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【カワサキ Ninja e-1】新感覚の電気の走りは未体験のライディングプレジャー

トレンドを作るのは、いつだってカワサキだ。国内メーカーの先陣を切って登場したピュアEVスポーツ、Ninja e-1をサーキットでインプレッション。電動バイクはバイクの未来形か? はたまた時代の徒花か?中野真矢さんと平嶋夏美さんが、走り込んで検証した。

その走りに興味が尽きないカワサキ初のEVスポーツ

中野:今日の試乗は、スゴく楽しみにしていたんだよね。ナニがそんなに楽しみだったかと言うと……。今回走らせたのは、カワサキ初のピュアEVスポーツバイク、Ninja e-1です!

平嶋:面白かったですっ!

中野:始まったばかりなのに、結論が出ちゃった(笑)。僕は、電動バイクの経験は、スクーターやビジネスバイクしかないんだけど、どれも概ね好印象だったから、Ninja e-1にも期待してました。

平嶋:私の方がいろいろ乗っているかもですね。ビッグバイククラスの電動バイクも、試乗したことがありますから。電動バイクって、加速感が独特ですよね?

中野:モーター独特の、ゼロ発進の瞬間からフルパワーで引っ張られる感じね。僕は、そこが電動バイクの面白いところと感じているけど。

平嶋:そう! 面白いですよね。ですからNinja e-1はどんなだろう? って想像していました。

中野:僕も!

平嶋:中野さんが走り出した時、もの凄い勢いで発進しましたよね。アレを見て〝電気の加速だ!〞って、盛り上がっちゃいました。

中野:いやあ(笑)、一時的にパワーを引き上げるe-boostという機能が搭載されているでしょ?:それが楽しみで仕方なかったの。実はスタート前にe-boostをオンにして、全開で発進してみたんだ。

平嶋:見ていた人が、みんな〝速っ!〞って声をあげてましたよ。

中野:うん、速いよね。

【中野真矢】モーターだから可能なパワーフィールの演出にバイクの新たな可能性が見える

平嶋:小型二輪のダッシュとは思えませんでした。

中野:小型二輪という意識があるから、ギャップに驚く部分はあるよね。実際は、もっと加速が速いバイクはある。けど、モーターは動き出しから、一瞬でスピードが出るから、瞬間移動的に感じるんだよね。

平嶋:見ていてもそんな感じで、音もなくいなくなるんです。

中野:走らせてみてどうだった?

平嶋:中野さんのダッシュを見ていたから、結構身構えていたんですよ。でも、思った以上にフレンドリーでした。

モーターならではの魅力e-boostは要注目

平嶋:パワーに関しては小型二輪だなあって。e-boostを使ってみた時も、意外にスムーズで……。もっと、乱暴に加速するのかと想像してました。慣れてくると、e-boost無しでは物足りなくて、スイッチを連打しちゃいました。

【依存症になりそうなe-boostの刺激的な走り】
起動ボタンを押すと、最長15秒、最高速度を引き上げるe-boost。詳細は未公開だが、パワー&トルクのアップが体感できる。平嶋さんは「走行中は常にe-boostがかかっていて欲しいくらいです」と、ベタ惚れな様子だ

中野:さすが(笑)。確かに、慣れてくるとe-boostがずっと効いていればいいのにって思うよね。最大で15秒だから、使い所を考えないといけない。

平嶋:スロットルを戻したら解除されるじゃないですか? コーナーが連続する場所とかだと、パワーが欲しい時に解除されちゃう時があるんですよ。

中野:全開区間を長く取れる場所だと、有効活用できるよね。このコースだと、最終コーナーでバイクを曲げ切った後にオンにすると、ちょうどストレートを走り切るくらいに解除のタイミングがくる。

平嶋:バンク中にe-boostをオンにすると、マシンが暴れたりしませんか?

中野:そこまでのパワーはないと思うけど、少しずつ様子を見ながら試していった方がいいね。まあ、サーキット限定のテクニックだね。ストリートは安全第一。

平嶋:ですね。

中野:e-boostが面白いから、ついついその話になっちゃうけど、全体的な乗り味はどう?

平嶋:車格に見合わず軽いですし、振り回せますよね。基本的に素直な車体だと思うんですけど……、コーナーで曲げるきっかけが掴みにくい気がしました。

【平嶋夏海】モーターの加速感はこれまでにない感覚だけど走りの楽しさはバイクそのもの

中野:それは、バックトルクが小さいことが理由だと思う。スロットルを抜いても、回生ブレーキが稀薄だから、ピッチングも起きにくいし、リアタイヤがグリップしている感覚が掴みにくい。

平嶋:そうなんですよね。シチュエーションによってはフワフワしちゃう。基本的に乗りやすいから、攻めて走れるんです。私、2カ月ぶりのサーキットだったんですけど、あっさりヒザが擦れたくらいです。

中野:ニュートラルで素性の良いハンドリングだよね。乗りやすい。でも、バックトルクの制御は、ちょっと注文をつけたいね。制御でどうにでもなりそうなものだから。モーター最大のメリットは、そこにあると思うんだよね。出力特性を自由自在にコントロールできること。

平嶋:こだわりますね。

中野:僕がMotoGPを走っていた頃は、電子制御が凄まじいスピードで進化していた時代。電気の力で、バイクの走りがこれほど変わるのか?と驚かされた経験があるワケ。だから、電動バイクの可能性にも、凄く期待してる。パワーデリバリーを緻密にコントロールできる電動バイクは、走りの世界を大きく進化させると考えているんだ。

平嶋:独特の加速感が好きなだけじゃなかったんですね。

中野:チョットチョット!(笑) まあ、それも当たりなんだけど。

平嶋:やっぱり。

中野:ちょっと話は変わるけど、平嶋さんが違和感を感じたバックトルクの弱さも、僕はあまり気にならなかったりするんだ。

平嶋:そうなんですか?

中野:2ストロークエンジンみたいだなあって。バックトルクが弱いからね。長いこと2ストロークのレーシングマシンに乗っていたから、なんだか懐かしいなって。

平嶋:そういうのもあるんですね。ところで、中野さん。まだ他に言いたいことがありますよね?

中野:語っちゃうよ? Ninja e-1で、僕が一番感動したのは、ウォークモード! 特にリバースを装備しているところが素晴らしい!

【ウォークモードは秀逸リバースに感動!】
「前々から、バイクにもバックギアをつけるべきと主張してきたんです」という中野さん。ウォークモードの取り回しのラクさに大興奮。写真は押し歩きをイメージしたものだが、ウォークモードは乗車状態での使用が基本

平嶋:大興奮でしたもんね(笑)。

中野:いや、最高でしょ? 取り回しに力が要らないんだもの。バイクが重く感じる年齢の人には、本当にありがたい装備だよ。

平嶋:確かに。一般的に、女性は力が弱いですよね。やっぱり取り回しって壁なんですよ。砂利敷きの駐車場とかだと、もう動かすのが大変で……。バイク女子的に、ウォークモードを全面的に支持します!

中野:だよね。全てのバイクに標準装備するべきだと思う。で、平嶋さん、Ninja e-1は欲しい?

平嶋:うーん、私はツーリング好きじゃないですか? 航続距離と充電時間を考えると、ツーリングに使うのは少し難しいかなあ……。でも、クローズドコースは楽しいですね。クラッチとシフトの操作がない分、走りに集中できそうだし。中野さんはどうでしたか?

中野:通勤とかにスゴくイイと思うよね。モーターの加速はクセになるし、日常使用で走りが楽しめるバイクだと思う。値段はお高めだけど、補助金も出るし。東京都民は実質半額くらいで買えるんでしょ?

平嶋:ですね。住んでいる場所によって、制度は違いますけど。

中野:補助金のこと、ちょっと調べてみようかなあ?

KAWASAKI Ninja e-1

デザインはNinja250/400に近いが、フレームは専用品のため、車体寸法は多くの部分で異なる
デザインはNinja250/400に近いが、フレームは専用品のため、車体寸法は多くの部分で異なる
モーターの最大出力は9.0Kw(12ps)。ストリップ状態を見るとわかる通り、モーター自体はコンパクト。変速式の多段ミッションは持たないが、モーターの回転はギアを介し一時減速して出力
モーターの最大出力は9.0Kw(12ps)。ストリップ状態を見るとわかる通り、モーター自体はコンパクト。変速式の多段ミッションは持たないが、モーターの回転はギアを介し一時減速して出力
モーターの最大出力は9.0Kw(12ps)。ストリップ状態を見るとわかる通り、モーター自体はコンパクト。変速式の多段ミッションは持たないが、モーターの回転はギアを介し一時減速して出力
一般的なバイクでは燃料タンクにあたる部分に、バッテリーを収納。開閉式のカバー内のストレージは、なかなか容量が大きい
一般的なバイクでは燃料タンクにあたる部分に、バッテリーを収納。開閉式のカバー内のストレージは、なかなか容量が大きい
バッテリー車載状態での充電が可能となる、タンデムシート下のアダプターはオプション設定
バッテリー車載状態での充電が可能となる、タンデムシート下のアダプターはオプション設定
バッテリーと充電器。車体から取り外した状態での充電も可能
バッテリーと充電器。車体から取り外した状態での充電も可能
EVならではのメーター表示として、航続可能距離、独立した2つのバッテリー残量、バッテリーの温度計、e-boostの残り時間ゲージなどがある
EVならではのメーター表示として、航続可能距離、独立した2つのバッテリー残量、バッテリーの温度計、e-boostの残り時間ゲージなどがある
モーター種類交流同期電動機
定格出力0.98kW
バッテリーリチウムイオン×2
バッテリー総電圧/総電力量50.4V/30Ah×2
バッテリー重量11.5kg×2
最高出力12ps/2600~4000rpm
最大トルク4.1kgf・m/0~1600rpm
変速機オートマチック
フレームトレリス
キャスター/トレール24.4°/93mm
サスペンションFφ41mmテレスコピック正立フォーク
Rボトムリンクユニトラック
ブレーキFφ290mシングルディスク+片押し2ポットアキシャルマウントキャリパー
Rφ220mmシングルディスク+片押し2ポットキャリパー
タイヤサイズF100/80-17
R130/70-17
全長×全幅×全高1980×685×1105mm
ホイールベース1370mm
シート高785mm
車両重量140kg(バッテリー2個含む)
電力消費率52Wh/km(60km/h定地走行値)
一充電走行距離55km(ROADモード、60km/h 定地走行値、1名乗車時)
価格106万7000円

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