ネイキッドでスポーツライディングする:Part0【ネイキッドだからこんなモノ…そう思っていませんか?】
スーパースポーツと比べたら、ネイキッドのスポーツ性は低くて当然……ではあるのだけれど、だからと言ってネイキッドに、スポーツ走行においての長所がないわけではない。カテゴリーによる特性の違いを知ることで、ネイキッドでも、もっとスポーツを楽しめる!
スーパースポーツに寄せる走りを考える
これは、大排気量の標準的な車種を想定した話ですが、スーパースポーツはサーキットを速く走ることを最優先に設計され、ネイキッドは公道走行をメインに多彩なシーンでオールマイティに使える要素が盛り込まれています。とはいえスーパースポーツでツーリングすることも、ネイキッドでサーキット走行を楽しむことも十分に可能です。
ネイキッドとサーキットの関係性では、パドックでUターンや取り回しがしやすいとか、自走でサーキットを往復しやすいなどの長所がすぐに思い浮かびます。でも実際のサーキット走行中でさえ、ネイキッドのほうがスーパースポーツより優れている部分はあります。
例えば、大半のネイキッドはバーハンドルを採用していて、スーパースポーツと比べてアップライトなライディングポジション。結果的に、視野を広く確保できます。
本誌主催のライディングパーティ(通称・ライパ)は袖ケ浦フォレスト・レースウェイがホームコースで、その最終コーナー手前にある、かなりタイトな右ヘアピンカーブを苦手な場所に挙げる参加者が多くいます。スーパースポーツ乗りで、しかも経験が浅いと、腕に力が入り目線は下に……となりがちで、これだとタイトコーナーはより難しく感じるはず。でもネイキッドなら、自然と視野が広く保てるので、余裕を持ってラインを探せます。ネイキッドのほうが前後サスペンションがよく動く傾向なので、低速コーナーでは扱いやすく感じる人も多いでしょう。
ネイキッドというカテゴリーにも、ドゥカティ・ストリートファイターV2のように、スーパースポーツをベースに開発されたまさに〝カウルを省いて裸にした〞バイクもあります。このような車種の場合、特性はスーパースポーツに近くなりますが、とはいえバーハンドルの採用で姿勢がアップライトになっているだけで、スーパースポーツとの違いを走りからも感じられます。
つまり逆に考えると、ネイキッドを何も考えずに操っていると、スーパースポーツと同じようには走れないということにも……。だから、スポーティに走らせるときには、ネイキッドならではの操縦テクニックを取り入れ、走りをスーパースポーツに〝寄せていく〞ことが必要です。
そこで今回は、ネイキッドのライディングフォームやブレーキング、コーナリングについて、サーキット走行を前提にコツをお伝えします。ポイントを学んでからライパに参加していただければ、より安全かつスポーティに、ネイキッドのサーキットライディングを楽しんでいただけると思います。
(中野真矢)
SUPER SPORTS
純粋に速く走るためのポジション
NAKED
自由度が高くて安楽なポジション
- メリット
- 座る位置や姿勢が決まりやすい
- 低い姿勢を作りやすい
- 高速&高荷重を受けとめるサス
- デメリット
- 動ける範囲が小さく、荷重を操るにはコツが必要
- 視線が下がりやすくて視野も狭くなりがち
- ハードなサスペンションが怖さに繋がることも
- メリット
- 後輪に荷重しやすいポジション
- 姿勢の変化による挙動が分かりやすい
- ピッチングを作りやすい
- デメリット
- 最適な着座位置を見つける経験が必要
- 積極的にアクションしないと挙動が緩慢に
- フワフワしがちなサスは丁寧な操作が必要