雪と氷に閉ざされた冬の北海道で見つけた、究極のライディングプレジャーとスキルアップの秘訣
「北海道の人は一年の半分しかバイクに乗れない」とよく聞きます。実際、そういう人が圧倒的に多いでしょう。しかし、雪と氷に閉ざされた冬の北海道でも、様々な工夫をすることでバイクを楽しむことができ、さらにそれがロードのスキルアップにもなるとなれば、どうでしょう? 夏の北海道はツーリングの聖地ですが、冬の北海道はモータースポーツの聖地になるかもしれませんよ!
絶妙なスライドコントロールを身につけられる! アイスサーキットでスキルアップ!
こちらは北海道の空の玄関、新千歳空港から車でわずか10分のところにある新千歳モーターランドの一画。見ての通り、雪かきが行われて氷のサーキットが出現しています。
こんなところをバイクが走れるものかって? いえいえ、ちょっと工夫をすればなんて事ありません。
そう。スパイクタイヤを使えば、氷の上でも全く問題なく走れるんです。
こちらではHONDA CRF125Fにスパイクタイヤを装着させたレンタルバイクを用意してくれており、アイスサーキット体験ができるんです。たかが125ccと侮るなかれ。本物のモトクロッサーCRF250Rをベースに初心者でも楽しめるファンバイクとして開発された本格的なオフロードバイクで、大人から子供まで幅広く楽しむことができる、懐の深いモデルなのです!
初めて氷の上を走る人でもすぐに楽しく走行することができます。モトクロスやダートトラック、サーキット走行などを経験しているライダーだとコツを掴みやすいですが、ツーリングライダーでも十分に楽しめますよ。
でも氷の上は転ぶとやっぱり痛いので、プロテクターの装着をオススメします。膝はもちろん、肘や胸もあると安心ですね。バイクは基本的に壊れませんが、レバーだけはよく折れてしまうようで…。
これまでにみなさんが折った中古レバーが大量に保管されていました(汗)。
バイクをレンタルしての走行料金は1日1万4000円(午前のみ8000円/午後のみ1万円)。全部で12台ものスパイクタイヤを履いたCRF125Fが用意されているので仲間と一緒にトレーニングに訪れてみるのも良いでしょう。もちろん自前のマシンの持ち込み走行も可能ですよ。(※2022年シーズンの営業は終了しています)
このアイスサーキットを考案したのは全日本ロードレース選手権国際ライダーの武石伸也さん。「北海道のロードレースのライダーは冬の間にバイクのトレーニングができないため、なかなか成績が伸びず、成長を諦めてしまう人が多いんです。だけどこのアイスサーキットなら楽しく安全にスライドコントロールの感覚を養うことができるため、冬季のトレーニングにも最適なんです。毎年冬になると本州からもロードレースのトップライダーがたくさん練習に訪れていますよ」と武石さん。
全日本ロードレース選手権国際ライダーの武石伸也さん
今回は全日本モトクロス選手権国際A級ライダーの平田優選手がこのアイスサーキットを体験。氷の上だからこそ掴めるライディングテクニックをプロライダーの目線で伝えてくれますよ。
一面の銀世界を縦横無尽に駆け回るスノーバイクの魅力!
さて、冬の北海道だから可能なバイクトレーニングはもう一つあるんです。
それがこちら、スノーバイクです。モトクロッサーやエンデューロレーサーに、アメリカのティンバーレッドという会社が発売しているキットを装着したもので、フロントタイヤがソリに、リアタイヤがキャタピラになっています。見ての通り、シート高は少し高くなっていますが、サイドスタンドなしでも自立するので、足が届かなくても安心して乗ることができますよ。
こちらのキャタピラで雪をかきながら前進します。
バイクは製品に適合すればなんでも大丈夫ですが、インジェクションの4ストロークで、300〜500ccくらいの、比較的大排気量のものが適しているとのこと。
ちなみにこのキット、車種にもよりますが大体100万円くらいのお値段。バイク本体がやはり100万円くらいするので、このスノーバイクを個人で所有しようとすると約200万円が必要になってしまいます。
しかし、この絶対楽しそうなバイク、レンタルで体験することが可能なんです。
それができるのが留守津村にある「北海道スノーバイクエクスペリエンス」。新千歳空港から車で約2時間くらいの距離にあります。
こちらでは4台のスノーバイクを貸し出し用に準備しており、一日5万9800円+ガイド料1万5000円(半日4万5000円+ガイド料1万5000円)でスノーバイクを体験することができるのです。
スノーバイクの体験は本州や北海道の他の地域でも行っているところがあるのですが、ここの素晴らしいところは留守津村と提携することでオープンエリアを走ることが許可されている点。
この日初めてスノーバイクに乗った人でも、こんな走りをすることができます。ちなみにこちらのライダー、実は実業之日本社、社主の白井氏。
平田:この写真カッコいいけど、誰ですかね??
白井:僕ですよ。
平田:そんな訳ない。カッコよすぎだもん。ネットで拾ってきたんでしょ?!
白井:は?!(怒
見た目はオフロードバイクに近いスノーバイクですが、雪の上をキャタピラで走る感覚は、ロードバイクにも通じるところがあります。リーンインで上体を寝かせてバイクを倒し込んでいき、アクセルを開けてコーナーを駆け抜けていく快感を、少ないリスクで味わうことができるんです。
ガイドを勤めてくれるのはモトクロス国際A級ライダーの源治篤さん。周辺の山の地形を知り尽くしており、1日コースでは山々を繋いで約50kmもの雪山ツーリングを案内してくれます(天候や参加者のスキルによってツアー内容は異なります)。
そしてここでも、モトクロス国際A級ライダー平田優選手がスノーバイクの楽しさや、そこから得られるライディングテクニックを解説。
源治「撮影するので綺麗な新雪の上を飛び降りてください」
平田「え、路面の確認ができないってことですよね。そんなリスキーなの、モトクロスでもやったことないですよ(汗)」
白井「いいから飛んでください。天才だから大丈夫でしょ」
ツアーに参加すると、絶景に囲まれて食べるジンギスカンが漏れなくついてくるかも!?
寒い北海道のはずなのに、ストーブで温めた小屋に入らず、外でジンギスカンを楽しむ参加者一同。好天に恵まれると、このくらい寒さは気になりません。