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【おいしい回転数で走る、駆動力コントロール⑥:中野さんの“おいしい回転数”はどれくらいなのか?】

プロと一般ライダーでは回転差が2倍近いことも

一般ライダーの多くは「おいしい回転数を使え」と言われても、それがどのくらいなのかよく分からない。そして、だからこそトライできないことにつながっているに違いない。

そこで今回、1周40秒程度と短めの筑波サーキット・コース1000(四輪コース)で、元MotoGPライダーの中野真矢さんと、永遠のビギナーを自称する編集・藤田の走りを解析。使う回転数やギア段数にどのような違いがあるのか比較した。

バイクはホンダ・CBR1000RR-RファイアブレードSPで、12000rpmで最大トルクを、14000rpmで218psの最高出力を発揮。15000rpm手前でレッドゾーンを迎える。

テストの結果、中野さんと藤田の走りには、下図のように明らかな差があることが判明した。ギア比がロングなバイクのため、中野さんは1速を積極的に使い、車速が大きく落ち込むコーナーでも4800rpm以上をキープ。一方でエンジンブレーキ使用時は、シフトダウンやスロットルオフの瞬間に10000rpm程度まで回転数が上がっている。

これはひとつの参考データに過ぎないし、中野さんと同じように走るのははっきり言って無謀だが、プロはこのように、想像以上に高回転域「おいしい回転数」として使っていることがわかる。

短い加速区間でも しっかりスロットルを開けている

右のヘアピン(3コーナー)から左ターン(四輪インフィールド)にかけて緩やかな弧を描く切り返しや、左ターンから最終の複合コーナーにかけてなど、加速距離が短くても車体を立ててスロットルを開けられる場所では10000rpm以上まで回している。ここも一般ライダーとの差が大きく出る区間。

【コースデータ】全長:1000m/ホームストレート:253m/1コーナー:25R/2コーナー:60R/ヘアピン:16R/四輪インフィールド:30R&13R&12R/最終複合コーナー:10R&20R/最終コーナー:17R&94R
コースデータ】全長:1000m/ホームストレート:253m/1コーナー:25R/2コーナー:60R/ヘアピン:16R/四輪インフィールド:30R&13R&12R/最終複合コーナー:10R&20R/最終コーナー:17R&94R

強いエンジンブレーキを減速に利用してしっかり速度を落とす

シフトダウンによる強いエンジンブレーキの活用がとくに顕著だったのは、車体をほぼ直立させながら減速する右ヘアピンカーブ(3コーナー)の進入。

2→1速にダウンした瞬間、回転数は10000rpmまで上昇している。次の左タイトターンでも、同じく10000rpm付近からエンジンブレーキを使用。

ショートコースでもしっかりパワーバンドに入れている!

CBR1000RR-Rは、218psの最高出力を14000rpmで発揮し、15000rpm手前からレッドゾーン。中野さんはホームストレートで15000rpmまできっちり使い切ってから2速にシフトアップすることで、車速を伸ばしている。

一方の藤田は高いギアを使ってしまっているためその半分程度の回転数で、加速も鈍い。

大きなコーナーでパーシャルになるときは扱いやすい回転数をキープ

1 ~ 2コーナーは、トラクションをかけられつつもスロットル操作への反応が機敏すぎない、2速7000rpm前後でクリア。メーター読みの速度は100㎞ /h程度で、ギア比がロングなことから中野さんは1速も試していたが、操縦がシビアすぎてリスキーなため、最終的には2速に落ち着いた。

安全な領域を見極めるのも大切な作業だ。

GPSロガーと動画で実際の回転数を確認

GPSロガーのデジスパイスⅣで記録した速度やライン取りのデータと、GoProでメーターを撮影した走行動画を使って走りを記録して、中野さんと編集・藤田が使用するギア&回転数の違いを調べた。デジスパイスの正確なGPSデータは、走行動画に合成することができるのでライテク向上にも役立つ。

【Dig SpiceデジスパイスⅣ】4万8400円
問/デジスパイス https://dig-spice.com/jp/

Check!:編集・藤田は回転数にメリハリがないから加速も鈍い

タイトな右ヘアピンなどで2速を使えたが、ほとんどは中野さんが一切使っていない3速以上で、4速も使用。その結果、ホームストレート以外はずっと5000rpm以下となりエンジンブレーキを活かすことができていない。結果、車体の挙動に安定性が乏しく、トラクションがかけづらくなり、低速コーナーでダラダラと大回りになっている

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