【夜道 雪さん】バイクは私を成長させてくれ、生活を彩ってくれる大切な存在【モーターサイクルライフ】
声優で歌手、YouTuberとしてマルチに活躍する夜道雪さんは、大型二輪免許を所有するバイク好きとしても知られている。そのおかげか、演じる役柄もバイク乗りが多いんだとか。そんな夜道さんがバイクを好きになったキッカケや、歴代の愛車たち、現在のバイクライフについて伺った。
11月21日生まれ、北海道出身。声優、歌手、YouTuberとして活躍。主な出演作はTVアニメ『スーパーカブ』の小熊、『女神寮の寮母くん。』の八月朔日せれね、『六道の悪女たち』の姫野莇美など。ユニバーサルミュージックからアルバム『初雪 First Love』でソロデビューも果たした
女性でも、体が小さくてもバイクを楽しめるということを伝えたい
人気YouTuberで声優、モデル、歌手……と、幅広く活躍している夜道雪さん。人気TVアニメ『スーパーカブ』で、スーパーカブに乗る女子高校生のヒロイン、小熊を演じたことでも知られている。
現在放映中のTVアニメ『六道の悪女たち』でも、バイクに乗るキャラクター姫野莇美(あざみ)を演じており、バイクとの不思議な縁を感じているという。
「今の私があるのはバイクのおかげって思っています!」
そんな夜道さんがバイクに乗りはじめたのは、地元の北海道で高校に通っていた時だった。
「昔から乗り物が大好きで、免許を取れる年齢になったら絶対に何か取ろうと決めていて、バイトしてお金を貯めていました。17歳の時に取れる免許がバイクだったんです」]
免許を取得して最初に手に入れたのが、KTMのネイキッドスポーツモデル、390DUKEだった。他のバイクにない個性的なデザインに一目ボレしたという。
「小さくて軽い車体にそぐわない大きなエンジン、ド派手な見た目と音が気に入りました。当時、私は全然バイクの知識がなかったので、実用性は考えず、ただただ『カッコいい!』の直感で選びました(笑)」
その後、昔から憧れていた声優の仕事をするために、DUKEと一緒に上京したという。
「18歳の時に北海道から東京へやって来ました。苫小牧港からフェリーに乗って、約1日、波に揺られて……。初めてバイクで本州に降り立った時は、大洗港から東京に近づいて行くにつれ、都会的になっていく景色を見て思わず感動しました。」
それからの生活は、まさにバイクとともにあったと言っても過言ではない。18歳になると、すぐさま大型二輪免許を取得。CBR650Fを増車し、ツーリングはもちろん、サーキット走行にもチャレンジ。その後、MVアグスタのドラッグスター800RR、GPXのデーモン150GRとGR200R、カワサキのビクター、KTMのRC8など多くのロードスポーツを所有した。
もちろん、他のジャンルにも興味津々。所有車両のやりくりをしながら、ヤマハのセローやホンダのTL150、スーパーカブなど幅広いジャンルのバイクに乗ってきた。
「いろいろなバイクに乗っている理由は、ひとつとして同じバイクはないからです。一口にバイクと言っても、メーカーも排気量も年式もパーツもキャラクターも、何から何までまったく違う。世界に自分と同じ人間が1人も存在しないように、バイクもすべてオンリーワンな存在だと思っています」
DUKEという本命はハズせないが、たくさんのバイクに乗ってみたいと目を輝かせる。とはいえ、増え過ぎないように、現在は車両をやりくりして乗り換えもしている。
「バイクは人間と違って、いくら浮気したってよいですから(笑)。みなさんも、モノにしたい子がいるなら、じゃんじゃんローンで購入して経済を回していきましょう。ローンは実質無料ですから(笑)」
と、ちゃめっ気たっぷりにジョークを交えて語る。ときどき、身長155センチながら大型ロードスポーツに乗っていることで、批判を受けることもあるそうだが、本人は排気量の大きさやジャンルにこだわらず、幅広くバイクが好きだと語る。
「最初こそ大型バイクに乗るって大変だな、と感じることが多かったのですが、慣れてくるとかえって楽だと思うことが増えてきました。スピードを出している時に風であおられても安定しやすいし、むしろ疲れを感じにくいと思います」
加えて、走行中に頻繁にシフト操作しなくてもよくなるのが大型バイクのメリットだという。
「とくにリッタークラスになると『ずーっと2速で走ってるなー』って時とかありませんか? でも、一方で小型バイクならではの、シフトチェンジをガチャガチャ操作しながらの走行に非常に男心(?)がそそられます(笑)」
もちろん小排気量ならではの軽快さや気軽さも気に入っている。
「ちょっとそこまでの時や、乗り降りが多い時なんかは圧倒的に小型バイクの方がいいですよね。やっぱり、その時々によって乗り換えるのが、私にとっては合ってるなと感じるようになりました」
小排気量から大排気量まで、自然体でバイクに乗ることを楽しんでいる。夜道さん自らが運営しているユーチューブチャンネルでも、バイクライフを綴るモトブログが人気企画のひとつになっている。
「実は最初の頃、バイクの話をしていなかったんです。15歳から北海道でタレント活動をしていましたが、当初はローカルでやっていて名前が出ないことも多かったんです。もっと私自身を知ってもらいたくて、仕事のために動画投稿をはじめたので、趣味の話題は違うかなって」
バイクは高校時代から趣味で乗っていたものだったので、特に話題性がないと思っていたのだ。
「当時のマネージャーに『バイク乗ってるのカッコいいから、出した方がいいよ!』と言われ、なんとなく出してみたところ、みなさんに観ていただけることが増えました」
完全に個人的な趣味だったバイクに、夜道さんの仕事のパートナーという肩書きが増えた。
「時にはバイク乗りたちからゴチャゴチャ言われることも少なくありませんが、ひと足早く新型のバイクに試乗できたり、バイク乗りのアニメキャラクターを演じることができたり、素敵なバイク乗りの人たちと出会えたり……。バイクにまつわるたくさんの思い出ができました。この思い出はすべて私の宝物です!」
忙しいながらも充実したバイクライフを送っているが、周囲でバイク事故に遭った話を聞くと恐ろしく感じることもあるという。
「事故の話を聞く度に、心から恐ろしいと感じます。どれだけ自分が安全運転に気をつけていたとしても、いつどこに危険が潜んでいるかわからない。本当に恐ろしい乗り物だと思います。でも、それ以上に、バイクは自分にとって自由になれる大切な乗り物なんです。この、乗った人間にしかわからない『恐ろしい』と『楽しい』の矛盾した、言語化できない気持ちが、バイクの魅力なのかなって思います。何ごとも自由にリスクは付きものですから!」
だからこそ絶対に無理をせず、バイクと付き合っていきたいと語る。
「バイクに乗って、私自身の人生も人間もガラリと変わりました。バイクは私を成長させてくれたし、生活を彩ってくれた。そんなバイクにとても感謝しています」
自分がバイクに人生を変えてもらったように、この素晴らしさを1人でも多くの人に伝えたい……と、いつしか考えるようになったという。
「女だって、若くたって、お金がなくたって、背が低くたって、バイクを楽しめるということを、私が乗り続けて発信していくことで、たくさんの人に伝えていきたいです」
昨年夏には、ユニバーサルミュージックからミニアルバム『初雪〜ファーストラブ』をリリースし、ソロアーティストデビュー。歌手としての活動も増えたが、バイクに関する発信は続けていくつもりだ。もちろんそこには、人生を変えるキッカケとなったDUKEも一緒だ。
「たくさんのバイクを所有してきましたが、青臭い高校時代も、上京した時も、これまでの活動も一緒に味わってきたDUKEには愛着があります。2014年の初期型で、所有してから7年が経ちますが、どんなにボロボロになってもDUKEだけは手放さないつもりでいます!」