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現代バイク用語の初級講座【エアクリーナーボックス】

何かと専門用語が多いバイクの世界。自分でも使うけど、実はよく知らない……なんていう言葉も多いはず。「今さら」なんて言わずに、Let’s Study!

法規的にも必要だし、性能面でも重要

ほとんどの市販車にエアークリーナーボックスがあり、その中に異物の進入を防ぐフィルターがある。エンジン内部に異物が入れば、故障の原因になることは想像しやすいが、吸気経路にフィルターがあれば用は足りるはず。ではなぜ、ボックスで囲われているのか? 

その理由のひとつが消音。エンジンが空気を吸い込む時の音は、実はかなり大きい。走行中、乗り手に聞こえてくる吸気音が、排気音より大きい場合もあるほどだ。環境面への配慮から、吸気音の消音は必須だ。 

環境に対する要素は他にもある。法律上ブローバイガスはエンジン内部に戻して燃焼させることが義務付けられているためだ。ブローバイガスとは、クランクケースの内圧が上がった時に排出される気体のことで、ガソリンやオイルの成分を含んでいる。市販車では、ブローバイガスはエアクリーナーボックス内に導かれる構造になっている。 

性能面にも影響がある。エンジンがパワーを出すためには、より多くの空気を吸いたい。理論上は限りなく広い平面からの吸気が理想とされるが、エンジン稼働中のエアクリーナーボックス内の大気圧は負圧状態になるため、スムーズな吸気を阻害する要素になり得る。だが慣性吸気という考え方がある。気体にも慣性は働くので、エンジンに引き込まれる勢いを利用し、空気を効率的に吸い込もうという発想だ。そのため、ボックスの形状や容量など、様々なトライが続けられている。

かつてのレーシングマシンは、エアファンネル剥き出しが当たり前だった。大量の吸気を吸うという点に関してはメリットがあるが、性能が不安定という側面もある。現在はレーシングマシンの吸気システムにも、ボックスが持たされているのが一般的。
左はホンダCBR650R。エアクリーナーボックスはエンジンの上側に配置され、吸気経路のストレート化が図られている。また、容量はかなり大きい。高回転、高出力を狙うエンジンなら、効率良く吸気するためには排気量の3倍以上のボックス容量が必要だと言われている。右はハーレーのエアクリーナー。ボックス容量はほとんどない。

現行CBR650Rのエアクリーナーボックスと吸気ダクト。イラストは、ボックスの形状とエアクリーナーの配置を、従来型と比較したもの。エアクリーナーボックスの設計は進化を続けている。走行風を利用して、空気を押し込むラムエアシステムも採用。グラフはラムエアによるボックス内の圧力変化を表したものだ。

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