バイクビギナーにこそ、サーキットをオススメする理由
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「サーキット=危険」は大間違い! サーキット走行を経験したことがない人の中には、「サーキットなんて、ものすごいスピードで走るんだから危ない!」「プロレーサーが走る場所だから、初心者には無理!」なんて思っている人も少なくない。確かにMotoGPなどのレースでは、接触やスリップで転倒して負傷するシーンも時々見られる。しかしそれはあくまでもバイクレースという競技の中で起こるアクシデントであり、「サーキットを走ったから負傷した」というワケでは決して無い。それどころか我々の身近に、サーキットほど“安全に”スピードを出せる場所は他にない(ボンネビルのソルトレイクフラットなどの特殊な環境を除けば)のだ。
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サーキットが安全な理由とは?
理由1・・・対向車も交差点もない!
サーキットは走る方向が決まっている。スタートからゴールまで全員が同じ方向に向かって走る。また、一般公道のように横のわき道から飛び出してくる車両も無ければ、コーナーの先を隠してしまう建物もないので、遠くまで安全を確認できるのだ。
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理由2・・・ 公道よりもグリップが良くて道幅が広い!
一般的に公道には、タイヤの轍や舗装の剥がれ、マンホールや橋の継ぎ目など様々な凹凸がある。一方ほとんどのサーキットの路面はほぼ均一で凹凸が少なく、タイヤのグリップを高める舗装が施されてスリップしにくくなっている。
また、公道のように落下物、落石、砂などなど、事故を誘発する邪魔者も、走行前にしっかり取り除かれ、走ることに集中できるようになっているのだ。
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理由3・・・コース外にエスケープゾーンがある
サーキットには公道のように、道の両脇にガードレールがない。そのかわり、砂利や砂を敷き詰めた、あるいは舗装された広いエスケープゾーンがある。
万が一操作を誤ってコースからはみ出しても、落ち着いていればエスケープゾーン内で安全に停止することができ、再度コースに復帰することも可能。公道のようにガードレールにドカン! なんてことにはならないのだ。
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理由4・・・コース全体がしっかり管理されている
サーキットの各コーナーには、スタッフ(コースマーシャル)が常駐する「ポスト」と呼ばれる監視台が接地されている。コースの状況は各ポストから必ず見えるようになっているので、前方に転倒車両などの障害物がある場合には、黄色や赤色の旗を振って後続車に注意を促してくれる。
また、転倒したらコースマーシャルがレスキューにくるので、自分でバイクを起こそうとせず、安全確保のためにライダーはすぐにコース外に逃げるようにしよう。
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走るのが遅くても問題なし!「走行会」に参加しよう
「サーキットでゆっくり走っていたら、速い人の迷惑になる」「コーナーで膝を擦って走るなんてできないからサーキットには行けない」なんて思っている人も多いだろう。しかし、先にも書いたように「サーキット=レース専用」ではないのだ。
各サーキットでは、レース参戦に向けた練習を主目的とした「スポーツ走行」とは別に、一般的に「走行会」と呼ばれるイベントが開催されている。走行会は参加者のスキルに合わせてクラス分けされている場合がほとんどで、ビギナーがいきなり、レーサーばかりのクラスに放り込まれることはまずない。大体自分と同レベルの人たちと走ることができる。
また、何度も周回して同じコーナーを曲がるので、「このコーナーはもうちょっとバンクできそうだ」とか「こっちのブレーキのかけ方の方が操作しやすい」など、反復練習することで少しずつ上達することができるのだ。
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自分のスキルに合った走行会を探してみよう
走行会の目的はさまざまで、ビギナーがバイクの操作に自信を付けるためイベントから、レーサーを志す人にトップライダーが速く走るコツを教えるハイレベルなイベントまである。それぞれの走行会のパンフレットや説明文には、「これはこういう目的で、こういうレベルのライダーに向けた走行会です」としっかり明記してある。
また多くの走行会は自由に見学できるので、参加する前に一度どういう人たちが参加しているのか見に行くのもいいだろう。 中でもライダースクラブが主催するライディングパーティは、レベルに合ったクラス分けや先導ライダーの充実などで、サーキット初心者が走りやすいイベントになっている。
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次回は「走行会に参加するために必要なものとは?」を解説します 。