平島夏海が見た! World Dcati Week 2022
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4年ぶりに開催されたWDWを、初めて訪れた平嶋夏海さん。「バイクは気軽に楽しんでいい」。イベントの熱気にあらためてそう感じたと言う。
World Ducati Weekとは?
2年に一度、イタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで開催されるドゥカティ最大の祭典。11回目となった今回は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で4年ぶりの開催。7月22日から24日にかけて行われた
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パドックを埋め尽くすドゥカティの数に圧倒
今回、ワールド・ドゥカティ・ウイーク(WDW)に参加するため、初めてイタリアを訪れました。
WDWは7月22日からの3日間に亘って行われました。その前日の21日は、ボローニャにあるドゥカティ本社と工場の見学をしました。自動車を含め、こうしたバイクメーカーの工場を取材するのは初めて。レーンを流れてだんだんバイクが完成していく様を見ると、テンションが上がりましたね。加えて、工場で働いている方や責任者の方の女性率が高くて、それも印象的でした。
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22日から始まったWDWは、ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリでの開催です。もちろん、わたしは今回初めて訪れたのですが、パドックがとても広いんです。そして、イベント中はパドックが駐輪場にもなっていて、たくさんの来場者がバイクを停めていました。パドックに停められたものすごい数のバイクを見ても、たくさんのファンがこのサーキットに駆け付けたんだ、ということがわかるんです。
ブースからブースに移動するのもバイクの間を歩くから、パドックを歩きながら来場者のバイク観察もできちゃう。駐車場だけでも展示会みたいでした。日本にはないイベントの雰囲気で、新鮮でしたね。
それに、3日間で8万人を集めた一大イベントだけあって、初日夜の「ドカティスタ・パレード」は圧巻でした。ミサノ・サーキットからリッチョーネのサムサラビーチまで、それぞれ自分のバイクで移動するのですが、わたしはリッチョーネのホテルに戻って、パレードの様子を眺めていたんです。そうしたら30分くらい、道路をバイクが通りっぱなし! 日本では考えられないくらい、ものすごい台数でした。
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イタリアでしか味わえない貴重なツーリング体験
今回いろいろな体験をさせていただいたのですが、中でもわたしが一番印象に残ったのは、3日目に参加したツーリングです。申し込みをした参加者約10人をひとつのグループとして、ミサノ・サーキットを出発して、リッチョーネ、ミサノの町を1時間くらいのルートで走るんです。
わたしは今回、スクランブラーのアイコン・ダークをお借りして走りました。イタリアはラウンドアバウト(環状交差点)が多く、ほとんど止まらずに走ることができます。スムーズにツーリングできるのは、すごくいいですね。
ちょっと走ったら、山の上の方に着いたんですけど、この景色が日本とは違っているんです。木々が生い茂っているのではなく、丘がどこまでも広がっていて……走っていてすごく気持ちがよかったです。イタリアの街並みの中をバイクで走って楽しむ、という経験はなかなかできないですから、貴重な体験でした。
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それから、初日には「WDWモトX2エクスペリエンス」にも参加しました。これはフランコ・バッタイニさん(ロードレース世界選手権250㏄、MotoGPで活躍)が走らせるバイクにタンデムしてミサノ・サーキットを走るコンテンツです。
わたしの順番は一番最後だったんですけど、バイクを降りてくるみんなが最高の笑顔を浮かべているんです。だから、乗る前は「わたしも走り終わったらこんな表情になれるのかな?」と思っていました。そして走り出したら……最初はもう、頭が追いつかない! 振り落とされまいと、タンクについているグラブバーを握りしめていました。
ヘアピンあたりで少し余裕が出てきて周りを見ることができたけど……。バイクから降りたら、わたしもみんなと同じ笑顔でしたね。本当にすごかったです。
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感銘を受けた丁寧なファンサービス
このWDWの一番の注目イベントとしては、2日目に開催された「レノボ・レース・オブ・チャンピオンズ」でしょうね。このイベントがあったので、2日目が一番来場者数は多かったんじゃないかな。
これはMotoGP、スーパーバイク世界選手権(SBK)など、世界で活躍するドゥカティライダーが一堂に会して、パニガーレV4SまたはパニガーレV2によって競い合う、まさに夢の競演を実現したレースです。わたしはピットの上の席から見ていたんですが、観客の盛り上がりがすごかった!
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もちろんレースもエキサイティングだったんですけど、わたしがそれ以上にすごいなと思ったのは、レース後のライダーたちのファンサービスでした。グローブを投げたり、レーシングスーツのままファンのところまで駆け寄ったり……。
「こんなに丁寧にファンサービスされたらうれしいよなあ、好きになっちゃうよね」と思ったし、ライダーたちも「ドカティスタに感謝を伝える日」だとちゃんとわかっていて、それを行動で表しているのが伝わってきました。
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2日目の夕方にはバーベキューが開催。各国のドゥカティ社長などがお肉を焼いて参加者に振る舞待ってくれました
3日目にピットウォークがあったんですが、そこでわたしもモトGPライダーのジャック・ミラー選手に突撃! サインをゲットしてきたんです。ミラー選手も「ありがとね!」って、しっかりファンサービスしてくれました。
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3日間、WDWに参加して、あらためて思ったのは「バイクはカジュアルに楽しめるもの」ということ。「ドゥカティが好き、バイクが好き。その気持ちをみんなで共有して盛り上がろうよ」「バイクって、楽しいよね」ということがすごく伝わってくるイベントでした。
じつは、これまではわたしの中で、ドゥカティってちょっとハードルが高いイメージがあったんです。でも今回、WDWに参加して、自分が勝手にそのハードルを作っていたんだ、と気が付きました。バイクって、もっとカジュアルに、誰でも楽しんでいいものなんですよね。それをあらためて実感しました。
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(平嶋夏海)