【Historic Bikes/KAWASAKI GPZ900R Ninja】映画『トップガン』で一躍スターの仲間入り ーPART3ー
カワサキが目指したのは公道最速のスーパースポーツ -GPZ900R Ninjaー「個性」と「こだわり」ー③ 20年ものロングセラー続けたカワサキGPZ900R。Ninjaの名を冠したこの初のバイクはカワサキならではの反骨精神、マイノリティに特化したコンセプトで誕生したサイドが左右非対称となるサイドカムチェーン駆動の水冷4気筒やそのエンジンをあえて見せるためのカウル形状など開発者たちのこだわりが生み出した“個性”の塊だった。世界最速を標榜し、世界中のファンに愛されたGPZ900Rはやはり忘れることのできない稀有な存在だ。今回お届けするR/Cアーカイブスは、いまだに大人気を誇り唯一無二の存在となっている『GPZ900R Ninja』だ。そのデビュー以来、20年間ほとんど進化をすることなく、3回のビックマイナーチェンジのみ。ビッグバイクの進化が激しい中、時代の流れに抗いつつも常に圧倒的な支持をうけたその魅力を語る。(第3回/全3回)
※この記事は過去に掲載された記事を再編集した内容です。
最速へのこだわりはいまも変わっていない
1983年、パリサロンを皮切りにアメリカはラグナセカ・サーキットでのパフォーマンス試乗会で、GPZ900Rの115㎰、240㎞/h以上、0.400mを10秒台で駆け抜ける世界最速のポジションをアピール、Z1から11年目にして全世界のバイクファン垂涎のマシンがデビューを果たした。
アメリカではその後Ninjaというニックネームが与えられ、そのイメージ波及の大きさにカワサキ全スポーツバイクを総称するまでになったのはご存じの通り。
映画『トップガン』が人気を決定づけた
それから何と20年もの間、GPZ900RはA1モデルからA16モデルに至るまで、排気量を750へスケールダウンした日本国内仕様GPZ750Rなども生み出しながら、前輪を17インチとするなど時代に合わせた改良も加えつつイヤーモデルとしての変遷を遂げていく。
この間世界はレーサーレプリカ全盛期を迎え、アルミフレームや前傾姿勢に象徴されるレーシーな流行り一辺倒になったが、Ninjaファンは根強く存在し続けた。映画『トップガン』でも、主演のトム・クルーズが赤黒のGPZ900R NinjaでF14トムキャットを追いかける走行シーンが織り込まれ、人気に一層の拍車がかかったのはいうまでもない。
GPZ900R A12(1999)
GPZ900R A16(2003)
ファンに支持されるのは強烈な個性
この頑として崩れない「個性的」なビッグバイク・ファンを獲得したカワサキは、ご存じZZRシリーズへとフラッグシップの駒を進めることになる。同時にレプリカ・ゾーンにもZX-12Rのような、300㎞/hという絶対パフォーマンスを目指したカテゴリーも誕生、GPZ900Rのポテンシャルをふたつに分けた路線が現在もカワサキを支え続けているが、根底にあるのはサーキットではなく一般公道最速のポジションだろう。
これがカワサキの他と一線を画した譲れない「こだわり」なのは、カワサキ自身よりむしろファンの側にあるといって良いだろう。GPZ900Rの記録的なロングセラーぶりは、バイクに「個性」や「こだわり」がいかに色褪せないかを後世に伝え続けている。
サイドカムチェーン&GPZ900R NinjaのDNAを受け継ぐ『個性』と『こだわり』のラインナップ
GPZ1000RX(1986)
ZX-10(1988)
ZZR1100(1990)
ZZR1100(1992)
ZX-12R(2000)
ZZR1200(2002)
ZZR1400(2006)
Ninja ZX-14R(2012)200馬力に扱いやすさを加味した最新最速スポーツが登場!
GPZ900Rから始まったカワサキのフラッグシップの系譜。それは世界最速を標榜し、プライドをかけ、どの時代でも常にトップエンドに君臨し続けてきたカワサキの歴史でもある。
2012年、その歴史に新たに加わったのがNinja ZX-14Rである。もちろん、これまでのコンセプトはそのままに、最新技術のすべてが投入されている。
ニューエンジンは、排気量を1352㏄から1441 ㏄に拡大し、最高出力で200ps達成。数値だけ見れば、スパルタンなキャラクターを想像させるが、このパワーが常用域やワインディングにおいても扱いやすい特性にまとめられているのが、このバイクの驚くべきところ。Ninja 伝説は今も続いている。
※この記事は過去に掲載された記事を再編集した内容です。