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中野真矢が太鼓判! いよいよデリバリーされる『Aprilia TUONO 660』その実力とは!?

中野真矢が最速インプレッション Aprilia TUONO 660 以前ファーストインプレッションをお届けしたフルカウルのRS660に続いて日本でデリバリーが開始される、ミドルツインストリートファイターのトゥオーノ660。自在に操れるライディングポジションと車格、そしてエンジンパフォーマンスに、元MotoGPライダーの中野真矢さんも「これは楽しい」と太鼓判を押す!

以前の撮影時はウェットで思うように乗れなかったRS660にもあらためて試乗。原田哲也さんと中野真矢さんによるトークインプレッションもお届けする。両者、コーナリングの楽しさを絶賛!
以前の撮影時はウェットで思うように乗れなかったRS660にもあらためて試乗。原田哲也さんと中野真矢さんによるトークインプレッションもお届けする。両者、コーナリングの楽しさを絶賛!

スロットルを“開けられる”楽しさ、“開ける”ことで得られる安心感!

適度なパワーを生むエンジンと軽量な車体に、市販車として最高レベルの充実した電子制御システムを組み合わせた新感覚ミドルスーパースポーツが、’21年の新機種となるRS660。その兄弟車となるのが、6月のデリバリー開始が予定されているストリートファイター系のトゥオーノ660だ。

水冷直列2気筒エンジンは、RSの100㎰に対して95㎰。ファイナルギア比をショート化し、フロントフォークや電子制御の仕様変更を施し、ステップラバーやスイングアームプロテクター(右側のカカトと接触しやすい部分)を追加するなど、じつは外装やハンドル以外にもRSとトゥオーノの相違点は多い。それらの積み重ねもあって、両車を乗り比べた元モトGPライダーの中野真矢さんも、「想像以上に違いが……」とフィーリングの差に驚いていたが、ここではトゥオーノに絞ってインプレッションをお聞きした。

「シートが高く、最初にまたがるときはやや驚きますが、走りはじめてからは“ちょうどよさ”が光ります。扱い切れる範囲内にあり、筑波サーキット・コース1000の短いストレートでもスロットルがカチッと全開位置に当たる感触を味わえます」

まずは、そのエンジン性能にとにかく好感を得たようだ。

「回転がとてもスムーズで、トルクのあるエンジン。最初はストリート用のダイナミック、次にサーキット向けのチャレンジで乗りましたが、どちらのモードでもトラクションを掛けやすくて、結果的にギアを選ばない走りができます。例えばタイトコーナーで、1速に落とそうかな……と普通なら悩むシーンでも、2速のままで十分なトルクを発揮してくれて、前に進みます」

そしてこの特性が、コーナリングにも好影響を与えるという。

「絶えずトラクションを掛けられるので、抜けてしまう感覚がなく、安心感につながります。そもそも一次旋回の段階でもよく曲がるのですが、ちょっとスロットルを開けるとさらに安心して操れて、開けることでグリップが生まれてよく曲がる……というのがおもしろいです」

レッドゾーンは11500rpmからで、最大トルクを発生するのは8500rpmだが、「4000rpmあたりでも十分ついてきます」と中野さん。最高出力は10500rpmで発揮されるが、「レッドゾーンまで引っ張らず、気持ち早めにシフトアップしてトルクを使って加速させるほうがスムーズなので、目を吊り上げてシビアに乗る必要もなく、結果的に気持ちよくサーキットライディングできる特性」と分析する。

また、エンジン特性が秀逸なことが、マシン全体の印象をかなり良くしているようだ。

「ブレーキやサスペンションなどは、リッタークラスほどハイグレードなパーツが奢られているわけではないのですが、エンジンがいいから車体の動きを制御しやすく、なんら気になりません。やっぱり、4ストロークのバイクはまずエンジン……と思わされます。唯一、クイックシフターだけは欲しいと思いましたが、オプション設定されているということでひとまず安心です。まあ、シンプルな方を好む人もいるでしょうしね」

レース出身の中野さんだが、「今となってはアップライトで楽なポジションのほうがいい……」と笑う。
「ほどよい前傾にもなり、でもRSとは明らかに異なるトゥオーノは、公道で操るのに最適な設定。しかもエンジンは、深く考えず適当なギアで走れてしまうイージーさを備えています。これは、初めて買うバイクとしても、ベテランが楽しむのにも、かなりいいと思います!」

Aprilia TUONO 660 使える回転域もオススメしたいユーザー層も、広い!

RS660と基本部が共通化されたアルミ製フレームとエンジンを使うが、ステップがラバー付きになるなど、細かい相違点は多い。マフラーは左右出し
RS660と基本部が共通化されたアルミ製フレームとエンジンを使うが、ステップがラバー付きになるなど、細かい相違点は多い。マフラーは左右出し
270度クランクの水冷並列2気筒エンジンは、マップ変更により最高出力をRS660よりも5ps低い95psに。ファイナルはRS660よりショート化
270度クランクの水冷並列2気筒エンジンは、マップ変更により最高出力をRS660よりも5ps低い95psに。ファイナルはRS660よりショート化
RS660には標準装備されるアップ/ダウン対応のクイックシフターはオプション扱いとなる。また、電子制御にIMUは使っていない
サイドカウル部のダブルフェアリング構造が、ダクトウイングの役割を担う。ミドルクラスネイキッドとしては量産車初の装備だ
KYB製の倒立フォークはRS660用とは仕様が異なり、右側のみにプリロードとリバウンドの調整機構を備える。ホイールトラベルも10mm減の110mm
デイタイムランニングライト(DRL)を採用し、昼間はライトオフ&DRLオンの状態で走行可能。ヘッドライトの切り替えは、右手側スイッチでも可能
デイタイムランニングライト(DRL)を採用し、昼間はライトオフ&DRLオンの状態で走行可能。ヘッドライトの切り替えは、右手側スイッチでも可能

SPECIFICATIONS

  • エンジン:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ
  • 総排気量:659cc
  • ボア×ストローク:81.0×63.93mm
  • 圧縮比:13.5:1
  • 最高出力:95ps/10500rpm
  • 最大トルク:6.83kgf・m/8500rpm
  • 変速機:6段リターン
  • クラッチ:機械式スリッパーシステム付き湿式多板
  • フレーム:ダブルビームアルミ製
  • サスペンション:F=KYB製テレスコピック倒立フォークφ41mm、R=モノショック
  • Fブレーキ:φ320mmダブルディスク+ブレンボ製ラジアルマウント32mm対向4ピストンキャリパー
  • Rブレーキ:R=φ220mmシングルディスク+ブレンボ製34mm対向2ピストンキャリパー
  • タイヤサイズ:F=ピレリ製ディアブロ・ロッソコルサⅡ 120/70ZR17、R=ピレリ製ディアブロ・ロッソコルサⅡ 180/55ZR17
  • 全長×全幅:1995×745mm
  • ホイールベース:1370mm
  • シート高:820mm
  • 車両重量:183kg
  • 燃料タンク容量:15L
  • 価格:130万9000円

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