【Historic Bikes/MV AGUSTA F4 RC(MVアグスタ・F4 RC)】~WSBの匂いを放つ圧倒的存在感~【R/C インプレッション archives】
※この記事は過去に掲載された記事を再編集した内容です。
スペックを確実に引き出すためハンドメイドで組み上げ
MVアグスタのラインナップの中でもフラッグシップに位置するモデルがF4シリーズだが、その中でも飛び切りスペシャルなマシンが存在する。それがここで紹介するF4RCだ。 RCとは「Repart Corse(レパルト・コルセ)」の略称で、現在ワールドスーパーバイク選手権の舞台で戦っているレース部門のことを指す。
誇り高いその名を冠しているのは伊達ではなく、レオン・キャミアを度々上位へと導いたワークスマシンの雰囲気がそのまま再現されていることが分かるだろう。 外観のみならず、それに包まれたエンジンにもレーサーさながらのスペックが与えられている。コルサ・コルタと呼ばれる超ショートストロークエンジンはSTDの状態でさえ、205psを発揮するが、同梱されるSCプロジェクト製のチタンエキゾーストやレーシングECUを組み込めば、最高出力は212ps/1万3600rpmに到達。そこにあるのは、まさに異次元の世界である。
そのスペックを確実に引き出すため、F4RCはワークスマシンと同様にハンドメイドで組み上げられ、クイックリリースタイプの燃料キャップやドライカーボンのカウル、アルミ削り出しのミラーステーといった専用パーツも装備される。 もちろん軽量化も進められ、乾燥重量はSTDのF4RRよりも7kg軽い183kgを達成。レーシングキットを装着した状態なら175㎏まで削ぎ落とされている。
そういう出自ゆえ量産は難しく、限定250台でリリースされたものの、世界中のエンスージャストから瞬く間に予約が入り、即オーダーをストップ。日本に割り当てられた、ごく限られた台数の内の1台に今回触れることができた。しかも生産100台目というキリのいいシリアルナンバーを持つ個体である。 個人の所有車で、しかもほぼ降ろしたての状態だったため流す程度に留めたものの、ストロークがたっぷり確保されたサスペンションと鋼管フレームがもたらすしなやかな感触は、『ライダースクラブ 2017年10月号』でお届けしたレオン・キャミア車のインプレッション(小川編集長と宮城光が試乗)に通じるところがあり、絶対的な車重の差を除けば、F4RCとワークスマシンは根幹部分でつながっていることが感じられた。 孤高の存在ゆえに、WSBの舞台でもひと際目をひくのがレパルト・コルセのマシンだ。そこに込められた戦いのDNAが、F4RCには引き継がれていた。
MV AGUSTA F4 RC(MVアグスタ・F4 RC)ディテール
フロントフォークには減衰力調整が左右で完全にセパレートされるオーリンズのNIX Type30を装備。ブレーキキャリパーはブレンボのGP4
Specifications:MV AGUSTA F4 RC(MVアグスタ・F4 RC)
エンジン | 水冷4ストローク並列4気筒 |
バルブ形式 | DOHC4バルブ |
総排気量 | 998cc |
ボア×ストローク | 79×50.9mm |
圧縮比 | 13.4対1 |
最高出力 | 205hp/13100rpm |
フレーム | スチールパイプトレリス |
サスペンション | F=オーリンズ製Nix30φ43mm倒立 |
R=オーリンズ製TTX モノショック+片持ちスイングアーム | |
ブレーキ | F=φ320mmダブルディスク |
R=φ210mmシングルディスク | |
タイヤサイズ | F=120/70-17 |
R=200/55-17 | |
全長/全幅 | 2115mm/750mm |
軸間距離 | 1430mm |
シート高 | 830mm |
乾燥重量 | 183kg(レーシングキット装着車=175kg) |
燃料タンク容量 | 17L |
色 | レッド/ホワイト/グリーン |
価格 | 488万1600円 |
販売台数 | 250台 |
『ライダースクラブ 2018年2月号』掲載時のものです。