシフターも標準装備
最高出力は141psを発揮。パワーモード、トラクションコントロールを包括したモードセレクト機能を搭載。シフトアップ&ダウン対応クイックシフターも標準装備
フロントブレーキはφ300mmの大径ローターに、異径対抗4ピストンラジアルマウントモノブロックキャリパーとラジアルマスターシリンダーを組み合わせる
フロントブレーキはφ300mmの大径ローターに、異径対抗4ピストンラジアルマウントモノブロックキャリパーとラジアルマスターシリンダーを組み合わせる
メーターは4.3インチフルカラーTFT。専用アプリ「RIDEOLOGY THE APP」を使用してのスマートフォン連携機能も持つ
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スクリーンは、手動で4段階階の高さ調整が可能
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リアサスペンションはカワサキ独自のホリゾンタルバックリンク。プリロードコントローラーも装備する
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