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ライパ先導インストラクター 友野龍二さん そのバイクライフに迫る

友野龍二さん:群馬県生まれの53歳。車両・部品・燃料・タイヤ・OA機器・遮断熱塗料の販売、損保代理業などを本業とする傍ら、MFJ公認インストラクターとしても活動。「何屋さん?」という質問が多いらしい

愛するツインでレコードを塗り替えてきたセミプロライダー MFJ公認インストラクター 友野龍二さん ライダースクラブ誌のイベント『ライディングパーティ』では先導ライダーを務め、クシタニの走行会ではインストラクターとして活動している友野さんはライディングの美しさに定評があるセミプロライダーだ。

レースをやりきった後で見つけたバイクの面白さ

ライディングパーティで先導ライダーを務める友野龍二さん。前回は自身のテージ3Dで走行し、空冷Lツインの快音をサーキットに響かせた。参加者と一緒になって思い切りブン回しながら、楽しそうに先導業 務を行う姿がとても印象的だった。

ビクトリーカスタムペイントによる 3Dペイントが施されたM1100S。 文字や模様が立体的に見える凝った 塗装がモンスターを引き立てている

「ライパは走行枠が6本あるから時間に余裕がないんですけど、できるだけパドックを歩き回って、参加してくれた皆さんと話す機会を作ってます。ライディングの疑問でも何でもいいので、気軽に声をかけてもら えるとうれしいですね」

外装はもちろん前後スイングアー ムまで丁寧にペイントされたテージ3Dは、一度見たら忘れられない強烈な印象を残す。しかし、もしも皆さんがライパに参加して友野さんのテージ3Dを見かけたら、タイヤに注目してもらいたい。トレッドは荒れずダマもなく、均一に端まで溶けていることに気づくはずだ。

レースと比べればペースが遅い走行会とはいえ、ここまできれいにタイヤを使うライダーはあまりいない。スロットルワークにムダがなく、なおかつリーンのタイミングとのズレがなく走っていることの証だ。ライディングがきれいだからこそ、タイヤもきれ いに溶けるのだ。

質の高い ライディングの楽しさを たくさんの人に 知ってもらいたい

友野さんはMFJ 公認インストラクターの資格を持つ国際ライダーだ。ライパの他、クシタニの走行会では指導員を務める。

「フロントタイヤがロックするような急制動や、フルブレーキでリーンさせていくコーナリングはサーキットでしかできません。こうした経験は一般道での安全運転につながります。事故の怪我でバイクに乗れなくなった人たちもたくさん見てきました。今、元気にバイクに乗ってる人にそうなってほしくないですから」

友野さんは選手権を戦わずして国際ライセンスを取得した異例のライダーだ。79戦出場したレースはすべ てアマチュアレースで、デビューも30歳を過ぎてからという遅咲きだ。

「バイクで飛ばすことは好きでしたけど、決められた場所を決められた 時間に走るレースは窮屈というか、もっと自由にバイクを楽しんでいたいと思っていたんです」

友野さんは第2次バイクブームの最中に高校時代をすごした世代だ。

「限定解除してからはバイクバカまっしぐらでした(笑)群馬県は榛名山、赤城山、妙義山の上毛三山のほかに白根山などがあって、環境に恵まれてるんです」

VT250F、GSX-R750、CB750F、SRX-6、GPZ900R、R1100GSなどを乗り継ぎ、大学時代はもちろん社会人になってもバイクを走らせ続けた。

「行きつけのショップの店長に声をかけられて、ボクサートロフィーにR1100Rで出場したのが初めてのレースでした。賞典外で出場していた当時のライダースクラブ編集長とバトルになって、 ラスト2周で抜いてトップになれたんです。表彰台の真ん中に立ってみたら、レースもけっこう面白いなと」

これを機に友野さんはレースに没頭する。さまざまなマシンで参戦したが、空冷2気筒が好きだったこともあって主戦機はモンスター900になった。BOTTやモトルネ、クラブマンロードレースといったイベントレースに出場し、筑波と岡山国際と菅生ではクラスのコースレコードを更新する活躍を見せる。

「916レーサーを買って出場したこともありましたが、速くはないマシンをチューニングしたり、走り方を工夫することで、速く走らせるほうが楽しかったですね」

モトコルセの依頼を受けてDB5でレースに出場したのも、やはり理由は同じだった。チューニングを繰り返し、レースで勝てるマシンを作っていく面白さを存分に味わった。

「仕事と家庭、年齢を考えると、レースで犠牲になるものは少なくないです。とくに転倒で失うものは多くて、時間、物品、お金、ときに健康も失ってしまう。だからこそ転倒し ないことが大事で、転ばないための走り方をしてきました。30 歳を過ぎてレースをはじめたから、そういう考え方ができたんだと思います」

これは一般道でも同じことが言えるだろう。〝やりたいことをやりきった〟とレースを引退し、国際ライセンスを取ったのが11年前。それ以来、リスクを減らしつつ楽しめるスポーツ走行の普及に努めている。

「正しい乗り方を覚えて実践すれば危険は回避できます。走行会のインストラクターは国内外の選手権出身のライダーが多い中、僕はアマチュアレース上がりだから参加者の皆さんの視線や立場に近い。だからこそ気づくことがあるし、トップライダーと一般ライダーとの間にある溝を埋められると思うんです」

大人の趣味としてのバイクレースやサーキット走行は、そのリスクを減らすためにどうしたらいいかに集中するため、短期間で速くなれるメリットがあると友野さんは話す。

「ライディングの質を向上させれば、バイクはもっと楽しく、安全になります。それをより多くの人に知ってもらいたいと考えています」

最近はオフロードにハマっていて、できないことがたくさんあったと発見の連続だという。

「一般道で役立つスキルを覚えられますし、道なき道を行くための先読み力を鍛えられますね。53歳になっ ても、まだまだ向上できることに喜びを感じてます」

友野さんはバイクライディングの奥深さをあらためて実感している。そうしてオフロードで鍛えられたスキルは、走行会などで参加者にフィードバックされていくことだろう。

ライパの先導では、自身のテージ3DやドゥカティのスーパースポーツSで走っている
もちろん主催者が用意した最新モデルも走らせ、その感触をたしかめつつ先導する
走行の合間はパドックのあちこちに出没して、参加者と会話できる機会を作っている。友野さんを見かけたら臆せずに気になることを訊いてみよう
群馬県はオンロードからオフロードまで走る場所が豊富だ
ムルティ ストラーダ1200での雪道アタック。友野さんはテージ3Dでも雪道に踏み込むチャレンジャーだ
セロー250でのアタックツーリングと同時にフィルムラッピングにも夢中。転倒キズの修復が容易なこともその理由だ
筑波、岡山国際、菅生のコースレコードを更新したモンスター900。レースは引退したものの、このマシンには思い入れがあるため手放せず、ガレージの奥に展示するようにして保管している
M900、GPZ1100、TESI 3D、スーパースポーツS、M1100S、さらに2台のセロー250がガレージに並ぶ。空冷エンジンが友野さんの好みだ

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