【Historic Bikes/~SWM SIXDAYS 400~】~空冷の操つる楽しさ~【R/C インプレッション archives】
※この記事は過去に掲載された記事を再編集した内容です。
シェア拡大を予感させる高いポテンシャル SWMは71年にイタリアで創業を開始し、80年代初頭までモトクロスやエンデューロ、トライアルの分野で名を馳せてきたブランドだ。84年以降はその活動を休止していたが、15年にSWMモーターサイクルズとして復活。本国では125ccのモタードから600ccのアドベンチャーまで幅広くラインナップされ、ヴァレーゼにある工場からは続々と新型が送り出されている。
現在、日本では8機種(排気量違いも含めれば12機種)が展開されており、このシックスデイズ400は最新の1台だ。車名はかつてのエンデューロマシンに由来し、クラシカルなスクランブラースタイルが与えられている。 エンジンもそれに倣い、シンプルかつ力強い造形を持つ397ccの空冷単気筒を搭載
153kgの車重を27Lの力で引っ張るそのスペックは、例えばヤマハSR400が公表する175kg/24Lという数値を引き合いに出すと、力量がイメージしやすいのではないだろうか。 実際、スロットルを開けた時のパンチはかなりのものだ。どんな場面でもパワー不足はまったくなく、歯切れのいいサウンドをともないながら車速を押し上げていく。
加えて、エンジン回転が上昇していく時のフィーリングもいい。レブリミッターが作動する8500rpm超まで空冷らしくクリアに回り切り、その時に発する心地いいバイブレーションや路面を掴むトラクションがスピード感と巧みにシンクロ。そこにはバイクが発するエネルギーを自分でコントロールしている醍醐味があふれている。
ヤマハ SR400やドゥカティ シックスティ2に対する競争力は十分
ハンドリングは足の長いスクランブラーらしく、ロードホールディング性に優れたものだ。リヤサスペンションの設定はハードな部類だが挙動に神経質さはなく、穏やかにクルーズすることが可能。重心もステップもやや高いところに位置するため、車体をバンクさせたり、切り返したりする際はある程度意図して入力する必要があるものの、そこにはやはり自分で旋回力を引き出し、リズムを作り出しているという高い満足感がある。
総じて、シックスデイズはいいバイクだ。伝統的な基本コンポーネントとLEDを始めとするモダンな装備がバランスし、高い信頼性を確保。コストパフォーマンスの面から見ても、ヤマハ・SR400やドゥカティ・シックスティ2に対する競争力は十分にある。 ストリートで映え、操る楽しみがたっぷりあり、所有欲も満たしてくれるシックスデイズは、今年乗ったモデルの中でも指折りの意外性を見せてくれた。これからのシェア拡大が楽しみなブランドだ。
SWM SIXDAYS 400(SWM ・シックスデイズ400) ディテール
Specifications:SWM SIXDAYS 400(SWM ・シックスデイズ400/440)
エンジン | 空冷4ストローク単気筒 |
バルブ形式 | SOHC4バルブ |
総排気量 | 397(445)cc |
ボア×ストローク | 85(90)×70mm |
圧縮比 | 10対1 |
最高出力 | 27(29)ps/7000rpm |
最大トルク | 3.36(3.67)kg-m/5500rpm |
変速機 | 5速 |
クラッチ | 湿式多板 |
装備重量 | 153㎏ |
サスペンション | F=φ43mmテレスコピック正立式 |
R=スイングアーム+ツインショック | |
ブレーキ | F=φ260mmシングルディスク |
R=φ220mmシングルディスク | |
タイヤ | F=100/90-19 |
R=130/80-17 | |
全長/全幅/全高 | 2150/813/1209mm |
軸間距離 | 1452mm |
シート高 | 874mm |
燃料タンク容量 | 17L |
価格 | 69万9840円 |
※本スペックは『ライダースクラブ 2018年12月号』掲載時のものです。