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【KAWASAKI Ninja H2 SX SE】快適に安全に、そして速くカワサキ流ツアラーの頂点|中野真矢&平嶋夏海 インプレッション

快適性を追い求めるだけが、ツアラーの姿ではない。スーパーチャージドエンジンと、最新の電子制御を満載するNinja H2 SX SE。カワサキらしい主張が見て取れる、異色の本格ツアラーを、中野真矢さんと平嶋夏海さんがインプレッション。

溢れるパワーも電子制御も全てはライダーのために

中野:さて、今回はカワサキのツアラーモデル、そのフラッグシップであるNINJA H2 SX SEに乗ってみました。スーパーチャージャー付きエンジンを搭載した驚速ツアラーに、電子制御サスペンションを装備した豪華なモデルです。

平嶋:豪華ですよね。でもお値段も豪華です。私は〝万が一にも転べない!〞って、ビビってしまいました。

中野:それはわかる。なにしろ、300万円オーバーだからね(笑)。

平嶋:ブンブン振り回していたじゃないですか!

中野:いや、ちゃんとマージンを十分にとって走っていたよ。攻めていたように見えたなら、それはNINJA H2 SX SEが、よく出来たバイクだからだと思うよ。

ツアラーとして究極を目指しメーカーの威信をかけた1台。これもフラッグシップの形【中野真矢】
ツアラーとして究極を目指しメーカーの威信をかけた1台。これもフラッグシップの形【中野真矢】

平嶋:中野さんがそう言っても、説得力に欠けるような……?

中野:いや、そう言う平嶋さんこそ、かなり攻め込んでいたじゃない?

平嶋:そうですか? でも、楽しく走れたのは事実です。

中野:ほら!

平嶋:今まで〝ニンジャ〞の名前がつくバイクに、いろいろと乗らせてもらってきましたけど、どれもスポーツバイクですし、走り出す前はそれなりに緊張するんですよ。でも、慣れてくると、どのバイクも〝乗りやすい! 楽しい!〞と思えたんですよね。今回もそうなんじゃないかな? そうあって欲しいなと思っていたんですけど……。

中野:けど?

平嶋:やっぱり、その通りでした!

中野:どのあたりに、乗りやすさを感じたのかな?

平嶋:NINJA H2 SX SEって、走らせていてすごく安心感があるんですよ。操縦性もなんですけど、電子制御が豪華じゃないですか?

中野:てんこ盛りだからね。いま、考えられる全ての電子制御デバイスが装備されているといっても過言ではないよね。しかもレベルが高い。

【電子制御を“全部乗せ”ギミック感が楽しい】
中野さんはNinja H2 SX SEの、他にないレベルで充実した電子制御を高く評価。「現状で考えられる、ほぼ全ての電子制御が盛り込まれていますよね? メカ好きとしてはたまりません。しかも、どれも高性能で実用的です」
【電子制御を“全部乗せ”ギミック感が楽しい】
中野さんはNinja H2 SX SEの、他にないレベルで充実した電子制御を高く評価。「現状で考えられる、ほぼ全ての電子制御が盛り込まれていますよね? メカ好きとしてはたまりません。しかも、どれも高性能で実用的です」

平嶋:〝守られてる〞って感じが、スゴくしました。だから、安心して走れたのかも? アダプティブクルーズコントロール(ACC)も試したんですけど、アレ凄いですね。

中野:うん、よく出来てるよね。前にACCを装備したバイクに何台か乗ったけど、中には前走車に近づいた時の減速が急に感じて、慣れるまで怖さを感じるものもあった。その点、NINJA H2 SX SEのACCは、加減速が自然でスムーズ。自分でスロットル操作しているみたいな感覚。

平嶋:ACCにも、いろいろなキャラクターがあるんですね。このバイクなら、高速道路で長距離を走る時とかは、絶対にラクですよね。バイク自体が安定しているし、スピードの調整までやってくれる。どこまでも走っていけそう。設定速度が30km/hから上だから、低速でもバイク任せで走れますよね。都心に住んでいる人だと、休日にバイクで出かけると、帰りはまず渋滞だから、コレは助かります。

【自然な動作のACCが乗り手をサポート】「ツーリングに出かけた時、コースの全てが走って楽しいシチュエーションとは限りません。気が逸れたり、疲労で集中力が途切れる場面はあります。そんな時にACCのサポートがあれば安心ですよね」と、平嶋さんはNinja H2 SX SEのACCをベタ褒め

中野:1日走って、疲れているところで渋滞にハマると憂鬱だからね。ツーリング経験の少ない僕ですら、そう思うもの。実は、こういった本格的なツアラーを、自分が語っていいものかと迷いがあるんだよね。レースで育った人間で、ツーリングには最近ようやく興味を持ったくらいだし、興味を持っただけで憧れているだけだし(笑)。

平嶋:そうでしたね(笑)。

中野:5歳からバイクを走らせているのにね? まあ、そんなツーリング初心者目線の話になっちゃうんだけど、正直なところニンジャ H2 SX SEには、それほど注目していなかった。基本的にスーパースポーツが好きだし、長距離にあまり興味ないし、自分の守備範囲外のバイクかな? って。

平嶋:走らせてみて、そうした考え方に変化はありましたか?

中野:あったね! まず、取り回しが軽いことが好印象。いや、それなりに重いんだけどね。思っていたよりは、かなり軽く感じた。見た目の押し出し感が強くて車格が大きく見えるから、そのギャップで軽く思えたのかな?

平嶋:〝車格を考えれば……〞ということはあるかもしれませんけど、少なくとも重過ぎてムリってレベルではないですよ。私もこのレベルなら乗れるなと思いましたから。足着きも、思ったより良かったです。レーシングスーツだと厳しいと思いますけど、テキスタイルウエアなら私の体格でも扱えました。

圧倒される存在感の強さけれど乗り味は優しくライダーを自由に走らせてくれる【平嶋夏海】
圧倒される存在感の強さけれど乗り味は優しくライダーを自由に走らせてくれる【平嶋夏海】

中野:足着きは良いよね。僕も男性としては小柄だけど、全然不安を感じなかった。ポジションもコンパクトで、日本人の体型に合ってる。

平嶋:スポーツバイクとして見た場合の評価はどうですか?

中野:やっぱり車重はあるよね。振り回した時の〝オツリ〞の大きさとかで、そう感じることはあった。でも、ちゃんと攻めても楽しいバイクに仕上がっている。

平嶋:どうしてでしょう?

中野:バイクの挙動が自然で、乗り手の〝こう動いて欲しい〞という感覚とのズレが少ない。車体の煮詰めが徹底しているよね。電子制御サスペンション(KECS)の完成度は相当高い。しっかりと荷重を受け止めてくれる。ハードにブレーキングしても、フロントがダイブしないのは好印象。しかも動きが自然。電子制御サスペンションは、動きに違和感を感じるものもあるから。

平嶋:〝しっかり感〞は、私にも感じられました。安心して攻められるんですよね。

中野:そうだね。それと、やっぱりエンジンが刺激的で楽しいよね。自然吸気とは違う、スーパーチャージャーの加速感は、このバイクの醍醐味でしょう。加速が身上! サーキットで速く走らせようとしたら、しっかり減速して、小さく曲げて、バイクを起こしてスロットル全開。重量のあるバイクだから、ダラダラ寝かせて曲げるより速いし安全。

平嶋:大きくて重いバイクのはずなのに、曲げるのに苦労することがないですもんね。

中野:あと、音! ガーッと引っ張って、パタっとスロットルを閉じた時のスーパーチャージャーが発する独特の音がたまらないね。

平嶋:わかります! キュルキュル音最高ですっ! あの音が聞きたくて、がんばってスロットルを開けました。ただ、街乗りであの音を響かせるのは難しいかもしれませんね。全開と全閉の繰り返しになるから、マシンのパワーを考えると危ないし、迷惑になると思います。

中野:街乗りには自制心が必要になってくるね。スロットルを開けるのが、ホントに楽しいバイクだから。

平嶋:安全どうこうって話だと、死角に入ったバイクやクルマの存在を教えてくれる機能も嬉しいです。

中野:ブラインドスポットディティクション(BSD)ね。あの機能は、全てのバイクに搭載されるべきだと思う。BSDもだけど、電子制御の充実ぶりが凄いバイクだよね。カワサキの誇るスーパーチャージドエンジンを完成度の高い車体に搭載し、載せられるだけの電子制御が詰め込まれてる。ステータス感も高いし、カワサキが威信をかけて作った、立派なフラッグシップだね。

平嶋:で、欲しくなったと?(笑)。

中野:値段調べたくらい(笑)。

KAWASAKI Ninja H2 SX SE

走行条件によってヘッドライトのハイ/ロー切り替えを自動で行うオートハイビーム(AHB)を新たに装備。スクリーン下部のカメラがAHBのセンサー
走行条件によってヘッドライトのハイ/ロー切り替えを自動で行うオートハイビーム(AHB)を新たに装備。スクリーン下部のカメラがAHBのセンサー
リアフェンダーにレーダーセンサーを装備、ライダーの死角に接近してくる車両を検知し、バックミラーにアラートを表示するBSDを標準装備する
リアフェンダーにレーダーセンサーを装備、ライダーの死角に接近してくる車両を検知し、バックミラーにアラートを表示するBSDを標準装備する
走行状況に応じて、前後サスペンションユニットの減衰力をリアルタイムに変化させ、車体姿勢を安定した状態で保つ、電子制御サスペンションKECS
メーターは、フルカラーTFTモニタータイプで、視認性の高い大画面6.5インチ。スマートフォン連携はもちろん、インフォテイメント機能も充実
メーターは、フルカラーTFTモニタータイプで、視認性の高い大画面6.5インチ。スマートフォン連携はもちろん、インフォテイメント機能も充実
ヘッドライト下部と、リアフェンダーの2カ所にレーダーセンサーを装備。前走車との車間距離を自動調整するACC、衝突の危険性がある場合にメーターに警告表示を行うフォワードコリジョンワーニング(FCW)、ミラーの死角に車両が接近した場合のミラーに警告表示を行うBSDの各機能で活用する
ヘッドライト下部と、リアフェンダーの2カ所にレーダーセンサーを装備。前走車との車間距離を自動調整するACC、衝突の危険性がある場合にメーターに警告表示を行うフォワードコリジョンワーニング(FCW)、ミラーの死角に車両が接近した場合のミラーに警告表示を行うBSDの各機能で活用する
エンジンはNinja H2をベースに、圧縮比の変更やスロットルボディの小径化他のモディファイを施し、常用域の扱いやすさを向上させている
エンジンはNinja H2をベースに、圧縮比の変更やスロットルボディの小径化他のモディファイを施し、常用域の扱いやすさを向上させている
エンジン水冷4ストローク直列4気筒DOHC4 バルブ
総排気量998cc
ボア×ストローク76.0×55.0mm
圧縮比11.2:1
最高出力200(210)ps/11000rpm
最大トルク14.0kgf・m/8500rpm
変速機6段
クラッチ湿式多板
フレームトレリス
キャスター/トレール24.7°/103mm
サスペンションFφ43mm倒立フォークKECS 制御、プリロード/ 伸・圧調整可能、トップアウトスプリング付
R電子制御スプリングプリロードアジャスター付BFRC lite
ブレーキFφ330mセミフローティングダブルディスク+
ブレンボ製モノブロック対向4ポット
Rφ250mmシングルディスク+
2ポットキャリパー
タイヤサイズF120/70ZR17
R190/55ZR17
全長×全幅×全高2175×790×1260mm
ホイールベース1480mm
車両重量267kg
燃料タンク容量19L
価格305万8000円
※( )内はラムエア加圧時

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