公道をスマートに走るための基本テクニック【ブレーキのかけ方で安定と安心が得られる!】
例えばサーキットでも、ストレートで加速させるだけならスロットルを開けるだけでいい。ところが多くの人がプロライダーのように開けられないのは、その後に減速できないから。〝ちゃんと止まれる〞は大きな安心感をもたらし、結果的にはスムーズな走りにつながる!
ただ〝止まる〞ではなく意のままに〝操る〞に!
公道でバイクに乗っている人なら、誰でもバイクのブレーキを使えて当然。ところが実際は、ブレーキをしっかりコントロールできていないライダーは多い。スイッチのようにONとOFFだけの入力でも、速度を調整したり信号で止まったりすることはできる。でも、カーブが連続する峠道のように運転の難易度が高めになると、車速や車体姿勢を繊細に調整できなければ上手に走れない。だから、初めてサーキットを走った人がブレーキングに苦手意識を感じることは多いのだ。
ただし繊細なブレーキングは、サーキットのハードブレーキングでなくても学べる。というより、公道の速度域で軽くレバーやペダルにタッチするような操作を練習することで入力の〝段階〞を増やせるし、弱いブレーキングを意のままにコントロールできると、強いブレーキングも制御できるようになるのだ。
POINT1:どこからブレーキが効くのか愛車の特性を知っておこう
ブレーキのレバーやペダルにはアソビがあり、その先から効き始める。上手なライダーは、その直後にある“僅かにブレーキの摩擦抵抗が発生した状態”を、制動や車体姿勢維持(または変化)などに活用している。レバーやペダルをギュッと握る(踏む)のではなく、1~100%の入力をなるべく細かくコントロールできるようになるのが理想。そのためにはまず、「1がどこにあるか?」を知っておきたい。
POINT2:レバーは遠目にセットするのがオススメ
フロントブレーキレバーは、近くにセットした方がしっかり握れるように思えるが、第2関節が90度近くまで曲がるとそれ以上は力を入れづらいし、微妙な力の強弱ができなくなる。だからレバーは遠めにセットするのがセオリー。最近の主流である、ドッグレッグレバーと呼ばれる犬の足のような形状のレバーは、根元側の湾曲した部分に指をかけて操作するのが基本で、中指の第1関節がギリギリかかるくらいでOK !
POINT3:グリップの握り方でコントロール性も変わる
フロントブレーキを繊細に扱うためには、レバーを“握る”ではなく“引く”意識を持つことが大切。加えて、レバーを遠めにセットするのが基本だ。この状態を成立させるためには、グリップをベタッと手のひら全体ではなく、車体の外側から包むように握る(小指と薬指の付け根あたりで握る)ようにする。また、走行中に手首が曲がっていると、とっさにブレーキレバーに指が届かなくなる原因にもなるので注意したい。
POINT4:徐々に強く握るのが前のめりする原因!
いきなりガツンとレバーを握るのもダメだが、かけ始めが緩やかすぎて途中から制動力を強めると、速度が落ちたところで必要以上にフロントフォークが沈み込んだ状態となり、車体の挙動を乱す。上手なライダーはブレーキング開始の早い段階で最大効力を発揮させ、その後は制動力を緩めながら調整するので、ノーズダイブも制御できる。
POINT5:リアブレーキの併用で姿勢は安定
リアブレーキを使ってなるべく前後輪両方に荷重をかけると、より安定感が増す。減速時にリアブレーキを先にかけてリアサスペンションを沈ませ、そこからフロントブレーキをかけていけば前のめりになりにくく、車体全体が路面に押し付けられて安定する。足裏をステップにしっかり載せたまま、足首を使ってペダルを踏むと、細かい調整がしやすい。
POINT6:狙った場所にピタリと止めるよう停止線などで日々練習!
繊細なブレーキコントロールは、普段のツーリングや市街地移動でも磨ける。例えば赤信号で停止するとき、狙ったポイントにぴったり止めるなんて訓練も、操作感覚を養うのに役立つのだ。細かい作業が得意な手の指で操作するフロントブレーキとは異なり、足で踏むリアブレーキは繊細なコントロールが難しいので、敢えてリアブレーキだけで止まってみるなんて練習もオススメ!