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【Historic Bikes/SUZUKI】人気・新型モデルや試乗レポート、名車や歴史など魅力を大解剖!

※この記事は過去に掲載された記事を再編集した内容です。

歴史の振り返りからみるスズキのバイクの魅力

1962、63年にはマン島TT 50ccクラスで優勝

スズキのルーツは1909年、鈴木道雄が22歳のときに静岡・浜松で創業した鈴木式織機製作所にある。当初の織機は木鉄混製の足踏み式だったが、やがて鉄製となって精密化するとともに大型化していった。その技術は自動車製造にも通じるため、1930年代から四輪車や二輪車の開発に乗り出したが、戦争による軍需拡大に飲み込まれて頓挫。太平洋戦争が始まると手榴弾や追撃砲などの兵器生産に注力せざるをえなくなった。

そして終戦後、農機具や楽器生産を手掛けるなか、1952年の自転車用補助エンジン・アトム号の試作機に続き、これを改良した36cc空冷2ストローク単気筒エンジンのパワーフリーE1型を発売した。翌年に排気量を60ccまで拡大したダイヤモンドフリーを発売し、第1回富士登山レースではクラス優勝の快挙を成し遂げた。

1963年マン島TTレース(伊藤光夫)

1954年に社名を鈴木自動車工業株式会社に変更するとともに、初の完成車となるコレダCOを発売。翌年には90ccから123ccにボアアップした空冷4ストローク車コレダCOXの他、軽四輪車スズライトも発売する。自動車メーカーとしての地位を確立すると、1960年からマン島TTに参戦。1962年にドイツ人ライダーのエルンスト・デグナーが、1963年には伊藤光夫がそれぞれ50ccクラスで優勝し、スズキの名を世界に知らしめた。

大排気量車の生産を始めたのは1968年で、500cc空冷2ストローク並列2気筒を搭載するT500を発売。1969年のハスラー250、1971年のGT750など2ストロークの名車の他、1974年には国産唯一となるロータリーエンジンを搭載するRE5など個性的なバイクを次々と開発。1976年に初の4ストロークとなるGS400とGS750を発売。GS750は初の4気筒エンジンでもあり、いわばこれが現在のGSX-Rシリーズの元祖となる。

世界中のバイクファンを驚かせた“ケルンの衝撃”

1980年のケルンショーに登場し、話題を独占したカタナのプロトタイプ

そして1980年、GSX1100S カタナがケルンショーで発表されるとたちまち世界中の話題となったが、国内では750ccの自主規制の壁が立ちはだかり、これが輸出した車両を国内へ送り返す“逆輸入車”の流れを生むことになる。1983年にはRG250Γを発売。市販車初のアルミ角フレームを採用した意欲作で、レプリカブームを生み出すきっかけとなった。翌年のGSX-R400、翌々年にはGSX-R750を発売してGSX-Rシリーズを確立させるとともに、GSX-R750では初の油冷エンジンを採用してスズキの新たな強みを生み出した。

スズキ RG250Γ(1983)

90年代には今に続くロングセラーモデルを輩出

1990年に社名をスズキ株式会社に変更。1999年には二輪車累計生産台数が4000万を超えた。同年にはGSX1300R隼、SV650と今に続くロングセラーかつヒットモデルを発売している。

スズキ 隼/ハヤブサ(2014)

2019年には新型のKATANAを発売したばかりか、ジクサー250では油冷エンジンも復活させた。奇をてらわず、かつ独創的な発想と温故知新のバランスの妙がスズキの魅力だ。あまり特筆されないが、安定性に優れる扱いやすいエンジンやハンドリング特性も持ち味である。

スズキの新型モデルで人気・定番の車種はこれ!

スーパースポーツであるGSX-Rシリーズは非常に充実している。GSX-R1000R ABSをフラッグシップとして、750、600、150、125と豊富な排気量バリエーションを持つ。残念ながら750、600、150は輸出仕様のため国内で入手するには逆輸入車になるが、特に今や750cc並列4気筒はGSX-RとGSX-Sのみで、その存在価値は貴重だ。

スズキ GSX-S750 ABS(2020)

これも逆輸入車のみとなるが、GSX1300隼の存在感は2008年のフルモデルチェンジから12年が経過するにもかかわらず依然として大きい。3代目となる最新モデル開発も進んでいると見られており、2020年のケルン、あるいはミラノショーで発表されることを期待したい。
GSX-S1000をベースとして復刻された新型KATANAは今もっとも注目したいスズキ車だ。マフラーやステップキットといった定番カスタムパーツに加えてハンドルポジションを下げるキットも各メーカーが開発、販売している。

スズキ 新型「KATANA」(2019)

Vストローム650/1050は、今が旬のアドベンチャーモデルとして正統進化してきた。エンジンはそれぞれSV650とTL1000がベースとなっており、熟成された水冷V型2気筒は安定した出力性能で定評がある。Vストローム250はエンジンこそ系統が異なる並列2気筒だが、やはり全域に渡って扱いやすいトルク特性を持ち、アドベンチャーモデルとして優れた性能に仕上がっている。

スズキ Vストローム650 ABS(2020)


ジクサー150に続いて今年発売されたジクサー250は、11年ぶりの復活となった油冷エンジンを搭載するシングルスポーツだ。ネイキッドモデルのジクサー250のほかにフルカウルを装備するジクサーSF250もラインナップされている。

“ケルンの衝撃”で有名なスズキGSX1100S カタナ(刀)


KATANAのルーツとなるGSX1100S カタナは、1980年のケルンショーで発表され、世界中のメディアやファンから熱い視線を集めた。ベースとなったのはGSX1100Eで、エクステリアの重要性に気づいたスズキが、ターゲットデザイン社に依頼して製作したものだ。日本刀をモチーフとした直線と曲線を巧みに組み合わせたデザインは賛否両論を生み出し、のちに“ケルンの衝撃”として語られることになる。

スズキ GSX1100S カタナ(1981)

GSX1100S カタナが販売されると欧米市場でも瞬く間に人気モデルとなったが、当時の日本ではメーカー自主規制により排気量750cc未満のモデルしか国内販売していなかった。そのためスズキはエンジンをスケールダウンしたGSX750Sを発売した。

しかしここでさらに厳しい道路運送車両法が障害となる。スクリーンとセパレートハンドルが認可されていなかったからだ。そのためGSX1100S カタナのエクステリアの重要ポイントであるスクリーンがなく、さらに大仰なアップハンドルが装着された。

GSX1100S カタナ同様のフォルムに改造するオーナーも多かったが、違法改造として警察による取り締り件数も増えた。俗にいう“刀狩り”だ。このためGSX1100S カタナを購入すべく、海外へ輸出した車両を日本へ送り返す“逆輸入車”が一般的になった経緯がある。

スズキ GSX750S(1982)

途中で生産終了したこともあったがファンの声に応えて復活し、最終的には2000年までGSX1100S カタナは生産され続けた。しかしGSX1100S カタナの人気は衰えることなく、スズキの名車として語り継がれ、復活を望む声もやはり絶えることはなかった。

スズキ GSX1100S カタナ(2000)

そして2017年、今度は“ミラノの衝撃”が起きた。ミラノショー(EICMA)の会場にGSX-S1000をベースとしてカスタムされたKATANA3.0が展示されたのだ。これはイタリアのバイク雑誌モトチクリスモの発案により、ロドルフォ・フラスコーリが製作したものだった。

スズキはこの企画を市販化にこぎつけるべく急ピッチで開発を進め、翌年のインターモト(ケルンショー)でスズキのニューモデルとして発表された。2019年に国内発売されると、たちまちスズキを代表する人気モデルとなり、スズキ主催の第1回KATANAミーティングには1600人が参加。販売計画台数1000台を大幅に上回る受注と販売数を記録している。

スズキ 新型「KATANA」(2019)

多彩なバリエーションを有するスズキGSX-Rシリーズ

今や多彩な排気量バリエーションを持つGSX-Rシリーズだが、1984年に登場したGSX-Rは400cc水冷並列4気筒エンジンを、軽量なアルミ角パイプフレームに搭載したレーサーレプリカからはじまった。これはボルドール24時間耐久レースなどで優勝したGS1000Rをモチーフとしており、装備重量177kgの軽い車体に、クラス最高となる59psものパワーを発生するモンスターマシンだ。2ストロークのRG250Γ同様、タコメーターに3000rpm未満の目盛りがないことからも、ハイスペックな走行性能を見て取れる。

スズキ GSX-R(1984)

輸出車ながら同年にGSX-R750もデビューし、スズキ独自の油冷エンジンを初採用。油冷エンジンの特徴は軽量コンパクトな点にあり、アルミ角パイプフレームも相まって同クラス車と比較して20kg近い軽量化を達成していた。GSX-RもGSX-R750もヨシムラとのタッグによって数々のレースで勝利したが、とくにボルドール24時間耐久におけるデビューウィンは油冷エンジンの優れた高出力と耐久性を証明した。

1986年に登場したGSX-R1100は、750同様に油冷エンジンをアルミフレームに搭載したスーパーバイクだ。パワーウェイトレシオ1.5kg、0→400mを10秒3、最高速度260km/h超という驚異的な性能を誇り、飛び抜けた性能は4ストローク大排気量スーパースポーツ時代をもたらし、GSX1300R隼に受け継がれていく。

スズキ GSX-R750(1986)

国産バイクの大排気量化が進むなかでGSX-R400が生産終了すると、1997年にGSX-R600、2001年にGSX-R1000が登場する。どちらもベースとなったのはGSX-R750で、軽い車体とハイパワーだが扱いやすさに優れるエンジンを特徴としている。

2017年のフルモデルチェンジでは上位グレードとなるGSX-R1000Rが登場。フロントフォークにはSHOWA製BFF、リヤショックにはSHOWA製BFRC-liteを装着した他、ローンチコントロールやステンメッシュブレーキホースなどを備える。スタンダードとなるGSX-R1000もエンジン出力変更可能なモードセレクター、6軸IMUによるABSやトラクションコントロール、ブレンボ製モノブロックキャリパーなど充実の装備によって安全性も高めたスーパースポーツに仕上がっている。

スズキ GSX-R1000R ABS(2017)

スズキ バイクの中古車市場の状況は?

KATANAは発売から1年しか経過していないため中古車の相場は高く、新車価格から15万円落ちくらいが中心だ。とはいえスズキ正規店の試乗車落ちなど低走行車も多く、マフラー交換程度の差額になるため、狙い目ともいえる。

GSX1100S カタナは100~200万円と価格相場が広いうえ、極上コンディションやフルカスタム車は300万円に迫るものもめずらしくない。最終型となる2000年式は200万円前後、80年代の車両なら100万円を切るものもあるが、すでに40年弱となる経年を考えると購入後の出費は覚悟したほうがいいだろう。
GSX1300R隼も中古市場の人気モデルで、初期型なら60~70万円あたりが中心相場となっている。2型も100万円を切る車両が多い。高年式は120~140万円が中心価格帯で、比較的購入しやすいモデルといえる。

カスタムでも注目はやっぱりKATANA

ノーマルの完成度が高いKATANAだが、カスタムパーツは各メーカーから豊富な種類がリリースされている。マフラーやステップキット、アクスル&フレームスライダーも外せないポイントだが、KATANAの場合はスクリーン、ハンドル、フェンダーをカスタムすることで、より精悍なフォルムを作り出せる。

特に注目度が高いのがハンドルだ。ノーマルはアップライトな乗車姿勢を狙ったデザインだが、垂れ角をつけた低いポジションにすることでKATANAのボディラインがより際立つ。バータイプとセパレートタイプがあり、角度や高さも様々なので、できれば実車にまたがってポジションも確認したうえで選びたい。

さらにスクリーンとテールカウルをロングタイプに換装することで、KATANAの力強いスタイルが強調される。マフラーも合わせて換装したいポイントだ。

※この記事は2020年5月現在の情報を元に作成をしております。モデルや価格、中古車相場価格など変更となる場合がございますのでご了承ください。

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