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ライテクQ&A【GPライダーに聞きたい!編】|元モトGPライダーが一問一答!

ここまで、シチュエーション別にプロの乗り方を教えてもらってきたが、このページではもっとフランクに、GPライダーに聞きたいことを質問してみた。バイク整備から好みのバイクなどなど、彼らの本音を引き出すぞ!

Q=バイクの整備準備で最も気を使うことは?

A=Aoki:気にするのはタイヤ。整備はおまかせ!

常に意識しているのはタイヤです。空気圧はもちろん、ヒビ割れや減り具合などには気を配りますし、冬場なら温まり具合にも注意を払います。

その他の整備に関しては、できるだけプロにお任せしています。自分の整備は信用できないから(笑)。

A=Nakano:タイヤのコンディションがやっぱり一番気になる

空気圧やヒビ割れなど、タイヤの状態が一番気になります。とくにサーキットを走行する際、は最初の数周は本当に慎重で、タイヤの状態とグリップを確認するように走っています。

他にはチェーンの張りも走行に直結するので確認します。

Q=ブレーキで腕上がりする…筋トレが必要?

A=Aoki:好みのグリップを見つけるといいかも

ブレーキングで腕上がりするのは、相当なハードにブレーキングするプロライダーの領域です。こればかりはバイクを走らせて体を作るしかありませんが、ポイントになるのはグリップの太さです。太い、細い、硬い、柔らかいと、いろいろ物がありますが、自分に合っていないと腕上がりしやすくなります。

実はグリップ選びは、どのメーカーのバイクに多く乗ってきたかが影響します。ホンダ育ちのライダーはメーカーが変わってもホンダ製を使い続け、ヤマハ育ちのライダーはヤマハ製を使い続ける、という具合です。自分に合ったグリップを探すのも手かもしれません。

グリップで疲れ方も変わってくる

A=Nakano:まずはフォームを見直してみては?

ブレーキングではある程度腕に負担は掛かりますが、下半身で車体をホールドするなどで軽減できるので、ライディングフォームから見直すといいかも。鍛えるべきは下半身、腕、首……全身ですね(笑)。

Q=排気量の違うバイクでの練習は意味がある?

A=Aoki:小排気量にはマシンの限界を体感できるメリットが

大いに意味があります。小排気量車なら限界がすぐに訪れるし、パワーもあまりないので多くの人がレッドゾーンまで回し切れるでしょう。スピードもさほど出ないので思い切ったブレーキングやコーナリングができるはず。それら限界域での挙動は、大排気量車で速度域が上がっても同じようなことが起こります。

小排気量車で安全に、さまざまコントロールができるようになれば、大排気量車のライディングにも生かせるのです。それに、大排気量車でビクビクしながら走っているより、小排気量車でガンガン走った方がはるかに楽しい、というのが私の意見。

スポーツライディングの醍醐味は、バイクという乗り物を限界付近で走らせることだと思っています。バイクは楽しいのが1番!

A=Nakano:排気量の大小を問わず有効だと思います

排気量が大きいバイクで練習するのは、野球のバットを2本持って素振りするみたいなもの。自分のバイクに戻った際、軽く感じて扱いやすくなります。小排気量車なら車重が軽い分、自分のバイクでは出来なかった操作をしてもリスクが少なくなるので、マシンと自分の限界を掴む練習ができます。

Q=好みのバイクの特性ってありますか?

A=Aoki:イメージ通り動いてくれるサスペンションが好み!

私が重視するのはフロントサスペンション。自分の操作に対して相応の動きをしてくれるかどうか、です。ブレーキをかけた際にイメージ通り沈むかなど、リニアに反応してくれればしてくれるほど、安心してブレーキをかけられます。

エンジンも同じように自分のアクセルワークに対してリニアな反応を求めます。でも1番はやはりフロントサスのリニアリティですね。

A=Nakano:スロットル開け始めの数%が扱いやすいのがいい

スロットルを開け始めたときのエンジンの“ツキ”の良さを求めています。バンクしている状態から立ち上がって行く際、最初に数%だけスッと開けてグリップを作って二次旋回に入るので、ここのコントロール性は重要。反応が鈍いと「怖い!」と感じます。他にはフロントが軽くなり過ぎず、エンブレが安定しているバイクが好みです。

開け始めの10%の反応がすごく大事!

Q=走行会で安全な、抜き方、抜かれ方ってある?

A=Aoki:抜く人は気を遣う!思いやりが大切です

抜く人は、常に愛情を持って。「ごめんなさいね~」という気持ちで、時間をかけずにスパッと抜きましょう。時間がかかるのは速度差が小さいということなので、一度引いて間を作るのもいいでしょう。

また、コーナリング中ではなく、ブレーキングで抜く方が安全です。抜かれる人は自分の走りに集中してください。ラインを譲る必要はありません。抜く人は気を遣う。抜かれる人は自分の走りに徹する。これがもっとも安全です。

抜く側は愛をもって! 抜かれる側は自分の走りを維持!

A=Nakano:安全マージンが取れる直線などで抜きましょう

ビギナーや不安がある人は、目立つビブスなどを付けると抜く方も安心。ライディングパーティでもそういう人のために白ゼッケンを用意しています。また、急な進路変更は禁物。抜く方も急にインに飛び込んだりせず、距離が取れるストレートで抜くと安全です。

Q=エンジン形式によって乗り方は変わる?

A=Aoki:エンジン特性に合わせたスロットルワークが必要

GPマシンが2ストロークから4ストロークになった時は、かなり変える必要がありました。当時の4ストはエンジンブレーキが強力で、エンブレがほとんどない2ストロークマシンとは別物。回転数を合わせて丁寧にクラッチ操作する必要がありました。

一方、アクセルオンの際は2ストロークの方が気を使います。繊細なアクセルワークが必要だったので、4ストロークになった時は「こんなにラクに開けられるのか!」と思いました。私の場合、スズキのMotoGPマシンでV型4気筒(GSV-R)と並列4気筒(GSX-RR)を経験していますが、乗り方自体はさほど変わりません。

ただ、V4はパワーがドンと出るので繊細なアクセルワークが必要で、並列4気筒の方が気を使わずにラクに走らせられる、という違いはあります。

2020 GSX-RR
2008 GSV-R

A=Nakano:トルクの出方によって扱い方を変えてきます

2ストロークはパワーバンドを維持するためにコーナースピードが重要。4ストロークはトルクがあるので、それを活かして加速重視の走りです。V4は加速時のトラクションが得やすい反面、フロント荷重が掛かりにくい印象。逆に並列4気筒はトラクションが得にくいですが、上の方で伸びます。4気筒と2気筒でも特性が違うのですが、いずれにしてもエンジンの“オイシイ”回転域を使うように操作します。

エンジンそれぞれの一番“おいしい”回転域を使いたい!

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