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【KAWASAKI Z250】軽量で軽快お手本のようなスポーツネイキッド

カワサキ普通二輪カテゴリーの主力モデルの1台、スポーツネイキッドのZ250。エンジンをはじめ、Ninja250と基本コンポーネンツを共有し開発されたマシンだ。その走りはどう違うのか? 中野真矢さんと平嶋夏海さんが走り込んでチェック

PHOTO/H.ORIHARA, S.MAYUMI TEXT/K.ASAKURA
取材協力/カワサキモータースジャパン 0120-400819
https://www.kawasaki-motors.com/

注目の250ネイキッド走りの実力は如何に?

中野 今回はカワサキのスポーツネイキッドのZ250に試乗しました。前回に引き続いてのZシリーズ、その末弟的なモデルです。〝スタンダードが故に乗るならラストかな?〞という感じで、久々に走らせました。平嶋さんは、乗ったことはある?

平嶋 あります。取り回しの良さが印象に残ってますね。今回は、サーキットでの試乗じゃないですか?そこで、どんな走りを見せてくれるのかな? って、興味がありました。

中野 ネイキッドはストリート向けという認識が強いし、サーキットで攻めてのインプレは、少ないかもしれないね。

平嶋 私、ジムカーナをやっているじゃないですか? サーキットではないですけど、クローズドコースでのスポーツという意味では一緒ですし、小回りばかりだし、ネイキッドの取り回しの良さが武器になったりするんですよね。そういう意味でも、Z250のパフォーマンスには興味がありました。

中野 なるほど。僕もそこには興味があるけど。パッケージとしてのZ250を再確認した感じかな。

平嶋 と、言うと?

中野 Z250のベースはNinja250だよね。カリカリのレース志向のモデルではないけれど、フルカウルのスポーツバイク。

平嶋 ですね。

中野 スポーツバイクのしっかり作り込まれた車体とエンジンがあって、ポジションはアップライトでラクに乗れるっていう。そうしたスポーツネイキッドは、乗りやすくて楽しいいバイクが多いんだよね。

平嶋 あ〜、それわかります。

中野 スポーツバイクのDNAが息づいていて、かつ自由度が高い。サーキットでタイムを削るなら、やっぱりスーパースポーツなんだけど、セパレートハンドルの前傾ポジションだと、乗り方が限定されるというか、乗り手がしっかり操ってこそ真価が発揮される。例えば、切り返しひとつをとっても体重移動が必要とかね。でも、アップハンドルのスポーツネイキッドだと、もっとラフに扱ってもこなせたりするし。

平嶋 振り回せる感は、スポーツネイキッドの醍醐味ですよね!

自在に振り回せるスペック以上に軽い走り

中野 ライディングポジションも良いよね。なんのストレスもない。

平嶋 ですね。私の体格でも〝届かない!〞って、焦ることがありません。ハンドルをフルロックしても腕が伸びきって困ることはないですし、シート高も高くないし、車体がスリムだから足着き性に不安を感じることもありませんでした。

中野 最近のバイクは、シート高が高いものが多いからね。Z250の車格は好印象だね。

平嶋 中野さんは、大きなバイクでも普通に乗りこなしちゃうじゃないですか? 足着き性って気にしたことあります?

中野 気になるよ。〝乗れる〞と〝気を遣わず乗れる〞じゃ、全然違うでしょ? 自分がオーナーになったらと考えたら、そういう使い勝手の部分は重要だと考えてる。普遍的に捉えた場合でも、250㏄クラスってエントリークラスとしての役割もあると思うんだ。だからこそ親しみやすさは大切。Z250は、その要件を満たしていると思う。

ネイキッドらしい軽快な走りフレキシブルさが魅力の万能バイク── 中野真矢
ネイキッドらしい軽快な走りフレキシブルさが魅力の万能バイク── 中野真矢
【Zの血族を強調する顔つき】
中野さんは、“SUGOMI”コンセプトに基づいたZ250のデザインワークを高く評価。「一目で”Z”と分かる顔つきがいいですよね。バイクのデザインで、モデルのアイデンティティが現れていることって大切だと思いますから」と、コメント
【Zの血族を強調する顔つき】
中野さんは、“SUGOMI”コンセプトに基づいたZ250のデザインワークを高く評価。「一目で”Z”と分かる顔つきがいいですよね。バイクのデザインで、モデルのアイデンティティが現れていることって大切だと思いますから」と、コメント

平嶋 ですよね。最初の1台が250㏄という人は多いですもん。ビギナーの人でも、手に負えなくて困ることのないバイクだと思います。

中野 興味があると言っていた、スポーツ性はどう感じた?

平嶋 サーキットに最適かというと、そうではないと思います。でも、振り回そうと思えば、いくらでも振り回せそうな感覚は面白いですね。

中野 乗車感覚が、すごく軽いよね。振り回したくなるし、振り回せる安心感がある。気になってニンジャ250とデータを見比べてみたんだよね。そうしたら車重はZ250の方が2㎏軽いだけなんだ。ホイールベースは同じで、キャスター角とトレール量は少し安定方向に設定されているけど、本当に少しだけ。重量配分と、ライディングポジションによるものなんだろうね。スペック以上に、Z250は軽く感じる。

平嶋 そうなんですね。Z250は、かなり軽く感じたので、フルカウルってやっぱり重いんだなって思ってました(笑)。エンジンが良いんですよね。タコメーターを見なくても、感覚でパワーバンドを外さないって言うか……。走っていて、メーターを見た時、〝これくらいかな?〞って考えていた回転数にいてくれる。

回転数を意識しなくても走れる人の感性にマッチしたパワーキャラクター── 平嶋夏海
回転数を意識しなくても走れる人の感性にマッチしたパワーキャラクター── 平嶋夏海
【グリーンとブラックの鮮烈な対比】
平嶋さんは、Z250のカラーリングがお気に入りとのこと。「メインのカラーをダークなマット系でまとめて、メタリックなグリーンをポイントとしてあしらう。そのコントラストが鮮烈で素敵です。特にフレームの色合いがいいですね!」
【グリーンとブラックの鮮烈な対比】
平嶋さんは、Z250のカラーリングがお気に入りとのこと。「メインのカラーをダークなマット系でまとめて、メタリックなグリーンをポイントとしてあしらう。そのコントラストが鮮烈で素敵です。特にフレームの色合いがいいですね!」

中野 扱いやすいよね。

平嶋 パワーが先に行き過ぎず、遅れることもない。私の場合、パワーと感覚がシンクロしていると感じました。リッターバイクみたいに、メチャクチャにパワフルなわけではないですけど、その分気軽に全開できるし、躊躇なく開けられるから楽しいんですよね。

中野 よく回るしね。ツインなのに14000rpm近くまで回っちゃう。サーキットでタイムを狙うなら、限界まで引っ張ってシフトアップするべきだけど、そこまで意識しなくて適当にギアチェンジしても、十分に走っちゃう。7000〜8000rpmくらいでシフトアップしても、失敗したってならないよね。

平嶋 そこ、嬉しいです。4気筒のエンジンだと〝回さなきゃ〞って急かされるように感じちゃうんですよ。Z250は、もっとイージーに走れますから。

エアボックスの容量を大きく取り、吸気経路を直線的に配置することで吸気効率を向上。カワサキのツインスポーツ伝統の180°クランクを採用する。ツインながらレッドゾーンは13500rpm、高回転を楽しめるエンジンだ
エアボックスの容量を大きく取り、吸気経路を直線的に配置することで吸気効率を向上。カワサキのツインスポーツ伝統の180°クランクを採用する。ツインながらレッドゾーンは13500rpm、高回転を楽しめるエンジンだ

中野 フレキシブルなパワー特性だよね。試しにスロットルを使わずに、クラッチ操作だけで発進してみたけど、余裕ではないにしろ問題なく発進できちゃったもん。で、どう?スポーツできる?

平嶋 はい! 軽くて小回りは効きますし、エンジンも扱いやすいです。ジムカーナも速いと思うなあ……。

中野 スポーツできる、と。

平嶋 でも、違う魅力を見つけちゃったかなって。

中野 と、言うと?

平嶋 絶対ツーリングが楽しいですよね。ポジションがラクで、取り回しが良くて、エンジンは扱いやすさ抜群でスポーツライディングも楽しめる。ツーリングライダーとしては外せない要素が揃ってます。見た目が尖っているのに、乗り味は親しみやすいところも好きですね。

中野 デザイン良いよね。ちゃんと〝Z〞しているし。それにしても万能なバイクだよね。どの部分をとっても、性能に過不足なくてバランスがいい。ビギナーの人は、最初の1台にこういうバイクを選んで欲しいな。どんな使い方もできるから、楽しみ方が広がると思うし、自分がバイクで何をしたいかを見つけやすいと思うんだ。

KAWASAKI Z250

ハンドルバーは、グリップ部分にわずかな垂れ角と絞りを持つ形状。オフロードハンドル的な幅広タイプではなく、スタンダードなネイキッドのポジションを構築する
ハンドルバーは、グリップ部分にわずかな垂れ角と絞りを持つ形状。オフロードハンドル的な幅広タイプではなく、スタンダードなネイキッドのポジションを構築する
インスツルメントパネルは、Zシリーズでは唯一となったフルLCD。アナログ的レイアウトのタコメーターは、バーグラフ式他3種類の表示を切り替え可能。表示される情報量は豊富
インスツルメントパネルは、Zシリーズでは唯一となったフルLCD。アナログ的レイアウトのタコメーターは、バーグラフ式他3種類の表示を切り替え可能。表示される情報量は豊富
フロントブレーキは、2ピストンキャリパーとφ310mmの大径ペタルディスクを組み合わせる。オーソドックスな構成だが、必要十分な制動力を確保
フロントブレーキは、2ピストンキャリパーとφ310mmの大径ペタルディスクを組み合わせる。オーソドックスな構成だが、必要十分な制動力を確保
テールランプの光源はLEDを採用。デザインはNinjaシリーズと共通化されている
テールランプの光源はLEDを採用。デザインはNinjaシリーズと共通化されている
エンジン水冷4ストローク並列2気筒DOHC4 バルブ
総排気量248cc
ボア×ストローク62.0×41.2mm
圧縮比11.6:1
最高出力35ps/12500rpm
最大トルク2.2kgf・m/10500rpm
変速機6段
クラッチ湿式多板
フレームトレリス(高張力鋼)
キャスター/トレール24.5°/92mm
サスペンションFΦ41mmテレスコピック正立フォーク
Rボトムリンクユニトラック
ブレーキFΦ310mmセミフローティングシングルディスク+片押し2ポットキャリパー
RΦ220mmシングルディスク+片押し2ポットキャリパー
タイヤサイズF110/70R17
R140/70R17
全長×全幅×全高1990x800x1060mm
ホイールベース1370mm
シート高795mm
車両重量164kg
燃料タンク容量14L
価格68万2000円

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