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現代バイク用語の初心者講座【駆動系の電子制御】

何かと専門用語が多いバイクの世界。自分でも使うけど、実はよく知らない……なんていう言葉も多いはず。「今さら」なんて言わずに、Let’s Study!

効率よくパワーを伝えるための新兵器

今や、当たり前の装備となった電子制御。中でもライダーが恩恵を感じやすいのが、トラクションコントロール(TC)と、アンチロックブレーキシステム(ABS)などの、駆動系の電子制御だ。TCは駆動力をかけた時に、リアタイヤがグリップを失わないため。ABSは制動時にタイヤがロックし、スリップするのを防ぐもので、作動するシーンは異なるが基本は安全装備だ。

ホンダ・CRF1000Lアフリカツインの駆動系電子制御の概念図。幅広い走行シチュエーションが考えられるバイクだけに、制御は非常に高度。上の図では前後輪の回転差を感知して、エンジンの出力を調整し後輪の回転を制御する、と簡略化されているが、実際には膨大なデータを使用し、介入度合いを決定する

TCは前後輪の回転数に差異が発生した時、点火カットにより駆動力を下げるところからスタート。かつては、無駄に介入する場合も少なくなかったが、現在では、IMUが検知する車体姿勢情報など、制御を決定するための情報量が増大。駆動力の調整も、電子制御スロットルによる吸気制御を併用するシステムが増え、ただの安全装備ではなく、路面に効率良くパワーを伝えるシステムに進化。ABSも同様で、コーナリングABSなどの速く走るためのABSが増加している。 

この分野での技術を進化させたのは、やはりレースの世界。その極地であるMotoGPでは、TCの進歩により、過剰なパワーがリアタイヤにかかって発生する、スリップダウンやハイサイドによる転倒は少なくなっている。 

現在は、共通ECUの使用が義務付けられているため、開発スピードが停滞気味ともいわれるが、依然として駆動系の電子制御のセッティングは、速さに関わる重要な要素であることに変わりはない。

強大なパワーを持つMotoGPマシンが、ウイリーせずに加速可能なのは電子制御式ウイリーコントロールのおかげ。前後輪の回転差や、IMUによる車体姿勢情報等々を活用し、最適な加速状態を保つ。広い意味でトラクションコントロールシステムの一機能との見方もできる。
スタート時、サスペンションが縮んだ状態を保ち、猛加速を実現するのがホールショットデバイス。電子制御満載のMotoGPだが、サスペンションだけは電子制御が禁止のため、今も機械式デバイスが開発されている分野。どういったメカニズムかはメーカーによって異なる。

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