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公道をスマートに走るための基本テクニック【スムーズなシフトチェンジのコツ】

車体の動きというビジュアルだけでなく、エンジン回転数というサウンドからも、ライダー同士なら上手か、そうでもないかが分かってしまうのがシフトチェンジ。もちろんクイックシフター付きのバイクなら、誰でもスムーズにできるのだけど……。

苦手意識を持つライダーの割合が高いギアチェンジ

公道走行におけるバイクの操作や運転シーンの中で、Uターンと並んで「苦手かも……」とか「上手になりたい!」と考えているライダーが多いのがシフトチェンジ。最近はスーパースポーツだけでなくツアラーやネイキッド、アドベンチャーなどにも、クラッチ操作なしで変速できるクイックシフターを標準装備する車種が増えてきた。

しかも以前はシフトアップのみというものが多かったが、シフトダウンにも対応するのが一般的になってきた。とは言え「愛車にそんなモノは付いていない!」という人もまだ少なくないだろう。 

シフトチェンジが苦手項目に挙がりやすい理由は、シフトミスをした際に、車体の動きとエンジン音の両方で自分でもすぐに気づかされるから。そして、ギクシャクした車体の挙動や「ブウォ〜ンッ」という不要なエンジン回転上昇による排気音は、周囲にいる人の目と耳にも明らかで、上手くできてないことがバレて恥ずかしさすら感じてしまう。 

そこで、そうならないようにと、ゆっくり丁寧に操作しようとすると、かえってスムーズさを失っていくという悪循環……。 でもコレ、〝素早く小さく〞を実践すればだいぶ改善できるのだ!

クラッチを切るのはチョットゆっくり丁寧は逆効果!

シフトチェンジに要する時間が長いほど、変速ショックは大きくなる。だからスロットル、クラッチレバー、シフトペダルは順番ではなく同時に操作するくらいのイメージを持ち、スロットルとクラッチの操作量と時間を、できるだけ減らすのが鉄則だ。

加速時のシフトアップは、開けているスロットルをピクッとほんの少し戻すだけで大丈夫。このときクラッチは、アソビをキャンセルした状態からほんの数mm切るだけでいい。ペダル操作は確実な操作が必須だが、時間は短縮したいので、変速前段階でアソビを取り除いて待ちたい。

一瞬、駆動力を抜く程度にスロットルを戻す
一瞬、駆動力を抜く程度にスロットルを戻す
引くのはほんの数mm完全に切らない!
引くのはほんの数mm完全に切らない!
事前にペダルのアソビをキャンセル
事前にペダルのアソビをキャンセル

そもそもクラッチの仕組みとは?

シフトチェンジは、対で噛み合うギアのうちどのセットを使うかを選択する作業のこと。駆動力がかかっていると、ギア同士の噛み合いが強くて切り替えられないので、クラッチを切って駆動力を断つなどして、噛み合いの力を弱める必要がある。

つまり逆に考えれば、クラッチを完全に切らなくても、噛み合いを弱めればシフトチェンジできるということ。しかも時間は、シフトペダルの操作でギアをスライドさせる瞬間だけでいいので、とくにシフトアップ時は、スロットルを一瞬戻したりクラッチをほんの数mm切るだけでいい。

クランク軸とトランスミッションの間に設けられているのがクラッチ。摩擦材を貼ったフリクション板と金属のクラッチ板を交互に重ねた構造で、これらを強く押し付けることで駆動力を伝えている
【クラッチレバーを握るとプレートが滑って駆動を断つ】クランク軸とトランスミッションの間に設けられているのがクラッチ。摩擦材を貼ったフリクション板と金属のクラッチ板を交互に重ねた構造で、これらを強く押し付けることで駆動力を伝えている
【バネの圧力でクラッチが完全に繋がっている】クラッチスプリングの力により、クラッチ板とフリクション板を密着させて、クランク側とミッション側を完全に繋げている
【バネの圧力でクラッチが完全に繋がっている】クラッチスプリングの力により、クラッチ板とフリクション板を密着させて、クランク側とミッション側を完全に繋げている
【クラッチ板がうっすら接触して半クラ状態】クラッチ板とフリクション板にわずかな隙間があり、クランク側とトランスミッション側はズルズル滑りながらも繋がっている
【クラッチ板がうっすら接触して半クラ状態】クラッチ板とフリクション板にわずかな隙間があり、クランク側とトランスミッション側はズルズル滑りながらも繋がっている
【レバーを完全に握るとクラッチ板が離れる】クラッチ板とフリクション板の間に隙間ができているため、クランク側とトランスミッション側は途切れ、力が伝わらない
【レバーを完全に握るとクラッチ板が離れる】クラッチ板とフリクション板の間に隙間ができているため、クランク側とトランスミッション側は途切れ、力が伝わらない

【シフトチェンジすると隣のギアにドッキング】
各ギアの側面にはドッグという突起と、それがはまる穴がある。ギアを横にスライドして噛み合わせることで、駆動力を伝えるギア段数を決める仕組み。1対のギアのみ駆動力が繋がり、他は空回りしている

バイクのトランスミッションは「常時噛合式」で、6速車なら6対(入出力合わせて合計12枚)のギアが常に噛み合っている
バイクのトランスミッションは「常時噛合式」で、6速車なら6対(入出力合わせて合計12枚)のギアが常に噛み合っている

シフトペダルは2段階で動作雑に踏むとギア抜けしやすい

シフトチェンジでは、今使用中のギアからドックが抜け、次のギアにドックが嵌まるという2段アクションが生まれる。そのため、慌てて蹴るようにシフトチェンジすると、次のギアのドックに上手く入らず、ギア抜けしやすくなる。最後まで確実に押し上げる、あるいは踏み込むイメージを忘れずにいたい。

クラッチレバーを使わずシフトアップを練習しよう!

素早いシフトアップの練習に、クラッチを使わない方法もオススメ。加速中、スロットルを一瞬戻すのと同時にシフトペダルを操作する。これに慣れたらよりスムーズな変速を目指し、クラッチレバーをほんの少し切る操作を加えてみてもいい。ちなみに、変速時にクラッチを完全に切るほうが、回転差によりクラッチや変速機の負荷が大きくなりやすい。

クラッチをしっかり切るほどギクシャクの原因になる

スロットルとクラッチレバーの操作を素早く小さくして、エンジン回転数が下がるのを最小限に抑えれば、ショックがなくトラクションも持続。逆にゆっくり丁寧に時間をかけると、アイドリング付近までエンジン回転が落ち込み、少しずつ半クラッチで繋いだとしても回転差が大きくてショックを消せず、なおかつバイクにダメージを与えやすい。

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