豪華ライダー勢ぞろい! 燃えに燃えたライパGP
10月9日(日)10月10日(月・祝)、モータースポーツ界に激震が走った。日本の、いや、世界の二輪レースファンの注目を集め……てもおかしくないぐらいめちゃくちゃ楽しいレースイベントが、大阪・堺カートランドで開催されたのだ。その名も、「ライパGP」である。
知っている人は知っているが、知らない人はまったく知らないライパGPについて、少々説明しよう。
まずは「ライパってなんだ?」という話である。「ライパ」とは、老舗の二輪専門誌「ライダースクラブ」が開催しているサーキット走行会、ライディングパーティの略称である。ライパは「速いがエライじゃない」が謳い文句のサーキットイベント。ビギナーでも心置きなく楽しめる走行会として人気を呼んでいる。
そして「GP」。これは言わずと知れた「グランプリ」の略だ。フランス語で「大賞」を意味し、モータースポーツでは最高位のレースに冠せられることが多い。
ビギナー大歓迎の「ライパ」と、ハイレベルなレースを意味する「GP」の融合。この「ライパGP」という名称こそが、このレースの実態をよく表している。つまりライパGPは、「ビギナーが楽しめる。でもレベルは高い」と、相反する要素を見事に一体化したレースイベントなのだ。
舞台となった堺カートランドは、全長667m。ミニバイクレースやカートレースが盛んで、数多くのトップライダー/ドライバーを輩出している関西モータースポーツ発祥の地だ。ここで年に1度行われる3時間耐久レースこそが、ライパGPなのである。今年で2年目。堺カートランドはますますヒートアップしている。
昨年も雨、今年も雨。なぜかウエットコンディションに愛されるのも、ライパGPならでは!?
「な〜んだ、お遊びのミニバイク耐久レースか」とあなどってはいけない。参戦ライダーがハンパないのだ。不要ないざこざを避けるため、あいうえお順で紹介させていただくが、元MotoGPライダーの青木宣篤さん、中野真矢さん、そして世界GPチャンピオンの原田哲也さんを筆頭に、井手翔太さん(現役全日本ST600ライダー)、加藤義昌さん(元世界GPライダー)、酒井大作さん(元全日本ライダー。鈴鹿8耐優勝。世界耐久王者)、多田喜代一さん(元全日本トップライダー。ル・マン24時間で日本人初の3位に)、津田一磨さん(現役全日本JSB1000ライダー)、長島哲太さん(元Moto2ライダー。鈴鹿8耐優勝)、西村硝さん(現役全日本ST600ライダー)、南本宗一郎さん(現役全日本ST1000ライダー)。お年を召したレジェンドから、ピチピチの現役までをとり混ぜ、いずれにしてもスゴすぎるメンバーである。
さらにオフロード界からも、釘村忠さん(現役全日本エンデューロライダー。インターナショナル6Daysエンデューロで日本人初のゴールドメダル獲得)、鈴木友也さん(アジアモトクロス選手権チャンピオン)が参戦。「縁石の外側なら任せてください!」と胸を張る。
そして今大会のビッグサプライズは、全日本ロードの最高峰・JSB1000クラスで11回もチャンピオンを獲得している日本の至宝、中須賀克行さんの参加だ。さすがにシーズン中とあって出走は叶わなかったが、決勝レースのゲストコメンテーターとして登場して会場を沸かせた。全日本最速最強の男の来場こそ、ライパGPが単なるミニバイク耐久レースではないことの証である。
これら「スゴいライダー」が大いに目を引くが、実は参戦ライダーの半数以上は一般ライダー(二輪業界関係者)だ。ダイレクトに言えば、シロウトである。参戦した全11チームには、スゴいライダーと一般ライダーがバランスよくミックスされている。
しかし、スゴいライダーとシロウトライダーが一緒にレースして、互角の勝負になるはずはない。「結果は見え見えじゃないの?」と言いたくなるところだが、ご安心を。ここで「速いがエライじゃない」というライパ魂が火を噴くのである。
使用するマシンは、ざっくり「ミニバイク」。さまざまなオトナの事情により排気量やホイールサイズなどはマチマチだが、総じてミニバイクと言われるカテゴリーの範疇に収まっている。最大排気量は125cc。ライパGPのために用意されたスペシャルマシンもあれば、どうひいき目に見ても不利っぽい感じのミニバイクもある。
本格的なカラーリングを施したチームも多い。スポーティな見栄えもレースの楽しみのひとつ
だが、ライパGPの趣旨は、「速いがエライじゃない」。マシン性能差や腕の差を埋めるための方策が多数設けられている。まず、スゴいライダーに認定された者は、レース中に一般ライダーを抜いていい箇所が厳密に定められている。また、ライパGPは全11チームで繰り広げられる3時間耐久レースだが、ライダー交代の際にはさまざまな障壁(というより演し物というかお祭りというか罰ゲーム)を設定。できるだけあらゆるライダーに勝てる余地が残されているのだ。
昨年のライパGPでは、映画「007」シリーズが演目になっていた。今年は、バイク乗りならみんな大好き、「トップガン マーベリック」がテーマ。ライダー交代のたびにクジ引きをし、水を飲むか、トップガン風のコスプレおよび指定されたポージングが課せられる。コスプレを恥ずかしがると時間がかかってしまい、タイムロスする仕組み。つまり、自分のイメージなど守るものが多いトップライダーほど、不利なのだ。
しかし、いくらイコールコンディションになるようレギュレーションを定めても、さすがはスゴいライダーたち、ライディングは闘争本能剥き出しの本気である。10月9日(土)に練習走行と予選が行われ、翌10日(日)はレインコンディションでの決勝となったが、スゴいライダーたちの野性が吠えまくった。
レースはルマン式スタートで始まった。午前11時25分、スタートの合図で日章旗が振り下ろされると、スタートライダーたちはいっせいにマシンに駆け寄る……前に、ペットボトルの水を飲み始めた。えっ? ナニゴト!?
レース後の乾杯、ではありません。これは日章旗が振られた直後の模様。なぜみんなで水を?
主催者は「熱中症対策です!」などとアナウンスしていたが、雨で肌寒い10月10日に熱中症対策とは……? 実はこれも、イコールコンディションを実現するための措置のひとつ。1Lもの大量の水を飲み干さないと、マシンで走り出すことができない。ライディングテクニックやレースキャリアとはまったく無関係の「水飲み干し」を課すことで、あらゆるライダーにスタートで飛び出すチャンスを与えているのだ。
だが、そこは手練手管に長けたスゴいライダーたち。スタート前からわざとペットボトルの水をこぼしては「いやいや、乾杯してただけだから」「おや? キャップを開けたら勝手に水が噴き出したなぁ……」などとのたまい、少しでも水を減らして自分が有利になるように必死だ。
500mLをまとめて2本飲みしようとしているのは、まさか1997年世界グランプリ500ccクラスでランキング3位になったあの方では……!?
「おとなげねぇなあ」という声も聞こえたが、この必死さこそは、ライパGPを常に覆うマインドである。勝ったからといって特にトクしないミニバイク耐久レースにも関わらず、少しでも前に出よう、あわよくば勝とうと真剣なのだ。だからこそ、面白いレースが繰り広げられる。
ベテランのスゴいライダーたちの小ズルい策略をよそに、スタートで飛び出したのは#806 NCXX RACING with RIDERS CLUBの井手翔太さんだ。このゼッケンとチーム名に見覚えのある方は、鈴鹿8耐の熱烈なファンか、コアなライダースクラブ読者だろう。そう、今年の鈴鹿8耐SSTクラスに参戦し、トラブルを乗り越えてクラス2位に輝いた、あのゼッケン&チーム名である。
同チームの井手翔太さんと南本宗一郎さんは、いずれも20代前半の現役イケイケライダーである。レジェンドとはいえオーバー・フィフティが当たり前、「腰が痛い」「首が痛い」「明日がツライ」と泣き言ばかりのベテランおじさん軍団では、さすがに太刀打ちできない。前日の予選でトップタイムをマークした井手翔太さんがスタートからグングンと飛ばし、リードを築いていく。
ひとりのライダーが走れるのは最長で15分だ。瞬く間に周回遅れになるチームが出たうえ、演し物をこなしながらのライダー交代が始まると、あっという間に順位は混沌とし、ワケが分からなくなった。しかも、さまざまなペナルティにより周回数が減算されるので、速ければ勝てるとは限らない。いったいどのチームが本当のトップなのか分からない闇鍋状態で、レースは粛々と進んでいった。
ライパGP最大の特長として、参戦ライダーと観客の皆さんの距離が異常なほど近いことが挙げられる。安全面を考慮し、一応ピットとパドックエリアはテープで仕切られているが、レース中でもライダーはそこら辺をフツーにウロウロしており、ファンのリクエストに応える姿が見られた。堺カートランドにいる全員がリラックスし、バイクでの真剣な遊びを楽しんでいるからだ。
それにしても、スゴいライダーたちの走りは鮮やかである。レインコンディションとは思えないほどのブレーキング、倒し込みの鋭さ、深いバンク角、そして俊敏な立ち上がり加速……。「速いライダーは、何に乗っても速い」は、モータースポーツの定説だが、ミニバイクでも見応えのある速さを見せてくれるスゴいライダーたちは、見事としか言いようがない。
スタートで飛び出した#806を全力で追う#45 MotoUP with RS TAICHIの長島哲太さんに至っては、あまりのガチ走りにマシンが追いつかず、まさかの転倒! 翌週にMotoGP・オーストラリアGP参戦を控えていただけにヒヤリとしたが、「3秒以内にマシンを起こせば転倒とは言いません!」などと意味不明なことを言いながら、アッサリと再スタートを切った。小さくて軽く、スピードも出ないミニバイクならではのシーンである。
こういったガチ勢に混じってマイペースを貫く一般ライダーたちも、また見事だ。後方から迫り来るのはワールドクラスのライダー。同じコースで同じレースを戦っているというだけでもめまいがしそうなのに、スパッと抜かれちゃったりするのである。抜かれて喜ぶレースもどうかと思うが、これはもう、イチローと草野球して打たれて喜ぶのと同じ心理だ。
真剣なライディングで飛ばせるだけ飛ばすスゴいライダーたち。抜かれてうっとりの一般ライダーたち。参戦ライダーの思いはそれぞれながら、総員が同じゴールに向かっているから、レースは面白い。
さらに面白みを添えてくれたのが、中須賀克行さんの解説である。何しろ、押しも押されもせぬ全日本最強最速の男。レースを見る目は厳しく的確だが、並み居るレジェンドライダーたちからすれば「後輩」である。決勝レース中にも関わらず放送ブースに足を運ぶレジェンドライダーたちの前で、さすがの中須賀さんも遠慮して小さくなっている姿がおかしい。
当日は、記録に残してはマズい問題発言が多々飛び交い、雨の中でも熱心に観戦するお客さんたちを大いに盛り上げた。ここでは、炎上しない程度に抜粋し、レースクイーンのたはらかすみさんも交えたトークのごくごく一部をご紹介しよう(※実況席への登場順)。
◉中須賀克行さん×原田哲也さん
ヤマハ時代の先輩と後輩にあたるこのふたり。全日本最速最強の男・中須賀さんも、原田さんの強大な圧には敵わない。「オレより先にお昼ご飯のカレー食ったな〜?」という先制攻撃を食らうと、完全に負け戦だ。「若者は速いね〜。おじさんは限界だよ。オレの走り、どうだった?」と原田さんに尋ねられた中須賀さんは、終始タジタジだった。自己申告タイム制の予選で、実力以上のタイムを申告したばかりに、多くのハンディを課せられた原田さん。下位に沈むチームに「やっちゃったよ……」と悔やんでいた。
◉中須賀克行さん×青木宣篤さん
「去年も雨、今年も雨って、誰か強烈な雨男がいるんだよ。今すぐ探した方がいい」と笑いを取った青木さん。中須賀さんとは鈴鹿8耐ウイナーという共通点がある。ライパGPの決勝中とはいえ、盛り上がった話題はもちろん鈴鹿8耐について。今年の鈴鹿8耐をもって現役レーシングライダーから引退した青木さんだが、ライパGPではキレ味鋭いライディングを披露。「ホントに引退したんですか?」状態だった。
◉中須賀克行さん×中野真矢さん
顔面蒼白状態で実況席に飛び込んできた中野さん。ヤマハ時代の先輩が疲労困憊する様子に、中須賀さんも「どうしたんですか!?」と心配そう。「チームがとにかく僕を走らせるんだよ! 酷使されまくってるんだ」と苦笑いする中野さんは、去年の勝者。「連覇が懸かってるなら仕方ないですよね」と中須賀さん。「そういえば昨日の前夜祭では僕のことを『世界チャンピオン』って紹介してたよねえ(中野さんの世界GPランキング最上位は2位)」「いやっ、あのっ、そのっ、僕の中ではチャンピオンなんですっ! その話はやめましょうよ」と、冷や汗が止まらない中須賀さんだった。
◉中須賀克行さん×長島哲太さん
スタート直後に転倒した長島さんに、「大丈夫だったの?」と中須賀さん。ライパGPの翌週にはMotoGP・オーストラリアGPに参戦する長島さんのことを、心底心配していた。「体が無傷よかったよ。それにしてリカバリーが早かった!」と中須賀さんが笑えば、「ここがプロとアマチュアの差ですから」と胸を張る長島さん。「その差はいらないから」と中須賀さんは苦笑いだ。ふたりとも鈴鹿8耐ウイナー。「事前準備がいかに大事か」という話題で盛り上がる。「2021年の始めから準備してました。当初は2021年の鈴鹿8耐に向けての準備だったんですが、中止になってしまったので……。そのまま継続して2022年の鈴鹿8耐の準備をしたので、足かけ1年半ですよ」と、裏話を聞かせてくれた長島さんだった。
ともに全日本チャンピオンであり、8耐ウイナーでもある中須賀さんと長島さんの貴重なトーク◉中須賀克行さん×井手翔太さん
今回のライパGPで台風の目となった井手さん。予選最速、決勝最速と、堺カートランドで暴れ回る。話題はなぜか、レース前の願掛けに。「自分はレースウィークに、なるべく『1』って数字を見るようにしてる。常に自分がめざしてる数字を見るように。アラームも、8時に起きるなら8時1分にセットする。目覚めて最初に『1』を見ることになるでしょう?」と中須賀さん。「井手くんは何かそういう願掛けしてる?」と尋ねられると、「全然ないですね〜」とアッサリ。「やっぱり昭和と令和の違いかなぁ。あ、さすがに令和生まれじゃないか」と中須賀さんが言えば、「平成生まれですね(笑)。2002年です」と切り返す20歳の井手さん。中須賀さん、41歳……。
◉中須賀克行さん×南本宗一郎さん
鈴鹿8耐ではNCXX RACING with RIDERS CLUBのライダーとしてチームを引っ張った南本さん。アグレッシブなライディングとは裏腹に、ヘルメットを脱ぐと物静かだ。レースクイーンのたはらかすみさんが「元気ですか!」と声を掛けると、「そうね、アントニオ猪木さんの魂を受け継がないとね」とツッコミを入れる中須賀さん。和やかな空気がより柔らかに。レース中のペナルティで飲まされる炭酸水について「『自分が行きます』と志願したんですが、ナメてました。相当キツいッス」と頭を掻いた。ヤマハYZF-R1を駆り全日本ST1000に参戦中の南本さん。「大先輩の中須賀さんには聞きたいことが山ほどあります。後で個人的にメールを……」と積極的だ。
実際には、おおっぴらに記事化することができない裏話が盛りだくさんで、観客の皆さんを大いに沸かせた。来年はぜひライパGPに来場いただき、生の実況でお楽しみください。
さて、雨は弱まったり強まったりしながら、常にコースを濡らしていた。しかし、ウエットコンディションとは思えないほどの熱い走りやスリリングなバトルが随所で見られ、3時間はあっという間に過ぎていった。14時25分、チェッカーフラッグである。
どのチームが勝ったのか、すぐには分からない。イコールコンディションを期するがゆえに、レギュレーションは複雑で、ペナルティも設けられている。それらを加味したうえで、ワイロや忖度を一切受け付けない厳正な集計が行われる。正式結果が発表されるまでの緊張感は、いつぞやの鈴鹿8耐と同等である。そして──。
優勝は、#806 NCXX RACING with RIDERS CLUB。井手翔太さん、南本宗一郎さんのやる気マンマン若手コンビが見せつけた圧巻の速さが、スゴいおじさんライダーたちのさまざまな謀略を交わした。2位は#Team AOKI with J-Trip & RUN。青木宣篤さん率いる同チームは、125ccエンジン+前後17インチホイールのマシンを使用。「あれは有利じゃないのか!」と囁かれていたが、そうでもなかったことを2位という結果で証明してみせた。
そして3位は#31 Team HARADA with MR & MOTOSALON。レース後、「ウチはビリッケツだよ」と諦めモードの原田哲也さんだったが、予期せぬ表彰台に満面の笑顔。同チームのマジカルレーシング・蛭田貢社長の果敢な走りによる転倒を乗り越えての好成績となった。
昨年の勝者、中野真矢さん擁する#56 Team NAKANO with BikeJIN & SUSPENSION EDGEは、2年連続優勝を狙ったが、エンジントラブルにより惜しくもリタイヤ。しかし主催者の極めて厳正かつ忖度ゼロの審議の結果、#45 MotoUP with RS TAICHIの長島哲太さんとともにMVPに選ばれ、ジャンケンの末に副賞を獲得した。
表彰式の後は、恒例の水かけシャンパンが炸裂! 雨でさんざん濡れたにも関わらず、参戦ライダー全員を巻き込んでシャンパンファイトならぬウォーターファイトが爆発し、もはや雨だか水だか分からないビショビショ状態でライパGPは幕を閉じた。
レース後は、雨の中3時間にわたって熱心に観戦していた観客の皆さんと、スゴいライダーの皆さんの交流会が賑やかに行われた。サインをもらったり、写真を撮ったり、トークに花を咲かせたり……。リアルレースの現場ではそうおいそれと触れ合えないスゴいライダーの方たちと和やかに接することができ、観客の皆さんも大満足の様子だった。
また、観客の皆さんの参加イベントとして、優勝チーム予想も行われた。入場受付の際に優勝予想シートを投票。見事に優勝チームを的中させた18名の方々には、マジカルレーシング、ケイファクトリー、MOTUL、ISA、STRIKER、NXCC RACINGから各オリジナルグッズが贈呈された。若くて速いライダーふたりを擁していたチームの優勝予想は、ちょっとカンタンだったかも。多くの方々にチャンスがあるユルユルさも、ライパGPらしい。
印象的だったのは、中須賀克行さんがついポロリと言ってしまった、「来年は、僕も出たいなあ……」という言葉だ。実は、期せずして多くの参戦ライダーの口からも同じような言葉が聞かれていた。誰もが「来年は……」「来年も……」「来年こそ……」と、早くも第4回大会を楽しみにしていたのだ。
それもこれも、お楽しみとガチが絶妙にバランスしているから。ただのおふざけでは面白くない。真剣なだけでは、みんなが楽しめない。バイク好きが集まり、バイクで遊び、誰もが平等にバイクの魅力に酔いしれることができるミニバイク耐久レース、それがライパGPだ。だからこそ、みんなピュアに「また参加したい」と思えたのである。
雨に濡れることも厭わず、懸命にライダーにサインを送る原田さん。この真剣さがレースを熱いものにする
もはや来年の開催は必定事項。特にそのために準備することはないと思われるお気楽レースではあるが、だからこそリラックスできる。それが参戦したスゴいライダーや一般ライダー、そして観客の皆さんが心から楽しめた最大の理由だ。ライパGP、まさにグランプリにふさわしいレースであった。
なお、ライパGPにて収録された中須賀克行さん&中野真矢さん&原田哲也さん(※あいうえお順)によるスペシャルなチャンピオン鼎談が、11月27日発売のライダースクラブ1月号に掲載予定です。お楽しみに!