【ライダーの憧れ?!”ヒザを擦りたい”】Part01:フォーム作りがはじめの一歩
サーキットでのスポーツライディングに目覚めたライダーたちが、最初に憧れることと言えば……いつの時代もやっぱり「ヒザ擦り」のはず。カッコよく、見ていて安心できる理想的なフォームでのヒザ擦りは、要点をひとつずつしっかり押さえてクリアすることで、きっと達成できる!!
PHOTO/S.MAYUMI TEXT/T.TAMIYA 取材協力/本田技研工業 TEL0120-086819 https://www.honda.co.jp/motor/ ヤマハ発動機 TEL0120-090-819 https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/
ヒザを擦りたい!
サーキットでスポーツライディングをする人たちにとって、最初の大きな〝目標〞となるのは、ヒザ擦りではないだろうか? 経験豊富でライディングが上手なベテランにとっては、ヒザ擦りなんて〝簡単〞なことだし、ヒザを擦ることに多少の気持ちよさは感じたとしても、それほどの執着はない。
でもビギナーにとって、「擦れるか、否か」はけっこうな問題。サーキット走行会のパドックを歩いていて、「つい、すれ違った人たちのニースライダーに目線が……」なんて人も少なくないかもしれない。
幅広いタレント活動の一方でバイク女子としても大活躍中の平嶋夏海さんも、「ヒザを擦りたい!」という願望を持ち続けてきたライダーのひとりだ。
ジムカーナの大会に本気で参戦するスポーツライディング好きで、125ccクラスで車体が小さいホンダ・グロムではヒザ擦り経験が辛うじてある平嶋さんだが、「ほぼ無理矢理擦った感じだったし、そもそもヒザが地面に当たった瞬間に、怖さを感じて足を引いてしまったから、擦ったというよりは触ったというくらいで……」という。
そこで本誌は、「中型以上のバイクでちゃんとヒザを擦りたい!」という平嶋さんの夢を叶えるべく、特別スクールを開催。講師は、世界各国のサーキットでニースライダーを擦り減らしてきた、元MotoGPライダーの中野真矢さんだ!
積極的に体を動かすのがフォーム作りがはじめの一歩!
ヒザ擦りチャレンジの前段階として、中野さんはスポーツライディングに対する心構えとポイントを以下のように解説する。
「スポーツライディングの基礎にあるのはライディングフォーム。ヒザを擦れる、擦れないに関わらず、理想的な走りを実現するために正しいフォームは必須です。プロレーサーには個性的なフォームで速い人もいるし、より速く走るためにトレンドが変化する場合もありますが、一般ライダーがファンライドを楽しむなら、まずはセオリーをしっかりマスターするべきです」
ジムカーナに親しんできた平嶋さんの場合、どうしてもサーキットでの定石とフォームがかけ離れてしまう瞬間も多かった。そこでまずは、正しいフォームを教わることに!
「とりあえず、気合と根性でバンク角を深くすれば、なんとかヒザを擦れるかと思っていたのですが……」
冗談交じりに話す平嶋さんに、中野さんはこう指摘する。
「たしかに、それでもヒザを擦れるかも。でも、正しいフォームができていなければマシンをコントロール下に置くことができず、深いバンク角になればより不安定になり怖さを感じやすいし、最悪の場合は転倒につながります。恐怖心とリスクの排除は、ヒザ擦りチャレンジに限らず楽しくスポーツライディングするための初歩。そのために正しいフォームは絶対的に必要なんです!」
直線で伏せるフォームが一番の基本
正しいフォームを意識しながら直線区間でしっかり伏せることでマシンとの一体感が生まれ、スロットルを開けられるようになることで、その先のブレーキングやコーナリングのリズムがよくなる。しっかり伏せるためには後ろに座らなければならないが、コーナリングでも燃料タンク後端と股の間にはスペースが必要で、前のめりにならないことへの意識にもつながる。
Before
After
コーナリングは全身で路面に近づく!
コーナリングフォームは、下半身でしっかり車体をホールドできる姿勢が基本。そのためには、燃料タンク後端と股の間に最低でも拳1個分のスペースを確保し、コーナーアウト側の内ヒザ付近でしっかり燃料タンクをホールドする。上半身を低めに構えてバイクとの一体感を高めるのも大切だが、このとき腕に力を入れてハンドルにぶら下がってしまわないよう注意!