”パーツを換えることで、走りを変える”
理想の走りを実現するためには、地道な練習が当然ながら必要ではあるけど、バイクはオトナの趣味だから、ときには“お金にまかせて……”もアリ。そこで今回は、「自分の走りを進化させるため」として、ライテクに効くカスタムパーツについて考えてみる。まずは中野真矢さんに、それぞれのシーンに“効く”パーツについて教わった。
PHOTO/S.MAYUMI, K,MASUKAWA TEXT/T.TAMIYA
取材協力/カワサキモータースジャパン
0120-4000819 https://www.kawasaki-motors.com/
かつてヤマハ、カワサキ、ホンダのマシンでMotoGPに参戦し、現役時代からステップの形状に強いこだわりを持っている。現在は56designを運営する
ライテクのお悩み:もっと軽快に、気持ちよくバンクさせたい
- おすすめ解決プラン
- 車体を軽量化すると操作性は格段に良くなる!
- 悩みに効くパーツはコレ!
- マフラー
- ホイール
- ブレーキディスク
大前提として、バイクが軽いというのはメリットしかありません。ここでは旋回性向上がテーマですが、加速にも減速にも軽量化は効きます。
レース引退から15年近く経ちますが、私がいまだに違和感が抜けないのは車重の部分。近年のスーパースポーツがいくら軽量とはいえ、MotoGPマシンと比べたらはるかに重いわけです。私が夢のカスタムマシンを製作するなら、フィーリングのいいベース車をとにかく軽くして……。
ただし、市販車の軽量化には難しさもあります。というのも量産車は、開発時にメーカーがテストを重ね、良好なバランスになるよう設計されているわけで、カスタムによる軽量化はそれを崩す行為でもあるからです。またホイールやタイヤは、とにかく軽けりゃそれでいいというわけではないと言われています。ここが難しいところではあるのですが、とはいえ基本的には、軽量化は利点のほうが多いと感じています。
マフラーは、製品と車種によっては一撃で10kgくらいの軽量化も可能。カスタムパーツというより消耗品に近いですが、リチウムイオンバッテリーへの換装も効果は絶大です。また、カーボンブレーキディスクは単体重量が軽いだけでなく、回転によるジャイロ効果も弱まるので、コーナリングでの運動性能向上にはかなり効くパーツです。
ライテクのお悩み:ブレーキがどうしても苦手不安を解消したい!
- おすすめ解決プラン
- コントロール性を高める他軽量化も実は効果的
- 悩みに効くパーツはコレ!
- ブレーキディスク
- マスターシリンダー
- ブレーキキャリパー
- ステンレスメッシュホース
- ブレーキレバー
- マフラー
- ホイール
- サスペンション
ブレーキ性能の向上につながるカスタムは多岐にわたります。近年のスーパースポーツなら、制動力そのものはレースでもしない限り十分。一方でコスパ重視のモデルだと、ブレーキの制動力そのものがサーキット走行には足りていないこともあります。
前者の場合、ノーマルのバランスを大きく崩すことがネガにつながる場合もあるので、パッドやマスターシリンダー、レバーの変更などで、コントロール性を高めるカスタムも狙い目。後者の場合、ディスクやキャリパーの換装まで早い段階で視野に入れることになるかもしれません。
またブレーキ関連だけでなく車体の軽量化やサスペンションの性能向上も、制動距離の短縮やコントロール性の向上につながります。
ライテクのお悩み:ネイキッドだと下半身のホールドがしっかりできない!
- おすすめ解決プラン
- ステップ位置の調整と滑らないバーでしっかり踏ん張る
- 悩みに効くパーツはコレ!
- ステップキット
- ステップバー
- タンクパッド
ゆったりとしたポジションで外観重視の燃料タンクを採用する車種も多いネイキッドの場合、ハングオフの姿勢をしたときにうまく下半身で車体をホールドしにくいことも……。
ステップ位置が低すぎると、身長によっては外足が届きづらく、適正なステップワークやリアブレーキ操作ができません。また、快適性重視で振動伝達を抑止するゴムが付いたステップは、ダイレクトな入力ができず、滑りやすさもあります。
これらは、ステップキットの導入や、ノーマルと換装して使用するステップバーの変更で対処できます。また、タンクサイドに貼るグリップパッドを使うと、より確実に外足の内腿でホールドできるようになります。
ライテクのお悩み:コーナリングで車体の挙動が不安定になって怖い
- おすすめ解決プラン
- 足まわりをよく動くようにしてタイヤの路面追従性を高める
- 悩みに効くパーツはコレ!
- サスペンション
- ホイール
- ブレーキディスク
ポジションの改善などでもコーナーの安定感は高まりますが、前後サスペンションの高性能化やバネ下重量の低減による運動性向上は、それ以上に旋回パフォーマンスを高めます。
ノーマルの多くは、公道での快適性や二人乗りなども考えて設計され、コストの制約も大きいので、より運動性が求められるサーキット走行の場合、どうしても挙動が乱れることがあるものです。
ただし前後サスペンションの変更には、車体メーカーが開発時に作り込んだ絶妙なバランスを崩すリスクもあります。いくら高性能でも、適正にセッティングできていないのでは意味がありません。メーカーで選ぶより、装着する車種と自分の用途に適したプリセットになっているかで選ぶほうが、大事かもしれません。
ライテクのお悩み:どうしても前乗りになっていまい腕に力が入ってしまいがち
- おすすめ解決プラン
- ハンドルとステップを調整して後方に座りやすい姿勢にする
- 悩みに効くパーツはコレ!
- ハンドルバー
- ステップキット
- タンクカバー
- グリップ
正しいライディングフォームは、スキルアップに必須。絶対的な正解はなくても、セオリーはあります。
一般ライダーのNGフォームでとくに多いのが、着座位置が前すぎて股間まわりに余裕がなく、これにより下半身の燃料タンクホールドができず、結果的に腕でハンドルを押さえつけているパターン。この改善には、ステップ位置の変更と、それに合わせたハンドル位置の改善がまずは効きます。
着座位置を下げるタンクカバーを導入してホールド性を高め、自分が握りやすい太さや柔らかさのグリップに換装することで、腕にムダな力が入らないようにするのも効果的です。
ライテクのお悩み:安心して走れるラインや加減速のタイミングが分からない
- おすすめ解決プラン
- GPSで走行ラインやデータを記録し上手な人との違いを確認しよう
- 悩みに効くパーツはコレ!
- GPSロガー
自分の走りをデータとして可視化して、客観的に分析することは、スキルアップにとても役立ちます。
現役時代、MotoGPでは走行後にロガーデータばかり見ていました。MotoGPではサスペンションストローク量やギア段数、ブレーキの入力量なども表示されるので、市販の製品より情報量は多いのですが、とくに重要なのはコーナーのボトムスピードと加速度。これは市販ロガーでも把握できます。
ロガーデータはただ記録するだけでは意味がなく、分析して初めて役立ちます。また、できれば上手な人と比較できる機会を得ましょう!