【Historic Bikes/SUZUKI GSX-S1000 & GSX-S1000F】ファンをうならせた、強心臓ネイキッド
スズキのアイデンティティーともいえるGSX-R。その歴史は30年にもなる。そんなスーパースポーツのエンジンをベースにしたネイキッドがスズキから登場した!
※この記事は過去に掲載された記事を再編集した内容です。
軽さ、速さ、小ささ、乗りやすさ。新しいカテゴリーとなるGSX-Sの2台は、このすべてがバランスし、いかにもスズキらしいパッケージにまとめられていた。フルカウルとネイキッド、2台のGSX-Sは、スズキでもっともスポーティーなGSX-Rエンジンを搭載しつつも、あらゆるシチュエーションでライダーに優しい感性が際立っていた。低速域で扱いやすく、中高速域では目が覚めるような速さを見せる。それでいてスーパースポーツのような難しさ、手強さは皆無だった。
初めて走る峠ならGSX-Rよりも速く、しかも楽しく走れるかもしれない……走り始めた瞬間からそんな手応えがある。
2台の違いは、見た目どおりカウリングの差だが、ハンドリングもサスペンションの設定を変更し、それぞれをしっかりとつくり込んでいる。フルカウルはしっとりとして落ち着きがあり、ネイキッドは時には軽快すぎると感じるほどで、細かい峠道を苦にせず、その排気量を感じさせることなくキビキビとコーナーを駆け抜ける。
豊かなトルクを発揮するエンジンは、カムなどを変更することでGSX-Rよりも低中速寄りにチューンされ、扱いやすい。さらに最新のGSX-Rでなく、いまよりもロングストローク時代の05〜08年モデルのエンジンをベースに選んでいるところにもこだわりを感じさせる。だから、早めのシフトアップで常に4000rpm以下の走行でもまったく苦にならない。
さらにGSX-Rや隼でさえ搭載していないトラクションコントロールも装備する。3段階の設定が用意されているが、もっとも介入度の高い3でもコーナーの立ち上がりではストレスの無い効き方を披露し、1と2では直線で意地悪にスロットルを開けない限り介入してこなかった。通常時は3にセットしておけば最大効率の加速をサポートしてくれる完成度の高さが印象的だ。
スロットル全閉から開け始めのところに若干スナッジを感じるが、走っていれば慣れるレベルだろう。
敢えて剛性の高くないフレームや硬くないサスペンションを備え、ストリートでの使い勝手を追求したS1000とS1000F。
セパハンのスポーツバイクは……でも、まだまだ元気にバイクでスポーツしたい!そんなスズキファンへおすすめできる2台だ。
SPECIFICATIONS | GSX-S1000F ABS( )内はS1000 |
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エンジン | 水冷4ストロークDOHC4バルブ 直列4気筒 |
総排気量 | 998cc |
ボア×ストローク | 73.4×59㎜ |
最高出力 | 145㎰/10000rpm |
最大トルク | 10.7㎏f・m/9500rpm |
圧縮比 | 12.2/1 |
燃料供給方式 | フューエルインジェクション |
変速機 | 6速 |
クラッチ | 湿式多板 |
フレーム | アルミツインスパー |
キャスター/トレール | 25°/100mm |
タイヤF | 120/70 ZR17 |
R | 190/50 ZR17 |
ホイールベース | 1460mm |
全長×全幅×全高 | 2115mm×795mm×1180mm |
シート高 | 810mm |
車両重量 | 214kg(209kg) |
燃料タンク容量 | 17L |
価格 | 116万6400円(111万5640円) |