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BMWモータースポーツの象徴『M』を冠にするトップモデルが登場! 『BMW M 1000 RR』

“M”の名を持つロードゴーイングレーサー BMW M 1000 RR BMWのスーパースポーツと言えば「S1000RR」だがより高いパフォーマンスを持つ、新たなグレードが加えられることになった 「Motorsport」を意味する頭文字を持つ「M1000RR」がそれだ ここでは、そのスペックや装備を可能な限りお届けしていこう

そもそも“M”とは何か?

BMWの四輪にはMの名を冠したモデルが幾種類もある。M5セダンやM8クーペなどがそれだが、通常のラインナップに対してスポーティな装備が与えられているところが特徴だ。もっともそれも当然で、Mはそもそも「Motorsport」を意味する。

より正確に記すと、BMWの別動隊として「Motorsport GmbH(有限会社モータースポーツ)」という別会社があり、そこから送り出されたモデルに「M」の文字が付けられたのだ。 この会社はかなりの歴史を持ち、設立されたのは1972年のこと。

その頃隆盛を誇っていたETC(ヨーロッパツーリングカー選手権)は激烈を極め、社内の一部門でまかなうには無理があった。そこでBMWはレースに専念できるプロ集団を組織することを決定。結果、既述の別会社が誕生したのである。 その成果は早々に表れ、’73年には3.0CSLがETCのメーカーズタイトルを獲得。Motorsport GmbHが開発したエンジンはフォーミュラレースでも躍動し、BMWのスポーツ性を世に知らしめたのである。

本来は競技専門の会社だったものの、やがて市販車にも関わるようになり、後に社名を「M GmbH」へ変更。いずれにしてもスピードの象徴として今に至っている。

本来は競技専門の会社だったものの、やがて市販車にも関わるようになり、後に社名を「M GmbH」へ変更。いずれにしてもスピードの象徴として今に至っている。

BMW M1000RR 強力なダウンフォースを生み出すMウイングレット

唐突にティーザーが始まったBMWのニューモデルが、この「M1000RR」だ。マシンのシルエットとカラーリングは、「S1000RR」に近しいものだが、車名のM(=Motorsport)が示す通り、よりパワフルに、より軽量に仕上げられたハイパフォーマンス仕様である。

これまでもS1000RR・Mパッケージ/ MパッケージDDCというグレードはあったわけだが、「M」の文字が車名の頭に付けられた初のモデルとして、BMWの2輪史に名を残すことになるだろう。 注目すべき点は、昨今のトレンドであるウイングレットの装備だ。ボックス形状のそれはカーボンで成型され、時速300㎞の時点で車体フロントに13.4㎏、リアに2.9㎏のダウンフォースを発生。エンジンの出力をロスなく加速方向に活かしつつ、ブレーキング時のスタビリティ向上も図られている。

BMWがMウイングレットと呼ぶ空力パーツ。上面から見ると単なるボックスではなく、小さな整流板を持つ凝った形状になっていることが分かる
ダウンフォースは50km/hの時点で明確に発生し(0.5kg)、ハイウインドスクリーンとの相乗効果で安定性が向上する

エンジンにもかなり手が入っている。最高出力はS1000RR比で5hpアップの212hpを公称し、その発生回転数は1000rpm上乗せされた14500rpmに到達。これを実現するため、コンロッド、ピストン、ピストンリング、ロッカーアームといった部分が刷新され、可変ファンネルの採用によって吸気効率も見直されている。

そのパワーを制御する電子デバイスも充実し、ライディングモードはレイン/ロード/ダイナミック/レースの他、S1000RRではオプションだったレースプロ1/2/3を加えた全7パターンを標準装備。トラクションコントロールやウイリーコントロールといった従来の制御もそれぞれ最適化されている。

車体側で注目すべきは、ホイールベースが17㎜延長され、リアの車高調整やピボットの位置調整が可能になっているところだ。これによってサーキットを前提としたキャラクターがより明確になった。
公道走行が可能な最強最速マシンとして、21年初夏の導入が予定されているため、楽しみに待ちたい。

BMW M 1000 RR DETAILS

6.5インチのフルカラーTFTディスプレイはGPSデータロガーシステムとも連動し、様々な情報が表示される。フロントフォークはマルゾッキを採用。ピンポイントなセットアップを実現するため、電子制御ではなく機械式となる
6.5インチのフルカラーTFTディスプレイはGPSデータロガーシステムとも連動し、様々な情報が表示される。フロントフォークはマルゾッキを採用。ピンポイントなセットアップを実現するため、電子制御ではなく機械式となる
Mブレーキと呼ばれる専用のモノブロックキャリパーを装備。レースABSによってバンク中の減速も可能にしている。ディスク厚はS 1000 RRよりも0.5mm厚い
Mブレーキと呼ばれる専用のモノブロックキャリパーを装備。レースABSによってバンク中の減速も可能にしている。ディスク厚はS 1000 RRよりも0.5mm厚い
カーボンホイールを採用し、俊敏なハンドリングを実現している
カーボンホイールを採用し、俊敏なハンドリングを実現している
エンジンは基本構造を踏襲しつつ、各部をアップデート
エンジンは基本構造を踏襲しつつ、各部をアップデート
画像のステップキットとアルマイト加工が施されたシルバーのスイングアームは上級グレード「Mコンペティションパッケージ」の専用アイテムだ
画像のステップキットとアルマイト加工が施されたシルバーのスイングアームは上級グレード「Mコンペティションパッケージ」の専用アイテムだ
S 1000 RR比で3657g軽量のチタンエキゾーストシステムを装備する
S 1000 RR比で3657g軽量のチタンエキゾーストシステムを装備する
■主な電子デバイス ●ライディングモード(7パターン)●ピットレーンリミッター ●ローンチコントロール ●ダイナミックトラクションコントロール ●ウイリーコントロール ●スライドコントロール ●ヒルスタートコントロール ●ダイナミックブレーキコントロール ●シフトアシストPro ●クルーズコントロール
■主な電子デバイス ●ライディングモード(7パターン)●ピットレーンリミッター ●ローンチコントロール ●ダイナミックトラクションコントロール ●ウイリーコントロール ●スライドコントロール ●ヒルスタートコントロール ●ダイナミックブレーキコントロール ●シフトアシストPro ●クルーズコントロール
S 1000 RRとの出力特性の差を表したグラフ。パワーとトルクは6000rpm以上の領域になるとS 1000 RRを凌駕。より軽量なチタンコンロッドやナロータイプのロッカーアームなどによってレブリミッターも引き上げられ、15100rpmで作動する

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