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スポーツライテクQ&A【スロットル編】|中野真矢が一発回答!

「スロットルさえ開ければ誰でもフル加速させられる」なんて思われがちだが、じつはそのためには多くのテクニックが必要で、ちゃんとできていない人も多い。スポーツライディングの快感に直結する“加速”のことを見直そう!

Q1:繊細なスロットル操作が苦手で、全開にできない!

A:グリップを斜めから握るのが鉄則!

肩から直線的に腕を伸ばすようにしてベタッとハンドルを握ると、特に右コーナーでは手首が返しづらくなり、スロットルをうまく開けられません。

またこれだと、ハングオフの際にイン側の肘が窮屈になりやすいというデメリットもあります。よく言われることですが、ハンドルは外から斜めに、包み込むようなイメージで握るのが基本です!!

Q2:スロットルを開けた瞬間、後輪が滑りそうで怖い!

A:開け始めの約15%以下の操作が重要

車体がバンクした状態でスロットルを一気に開けると、エンジンパワーが掛かりすぎて後輪が滑り、トラコンがあっても制御しきれない場合も。そこで、立ち上がり直前でスロットルを開け始めるときは、最初に開度15%前後まで少し開けます。

これは、ドライブチェーンの弛みをなくし、駆動力を少し後輪に伝え、リアタイヤの接地感を探りつつグリップを引き出してあげるようなイメージ。これが理解できると、走りは格段に上達しますよ!

Q3:大きく開けて加速していくのが怖い……

A:早めに車体を起こし、タイヤの中央寄りを接地させよう

タイヤには摩擦円という概念があり、深いバンク角で横方向に多くのグリップを使っているときは、前後方向に使えるグリップが減ります。そこで立ち上がりでは、スロットルをワイドオープンする直前に、身体をイン側に残しつつマシンをスッと起こし気味にしてからフル加速するのが理想。

そのためには、マシンの向きが変わるのをしっかり“待つ”ことと、立ち上がりがタイトにならないライン取りが必須です。

コーナリングのフォームのまま車体だけ起こす動作が効果的
コーナリングのフォームのまま車体だけ起こす動作が効果的

Q4:加速しながらシフトアップするタイミングは?

A:パワーバンド付近がトラクションを得やすいが……

直線区間なら、シフトアップしたときにエンジン回転数がパワーバンドから外れてしまわないところまで引っ張ってからギアを上げる方が、繋がりがよくスムーズに加速させ続けられます。

ただし、まだマシンがある程度寝ている状態でシフトアップするときは、路面の状況やマシンのパワーに応じて、早めにギアを上げることもあります。

Q5:スムーズに加速するコツは?

A:探るようなスロットル操作はやめよう

立ち上がりでスロットルを開けたけど、外にはらみそうになってオフ。少し待って再びオン……なんて走り方だと、サスペンションのピッチングで挙動が乱れ、後輪のトラクションも安定しません。

また、立ち上がりでエンジン回転数が低すぎるとトラクション不足でグリップを引き出せず、パワーバンドだと過敏すぎて操作が難しくなります。適切なギアを選びましょう。

閉じたり開けたりするとギクシャクしやすくトラクションも抜けがち
閉じたり開けたりするとギクシャクしやすくトラクションも抜けがち

Q5:加速重視の走行ラインって、どんなライン?

A:ボトムスピードを落として鋭く曲がるV字のライン

大排気量車の場合、ヘアピンカーブのようなタイトターンでは、コーナー中間でしっかり減速を続け、マシンの向きを変えるポイントを明確につくる“V字ライン”が理想的です。これを実現するためには、もっともイン側に近づくクリッピングポイントをコーナーの立ち上がり側に設定し、イン側に寄せるのが早くならないよう注意しつつ、しっかりアウト側から進入。

マシンの向きが変わるまでガマンしてからスロットルを開けます。立ち上がり重視は安全かつ速いですよ!

Q6:加速はトラクションコントロールまかせでもOK?

A:上達を目指すなら、自分でグリップを作るのが大事

「最近のレーシングライダーはトラコン任せ」なんて言われることもありますが、彼らも後輪のグリップをしっかり引き出す操作をした上でマシンを加速させています。近年の市販スーパースポーツに搭載されているトラコンはかなり優秀ですが、安全装置と心得て、まずは自分でグリップを探る感覚を養いましょう!

Q7:加速はトラクションコントロールまかせでもOK?

A:後輪を路面に押しつけるテクニックです

「加速するのにブレーキって……」と思うかもしれませんが、減速が目的ではなく、リアブレーキを引きずるように使って後輪を地面に押し付け、リアのグリップを引き出してあげるような操作を取り入れるときもあります。

またドンツキが激しいバイクの場合、スロットルオン寸前にリアブレーキを踏むことで、車体の挙動が乱れるのを緩和できる場合も……。

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