【Historic Bikes/MV AGUSTA F3 800】熟成するミドル3気筒
MVアグスタが誇るミドルクラスのスーパースポーツがF3 800だこのほど、その2015年型をテストする機会に恵まれ、そのフィーリングを体感軽快なハンドリングとフレキシビリティーに溢れるエンジンがさらに進化していた。
取材協力/MV AGUSTAジャパン TEL0538-23-0861
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※この記事は過去に掲載された記事を再編集した内容です。
熟成するミドル3気筒
街乗りからサーキットまで快適にこなせる万能スーパースポーツとして高い人気を誇ってきたモデルがMVアグスタのF3 800だ。今回、その’15年型に試乗したわけだが予想以上にフィーリングが変化。大幅に熟成が進んでいることに驚かされることになった。まず公式にアナウンスされている’14年型からの変更点は次の通りだ。
①ARROW製カーボンサイレンサーの新採用
②テールランプのLED化
③フレーム/カウル/リアサスペンションのカラーリング変更
④各種ロゴの意匠変更
⑤新電子デバイスRLMの追加といったところである。
このうち①〜④は見た目通りの変更とも言えるが、特にカーボンサイレンサーとLEDテールランプの採用は一見して華やかさと質感が向上しているため、そのプライスに対するオーナーの満足度は高いに違いない。
注目はRLM(Rear Lift-Up Mitigation)と呼ばれるABSと連動した新システムだろう。これは制動時に浮き上がろうとするリアホイールの動きを抑制するもので、一定のホイール回転数差とサスペンションのストローク量を検知した際にブレーキの圧力を制御。過度なピッチングを軽減し、姿勢の安定化を図るものである。
今回の試乗コースである筑波コース1000には数カ所のハードブレーキングポイントがあるが、そこでの効果は明らか。フロントブレーキだけを握り込み、あえてフルストロークまで追い込んでも車体の安定感を崩すことはなかった。
減速というよりも急ブレーキ的なテストをすればさすがに一瞬浮き上がってくるものの、その制御にも不自然さはなく、走行ステージを選ばない極めて有効なシステムと言えるだろう。
実はそうした改良の数々よりももっと驚かされたことがあった。それがサスペンションとマッピングの熟成度合いで、ハッキリ言ってしまえば従来型とは別モノ。
特に低中速域での軽快感の向上は目を見張り、ヒラリヒラリとコーナーを舞うように駆け抜けていくふるまいは「洗練」や「最適化」という言葉では表現しきれないほど上質なものになっていた。
エンジンレスポンスとトルク感も同様で、ともすれば軽々しく回り過ぎるきらいもあった低速域のフィーリングが改善。スロットルに対するリニアさが増し、扱いやすさが向上していた。
それらが見事にバランスし、人車一体感に溢れる’15年型のF3 800はスキルを選ばない理想のライトウェイトスポーツとしておすすめできる1台だ。
Specifications | F3 800 |
---|---|
エンジン | 水冷4ストローク DOHC4バルブ 直列3気筒 |
総排気量 | 798cc |
ボア×ストローク | 79×54.3㎜ |
変速機 | 6速 |
フレーム | スチールトレリス |
サスペンションF | マルゾッキ製φ43㎜倒立 |
R | ザックス製リンク式モノショック |
ブレーキF | φ320mmダブル+ブレンボ製4Pラジアルマウントキャリパー |
R | φ220mmシングル+ブレンボ製2Pキャリパー |
タイヤサイズF | 120/70-17 |
R | 180/55-17 |
全長×全幅 | 2060mm×725mm |
ホイールベース | 1380mm |
シート高 | 805mm |
乾燥重量 | 173㎏ |
色 | レッド/アゴ シルバー、マットメタリック セナ ブラック、ルアイスホワイト/アビオグレー |
価格 | 189万円 |
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