【ROYAL ENFIELD SUPER MEREOR 650】俊敏な走りがクルーザーの概念を変える
今年の東京モーターサイクルショーで国内初披露された、クルーザースタイルのスーパーメテオ650。
本国インドをはじめ、ヨーロッパでも高評価を得ているモデルに、クルーザー大好きの本誌編集・藤田が試乗した!
PHOTO/N.SIBATA TEXT/Y.FUJITA
取材協力/ピーシーアイ https://www.royalenfield-tokyoshowroom.jp/
’78 年生まれ。18歳で国産アメリカンからバイクキャリアをスタート。ハーレー専門誌に長く在籍し、クルーザーには一家言持つ本誌編集。愛車はモトグッツィ・カリフォルニア ビンテージ
本国インドのみならず、欧州や南北アメリカ大陸にも子会社・工場を持ち、’22〜’23年期には全世界で約83万台もの車両を販売したロイヤルエンフィールド。今やミドルクラスのカテゴリーで、世界のリーディングカンパニーとなっている。
日本でも販売が開始されたスーパーメテオ650のエンジンは、モデル専用にチューニングされた648㏄直列2気筒。車体デザインは「正統派クルーザー」をコンセプトとしており、フロントが高く、ゆったりとしたポジションと、プレミアムなディテールにこだわったという。
走り出してまず感じたのが、トルクフルで守備範囲の広いエンジン特性だ。街中なら4〜5速に固定したままでも過不足無く加速できる印象。スロットル操作への応答性もリニアで、欲しいときに欲しいだけの加速を得ることができる。僕が所有していたハーレーのスポーツスター(空冷OHVの883㏄モデル)と比較すると、かなりスムーズで軽快だ。また、シフト操作時のショックの無さ、各レバーの精度も秀逸のレベル。車体もスリムなので、ツーリングの快適さだけでなく、街中を機敏に走ることにも配慮されている。
ワインディングではその俊敏さがさらに「スポーティ」と表現したくなる領域まで高まる。とにかく「よく曲がる」のだ。前19/後16インチの一般的クルーザーだと、車体はゆったりとバンクし、フロントが後から遠回りする印象だ。これを「鈍重で曲がらない」と感じるか、「レールの上を走るような安定感」と評価するかは個人差があるが、僕自身は後者と捉えており、クルーザーの美点だと思っている。
一方スーパーメテオ650はロードスポーツモデルのように、フロントから狙い通りのラインへ鋭く向かっていく。とはいえハンドルが切れ込むようなことは無く、バンクに追従してコーナーをリズミカルに曲がっていける。その走りに貢献しているのが、ショーワのSFF-BPだ。今回は路面にギャップが多く、大小のコーナーが続く箱根スカイラインだったが、どのシーンでも接地感に不安を感じることは一切無かった。
所有感の高さも同車の大きなアドバンテージだ。マット調のエンジンカバーはこのモデルのための新デザイン。大型の燃料タンクにはクロムメッキの立体エンブレムが与えられている。さらにメーターの横にナビゲーション用ディスプレイを装備するなど、伝統的なデザインの中に最新機能をうまく落とし込んでいる。
車体の軽さ、日本の道に合うパワー、そして機敏な走り。従来のクルーザーの概念を覆すスーパーメテオ650は、このカテゴリーの新たなベンチマークになるかも知れない。
SUPER METEOR 650
エンジン | 空冷4ストローク直列2気筒SOHC4 バルブ |
総排気量 | 648cc |
最高出力 | 47ps/7250rpm |
最大トルク | 52.3Nm/5650rpm |
変速機 | 6速 |
フレーム | ダイヤモンドフレーム |
サスペンション | F=SHOWA製倒立フォークSFF-BP R=ツインショック |
ブレーキF | 2ピストンフローティングキャリパー+φ320mmシングルディスク |
R | 1ピストンフローティングキャリパー+φ300mmシングルディスク |
タイヤサイズF | 100/90-19 |
R | 150/80-16 |
全長 | 2300mm |
シート高 | 740mm |
車両重量 | 241(244)kg |
燃料タンク容量 | 15.7L |
価格 | 97万9000 ~(103万9500)円 |
SUPER METEOR 650 TOURER
【ツアラーモデルも同時にリリース】今回試乗したスタンダードの他に、ツーリング仕様のTOURERも同時リリース。大型スクリーンの他、よりコンフォータブルなダブルシート、パッセンジャー用バックレストを装備。サドルバッグなど純正パーツも豊富なので、より快適な旅仕様にカスタムできる。