【Historic Bikes/~SUZUKI GSX1100S KATANA~】色褪せない伝説Part3
※この記事は過去に掲載された記事を再編集した内容です。
80年代を代表する名車の衝撃のスタイリング ケルン・ショーでの衝撃のデビューで世界を驚かせたKATANA。しかし、時代はその後レーサーレプリカ全盛へと動き、レーシングマシン然とするデザインが主流となっていた。
そしてKATANAやNinjaのような、レーサーとは趣を異にするバイクの王者としてのフォルムが次第に影を潜めることとなった。しかしだ。KATANAは1987年に一度は生産を終了したものの、1990年に根強い人気に応えるカタチでスズキ70周年アニバーサリーモデルとして復活、そこから何と2000年に至るまで継続生産されるという紛れもない伝説の存在となったのである。
まさにオンリーワンのマシンとなったのである。
感性で捉えるバイク
スポーツバイクは確かにパフォーマンスを楽しむのが一般的にプライオリティとして位置づけられるが、ファン心理はそれだけというほど単純なものではない。何よりKATANAの成功と、時代を超えた人気の高さがそれを立証してみせている。
もちろん、それはノスタルジックを求める復刻調を意味しているのではない。KATANAはあのままで存在し続けることがファンには大事なのであって、この延長線上に進化したモデルを望んでいないのは明白だ。求められているのは、KATANAのデビュー時に与えた衝撃のような、バイクを新たな感覚で捉えることができる感性なのではないだろうか。
デザインで世界を変えた
考えてみれば、KATANAはTSCCエンジンこそ搭載していたが、それまでの価値観を引っくり返すような画期的なテクノロジーが反映されたバイクではなかった。人々の心を揺さぶったのは、この他に比べるものがないオリジナリティ溢れるフォルムだ。
そうしたスズキのチャレンジにファンは拍手しバイクを好きであったシアワセも噛み締めていた。
SUZUKIが持つ独自性
スズキはKATANA以降も、レーサーレプリカで油冷エンジンという、ファンを泣かせる美しいエンジンで酔わせたり、隼(HAYABUSA)のような、これも他に類をみないフラッグシップを世に送り出してきている。スズキには、他社では躊躇しがちな思いきった独自性に割り切れる、同社ならではの気概があるのだ。
ビッグバイクでは、個性やこだわりという面で外国勢にリードを許しがちな昨今、日本のメーカーの中にあってマイノリティの側で戦略を練ってきたスズキやカワサキを、依然として多くのファンが支持している現状からもそれは間違いのない事実といえるだろう。
将来、どんなカタチの、独自の個性を魅力としたバイクが我々の前に登場して新たな伝説を構築してくれるのか? 既に35年を過ぎているにもかかわらず依然として新鮮な感動を与え続けているKATANAを見るにつけ、その思いを強くせずにはいられない。