【青木宣篤流 断じるライテクQ&A|Part01】スポーツライディングの安全な楽しみ方がわからない・・・・

憧れのサーキットを走ってみたものの、どうすればいいのか分からない──。より安全に走るために必要な心がけとは──?スポーツライディングの核心に、いきなり迫る。
PHOTO/H.ORIHARA, S.MAYUMI, YAMAHA
TEXT/G.TAKAHASHI
昨日までの自分よりカッコいい走りをめざして
スポーツライディングに悩みは尽きない。
私も過去、多くの壁に突き当たってきた。そしてレーシングライダーという職業柄、膨大なトライ&エラーを繰り返し、たくさん痛い思いをして、今に至っている。それでもなお、すべてがうまく行っているわけではない。今も悩むし、新たな発見もある。スポーツライディングは奥が深い。
悩みが尽きないのは、上達したい、向上したいという思いがあるからだ。その目標地点は、どこだろう。
レーシングライダーの場合は、タイムや順位だ。趣味としてスポーツライディングを楽しむファンライダーなら、目標は「もっとカッコよく走りたい」で十分だと私は思う。「昨日の自分よりカッコよく」――誰しもそう願っているはずだ。
今回は、読者の投稿や、実際に会った方から聞かれることが多かったお悩みに対して、さんざんトライ&エラーを繰り返してきた私なりのアドバイスを送らせてもらった。
私の経験が、皆さんの「よりカッコいい走り」を実現するための一助になれば、過去の痛い思いも浮かばれるというものだ。
Q1|サーキット走行会などに参加し始めたものの初心者すぎて、何から取り組めばいいか分かりません
Q2|すべてにおいて迷走しています……
A|ヒザ擦りへのこだわりはオススメしません。
詳しくは後述しますが、ライディングを崩す可能性があります。手前味噌になりますが、本誌主催のサーキット走行会「ライディングパーティ」など、しっかりしたインストラクターがいるイベントに参加し、積極的にいろいろ教わるとよいと思います。
ただバイクを走らせるだけの走行会では自分の課題になかなか気付きませんし、そうこうするうちに変なクセがついてしまう可能性が高くなります。
サーキット走行に限っては、「慣れるより習え」です。

Q3|安全にサーキットを走るにはどのような心がけが必要ですか?
A|まわりへの配慮が非常に大切です。
スポーツライディングは「ひとりひとりのテクニック」として語られることがほとんどですが、実は安全性を高めるためにもっとも重要なのは、他車と絡むクラッシュを絶対に起こさないことです。複数が絡んでのクラッシュは、大ごとになりがちです。
ルール&マナーは徹底的に守る。他との競い合いはしない。熱くならない。無理な追い越しはしない。誤った行為をしてしまった時は、手を挙げて詫びる──。コース上で会話はできませんが、手ぶりやアイコンタクトなどでお互いにコミュニケーションを取るようにしてください。常に譲り合いの精神で、「紳士のスポーツ」という意識を持っていただきたいですね。無事に帰ることが最優先です。
Q4|久しぶりに乗るとうまく曲がれず、楽しめません
A|当然です。
スキーやスノーボードなど、特定のシーズンに行うスポーツを想像してみてください。シーズンインして活動を再開してもうまく行かず、2回、3回と通うほどに体が動くようになるでしょう。スポーツライディングもまったく同じ。上達するには、間を置かずに練習することが大切です。
Q5|スポーツライディングとは何でしょうか?
A|ハードな運動です。
バイクだからと言って、ラクできるわけではありません。走り終わったら汗がダラダラ流れ落ち、サーキット走行をした翌日または翌々日に筋肉痛に見舞われるのが、スポーツライディングというもの。野球やサッカーとなんら変わるところはありません。
疲労は、スポーツライディングができているかどうかのバロメーター。疲れるぐらい体を使ってライディングしましょう。
