【カワサキ メグロS1/W230 & KLX230 S/シェルパ】1つのルーツ、2つの個性

手軽だが強靭、本気のタフギア|KLX230 SHERPA / KLX230 S
ショートファイナルによるピックアップの良さが楽しい
一時カワサキのラインナップから消えていたKLX230が、2025年モデルとして復活した。現在では貴重な空冷単気筒エンジンを搭載するデュアルパーパスとなる。
試乗会ではKLX230シリーズの中から、ローシートモデルのKLX230Sと、派生モデルのKLX230シェルパに乗ることができた。
シェルパもスペック上のシート高は845mmで共通。身長166cm、体重60kgの本誌・河村の場合、両足の踵が少し浮く程度。

思わずKLX230かと勘違いしたが、あちらのシート高は880mm。Sよりも35mm高い。KLX230Sもシェルパも、シート上でお尻を左右どちらかに少しずらせば、片足は踵までしっかり接地するわけで、フラットな舗装路なら全く問題はない。
しかし、オフロードになると少々敷居が高くなる。車重が軽いのでデコボコ路面では最初のうちはUターンに気を遣うだろう。
のっけからシート高の話ばかりになるが、上でも話したように車体が軽いので車体に慣れてさえしまえばトレイルライドも楽しめるだろう。

搭載する空冷単気筒エンジンは最高出力18psと、数値的には少し非力に見えてしまうが、走り出すとショート設定のファイナルでピックアップは鋭い。スロットル操作にリニアに反応するので、走っていて楽しい。まさに入門にピッタリな特性といえる。
SOHC単気筒エンジンなので引っ張ったところでパワーが出てくるわけではないが、そのぶん思い切って開けていけるので、怖くないのがいい。
トップギアでも守備範囲は広いが、高速巡行を楽しむタイプでないことは明らか。どちらかというと、オンオフ問わず、3速・4速あたりでピックアップの良さを味わうキャラクターだと感じた。
やや気になったのはKLX230Sのエンジンノイズ。シェルパだとそれほどでもないのだが、空冷ゆえ仕方ないのだろう。もちろん不快というレベルではない。

個人的に久しぶりのフロント21インチ、リア18インチタイヤということもあり、どんなハンドリングかと興味津々だったが、コーナリングは軽快で楽しめた。ストロークを確保した前後サスペンションはダンピングが効いていて、オフロードでも衝撃を上手に吸収してくれた。
最初にシート高ばかりに触れたが、とにかく2台とも130kg前半という車重の軽さは正義。慣れてくると、それなりに振り回して遊んでいる自分に気づいた。小ぶりなデジタルメーターの視認性が走行中も優れていたことも付け加えておく。
KAWASAKI KLX230 S / KLX230 SHERPA








KLX230 SHERPA(KLX230 S) | |
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エンジン | 空冷4ストローク単気筒SOHC2 バルブ |
総排気量 | 232cc |
ボア×ストローク | 67.0×66.0mm |
圧縮比 | 9.0:1 |
最高出力 | 18ps/7000rpm |
最大トルク | 18Nm/5800rpm |
変速機 | 6段リターン |
クラッチ | 湿式多板 |
フレーム | 高張力鋼ペリメターセミダブルクレードル |
キャスター/トレール | 24.6°/96mm |
サスペンションF | φ37mmテレスコピック正立フォーク |
R | ツインショック、イニシャル調整可能 |
ブレーキF | φ265mmシングルペタルディスク+2ポットキャリパー |
R | 220mmシングルペタルディスク+1ポットキャリパー |
タイヤサイズF | 2.75-21 45P |
R | 4.10-18 59P |
全長×全幅×全高 | 2080×920(845)×1150(1140)mm |
ホイールベース | 1365mm |
シート高 | 845mm |
車両重量 | 134(133)kg |
燃料タンク容量 | 7.6L |
価格 | 63万8000円(59万4000円) |