【ライダーの憧れ?!”ヒザを擦りたい”】Part03:ブレーキングで路面は近くなる!
サーキットでのスポーツライディングに目覚めたライダーたちが、最初に憧れることと言えば……いつの時代もやっぱり「ヒザ擦り」のはず。カッコよく、見ていて安心できる理想的なフォームでのヒザ擦りは、要点をひとつずつしっかり押さえてクリアすることで、きっと達成できる!!
PHOTO/S.MAYUMI TEXT/T.TAMIYA 取材協力/本田技研工業 TEL0120-086819 https://www.honda.co.jp/motor/ ヤマハ発動機 TEL0120-090-819 https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/
ブレーキングのやり方次第で路面はもっと近くなる
例えば、複合的ではないシンプルなヘアピンカーブでは、よく言われるアウト・イン・アウトがセオリー。イン側にもっとも寄るクリッピングポイントをコーナー出口側に設定し、立ち上がりで車体を起こして加速できるラインが理想だ。
「ライン取りについては後ほどまた解説しますが、これを実現するためには、進入の段階でしっかり減速し、鋭く曲がることが必須。ブレーキング技術を高めることで、理想的なライン取りにもつながっていきます」
中野さんはこのように推奨。加えて、これが〝安全なヒザ擦り〞にもつながると解説する。
「本来旋回時のバンク角は、進入でブレーキをリリースした直後からスロットルを開け始める直前あたりまでがもっとも深く、つまりヒザが地面に近い状態。直立状態で制動のためのブレーキをするときは腕を突っ張って上半身を支え、曲がる地点に〝寄せる〞段階でも腕の力は抜き切らず、ブレーキリリースと同時に脱力する。結果、身体を地面に近づけやすくなり、バンク角との相乗効果でヒザを擦りやすくなるはずです」
①制動のためのブレーキは直立区間で終わらせる
②車体をバンクさせながら徐々に入力を弱める
③リリースすると一気に車体が深くバンク!
チョットした操作や 路面はもっと近くなる装備の違いでヒザの擦りやすさは変わる!
まずは得意なコーナーだけチャレンジしてみよう
サーキットビギナーの多くは、右コーナーよりも左コーナーのほうが得意と感じている。これは、右コーナーだとスロットルを操作する右手がイン側となり、肘を曲げた状態で横からグリップを握って繊細な操作をすることに、まだ慣れていないためだ。コースでヒザ擦りに挑戦する場合、まずは自分がもっとも得意と感じるコーナーを考え、そのコーナーだけで挑戦してみよう。
腰をズラしすぎると逆に路面が遠くなる
身体を大きくイン側に入れつつ落としたほうがヒザは地面に近づく。バンク角が少ないのに身体の量が多い状態は“無理ヒザ”と言えるフォームではあるが、ヒザ擦り達成の近道でもある。しかし、極端に腰をイン側にズラすと、フォームが安定しないばかりかイン側の足をうまく開けず、逆に地面が遠くなることも。お尻の割れ目がシートエッジの上にあるくらいがちょうどいい。
タイヤの空気圧は車両指定よりも低めに
車両メーカーの指定空気圧は、公道で段差やギャップを通過することなども想定しつつ設定されており、サーキットならある程度まで空気圧を落としても問題ない。空気圧を落とすメリットは、タイヤがたわみやすくなることにより、状態がわかりやすくなる点。加えて、圧をかけたときに接地面積が増えるので、グリップアップにもつながる。これらはヒザ擦りにも効くメリットだ。
サスペンションは柔らかめのセッティングがオススメ
ビギナーがヒザ擦りを目指すなら、サスセッティングは柔らかめがいい。とくにリアショックのプリロードは、適正値やメーカー標準値よりも弱めたほうが、平嶋さんもヒザを擦りやすいと感じていた。プリロードとは、あらかじめスプリングにかけておく負荷のことで、これを弱めるとライダーが車体にまたがったときにサスペンションが縮む量が増え、結果的にヒザが地面に近づく。
スライダーの位置は人それぞれ擦れ方でライダーのレベルも分かる!?
ニースライダーを擦る位置は、ライディングフォームや足の長さの違いなどから、ライダーによって微妙に異なる。中野さんの場合、「車種による違いはほとんどないけど、身長が低めのためか上側を擦ることが多く、現役時代はバンクセンサーのベース部を既製品よりも上側に設計してもらったこともありました」とのこと。なるべくスライダーの中心で擦れるよう位置を微調整しよう。