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【自動クラッチ操作がもたらす未来】低速走行&スタートダッシュのユーティリティを調査!

クラッチが自動制御化されていることで気になるのは、低速域での扱いやすさや加速性。この性能が著しく低ければ、どんなにスポーツ性があってもバイクとしての価値は低いが……。

停車からの微速発進や小半径Uターンで10km/h以下の操縦が求められるとき、オートクラッチ機構は半クラッチの度合いが機械任せとなるため、扱いやすさに機構ごとの差を感じやすい。

ちなみにオートクラッチに共通する操縦方法として、微速領域においてスロットルだけで速度調整が難しいときは、絶対にエンストしない利点を活かし、スロットルを気持ち多めに開け、リアブレーキを強く踏んで速度調整するのがオススメだ。

CBR650R E-Clutch

いつでもクラッチ操作できる安心感

短時間で感覚を掴んでからは、電子制御クラッチ任せでもフルロックターンができた。レバーを握るだけでマニュアルクラッチになるので、不安になったら自分で半クラ操作も可能。でもオートクラッチ状態なら絶対にエンストしないので、レバーを触らずリアブレーキを強めに踏んで調整するほうが確実な気も……。

CBR650R E-Clutch
CBR650R E-Clutch

NT1100

デビューから15年間の進化はダテじゃない

4台の中で、極低速域の扱いやすさが最も優れていると感じたのはNT1100。リアブレーキをほぼ踏まずに、ハンドルフルロックターンができるほどだった。MT-09 Y-AMTVFR1200Fの初代DCTはこの領域が苦手で、反応の鈍さを逆手にスロットルをバンバンあおる技を編み出した記憶もあるが、現在は特殊な操作は不要。

NT1100
NT1100

R 1300 GS Adventure

トルクフルなエンジンがアダになったか?

最もシビアな操縦が求められたのがASA。クラッチのつなぎはじめがやや唐突に感じられ、なおかつエンジンが極低回転域でもトルクフルなので、スロットル操作が少しでもラフになると、ドンと前に押し出されて車体が起きてしまいがちだった。とはいえ、エンストしないのは魅力。リアブレーキ多用で対処したい。

R 1300 GS Adventure
R 1300 GS Adventure

MT-09 Y-AMT

10km/h以下の領域でも満足できる操縦性

Y-AMTとしてはこれが初だが、ヤマハは2006年型FJR1300ASでクラッチ電子制御技術の市販化にまでたどり着いており、微妙な半クラ制御には、培ってきた技術力が感じられた。E-Clutchと同じく、乗り始めてからごく短時間でフィーリングが掴め、その後はリアブレーキ併用によるフルロックターンが決まった。

MT-09 Y-AMT
MT-09 Y-AMT

オートクラッチ車でレース参戦する機会はほぼないので、ゼロ発進フル加速でのタイムを気にする人は多くないかもしれないが、ATとMTあるいはE-クラッチと手動クラッチでどれくらいの差があるのか、スポーツライディング好きとしては興味があるので調べてみた。

モード選択がある場合、最もスポーティな状態にセット。全体的な傾向として、MTや手動のほうが圧倒的に速く感じるのに、数字での差はそれほどでもなかった。

全長約1000mでアップダウンがほぼない筑波サーキット・コース1000は、ホームストレートの長さが253mと公表されているが、途中でやや右に曲がっているため、変則的なライン取りにより、なるべく直線的に走って計測。1コーナーへの減速も必要なので、確実な有効数値として0-150m区間の加速データをピックアップした。
  • 計測方法
    • 筑波サーキット・コース1000の直線で、0-150mのタイムと最高速度を計測
    • DigSpiceのソフトとGPSデータを使い、スタート地点から150mまでを正確に算出
    • AMT車はATとMTで各2本走り、その平均を計測結果とする
    • E-クラッチ車はライダーによるクラッチ操作の有無で各2本走りその平均を計測結果とする

CBR650R E-Clutch

体感では遅いが機械任せもけっこう速い

E-クラッチの発進加速は3500rpmを維持した状態で半クラが続き、完全につながったところで回転が上昇。このため、より高い回転数を使える手動の方が圧倒的に速い…と思ったら、機械の方が半クラは上手で、大きなタイム差にならなかった。変速はともにマニュアルなので、フィーリングはかなりいい。

CBR650R E-Clutch
CBR650R E-Clutch
平均タイム平均最高速
E-クラッチ 6.852秒138km/h
手動クラッチ6.635秒139km/h

NT1100

マニュアルでもばらつきはほとんどナシ

平均ではMTの方が速いが、じつはAT の1回目はタイヤが冷えていて途中でトラコンが介入。ATのベストタイムは6.221秒だった。ATのS3モードはかなり高回転まで引っ張るので、体感的にも満足。一方で、MTモードでも変速すべきタイミングが掴みやすいエンジン特性で、誤差は僅少だった。

NT1100
NT1100
平均タイム平均最高速
AT6.996秒136km/h
MT6.635秒137km/h

R 1300 GS Adventure

強烈に荒々しくワイルドさを楽しめる

極低速域と同じく、発進フル加速でも制御がアバウトな印象だが、ATモードを選択してスロットルをひねるだけで、超強烈な加速を味わえる。MTモードは、シフトペダル操作に対して反応がややダルなときがあり、理想的なシフトアップは決めづらい。総合的に考え、スタートダッシュを狙うならATに軍配が上がる。

R 1300 GS Adventure
R 1300 GS Adventure
平均タイム平均最高速
AT6.434秒142km/h
MT6.745秒143km/h

MT-09 Y-AMT

決まればMTが圧倒的に速いのだが……

AT とMT で圧倒的な差を感じた。D+モードのフルスロットル時でも早めにシフトアップされてしまうので、エンジンのおいしいところを使い切れない。ただしMTだと、モード設定にもよるが前輪が極端にリフトアップしがち。ミスしたときのロスが大きく、最高速の平均値では安定しているATが上回った。

MT-09 Y-AMT
MT-09 Y-AMT
平均タイム平均最高速
AT6.822秒144km/h
MT6.332秒140km/h

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