【Historic Bikes/~KAWASAKI Z1 900 SUPER4~】最速神話のはじまり-part2
世界を驚かせた衝撃のデビュー 排気量750ccの並列4気筒を搭載するホンダCB750フォアが発表され、世界を震撼させていたちょうどその頃、カワサキは次世代に向けたニューモデルを開発中だった。“NEW YORK STAEK”のコードネームを持つバイクはCB750フォアを超える使命をおび900cc並列4気筒DOHCという超ハイスペックをまとって登場し、当時の最強・最速となったZ。今回は「R/Cアーカイブズ」としてカワサキZをお届けする。第2回目は、その衝撃的なデビューとZ1の魅力を紹介しよう。
※この記事は過去に掲載された記事を再編集した内容です。
ナナハンを超えるモノを作る必要があった
CB750フォアの登場で、その機先を制され、カワサキはZ1の開発期間の延長を余儀なくされた我慢の歳月を送った。それまでの日本車としては異例な実走テストの繰り返しなど、改良を重ねる努力に費やされた。エンジンは耐久性を重視して、クランクシャフトの軸受けにボールベアリングを採用。
走行性能でも剛性のシッカリしたダブルクレードル・フレーム開発から、これも剛性を高めた足周りに至るまで、それまで最高速度付近はグラグラと車体が揺れるのを、パフォーマンスの高さで語られたのから、どんな状況下でも頑として安定性を崩さない、安心して乗れるトップクオリティを誇るバイクを目指したのだ。
究極を示す”Z”の文字
CB750フォアから遅れること3年、満を持してデビューしたカワサキZ1は、究極の頂点をアピールしてアルファベットの最後であるZをネーミングに採用しただけあって、DOHC採用のバリューも注目されたが、それまでのどのバイクより優れた高速安定性に当然の高い評価を得て、一躍トップエンドのバイクとして世界に認められたのである。
Z1が空冷4気筒というジャンルを確立した
暴れ馬を生み出すメーカーから最高のパフォーマンスながらジェントルで大人向けのクオリティを誇るメーカーへと変身したカワサキは、後発メーカーというイメージを完全に拭い去ることに成功した。
そしてこのZ1以降、カワサキは常にリファレンスな空冷4気筒スーパースポーツを供給するメーカーとしてのポジションを確立し、ライバルの目標となったのである。
実際、Z1をベースに500〜550㏄ クラスや、国内向けの400㏄ クラスでも、カワサキのZシリーズは性能の高さと安定性で絶大な信頼と人気を得るモデルを続出させた。
その高い人気があまりに長続きしたため、カワサキは水冷化の必要性に迫られず、GPZ900Rまで水冷化が遅れるという事態に陥ったほどである。
スーパースポーツのデザインを変えたZシリーズ
また、英国車から受け継いだZ1のティアドロップ型(涙の水滴をイメージさせるカタチ)燃料タンクは、Z1000系ではじまったニーグリップ部分をややフラットな形状となり、新たなコンベンショナルなスタイルも確立。
長い間ライバルたちが意識せざるを得ない、アップハンドルのスーパースポーツといえばカワサキがスタンダードという時代が続いた。
※この記事はRIDERS CLUB Vol.463を再編集したものです