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KAWASAKIの独自アプリ「RIDEOLOGY」|スマホとコネクトで何ができる!?

PHOTO/S.MAYUMI TEXT/H.YATAGAI
取材協力/カワサキモータースジャパン ➿0120-400819 
https://www.kawasaki-motors.com/mc/

近年、目覚ましく進化しているスマートフォンとオートバイとのコネクト技術。カワサキでは、他社に先駆けてこの技術を取り入れており、専用アプリである「RIDEOLOGY THE APP」も開発。カワサキはこの分野で一歩先を歩んでいる。

カワサキと聞いて、スマートフォンとバイクとのコネクト技術を真っ先に思い浮かべる方はまずいないだろう。だが実は2023年現在、カワサキほどスマートフォンとバイクとのコネクト技術に力を入れているメーカーは他にない。 

確かに他メーカーでも、大型モデルを中心に数機種くらいはスマートフォンとのコネクトが可能なモデルをラインナップしている。

ところがである。カワサキはなんと10機種14モデルでスマートフォンコネクトが可能。これは国内販売されている公道用モデルの約半数が対応しているということ。

しかも、これらの機能を有料オプションとして用意しているのではなく、標準装備として搭載しているのだ。如何にカワサキがスマートフォンの活用に力を入れているかがお分かりいただけただろうか? 

さらにカワサキのすごいところは、他のメーカーがスマホとバイクを繋げて、着信を知らせたり、着信応答がスイッチボックスを使ってできるだけにとどまっているのに対し、専用のアプリも作ってしまっていること。

アプリに関しては、顧客情報の把握や使用状況のデータ取得といった側面の方が大きいかもしれないが、現状ここまで大々的にスマートフォンコネクトに取り組んでいるメーカーは他にない。 

また近年各社が取り組んでいるのは、スマートフォンの画面をバイクのメーターにミラーリングして、運転中のナビゲーションとして利用するシステムである。アンドロイドオートやアップルカープレイなどがこれにあたるが、どうしてもメーターへの地図表示には大きくて重いデータが必要で有線接続する必要があった。 

ところがドイツのボッシュ社は、ナビゲーション画面に必要な地図データを無線接続でミラーリングできる技術を「mySPIN」で実現。ドゥカティのムルティストラーダV4シリーズや、スズキのGSX-S1000GTへもこの「mySPIN」を提供しており、カワサキではNinja H2 SXシリーズの2022モデルから採用された。加えてカワサキでは「mySPIN」に対応した独自のスマートフォンアプリケーションを新たに開発する気合の入れようである。

2023年現在、バイクのスマートフォンコネクト技術はカワサキが牽引しているといっても過言ではないのだ。

スマートフォンコネクト対応モデル

カワサキでは、現在2つの専用アプリを開発しており、ベーシックな「RIDEOLOGY THEAPP Motorcycle」対応モデルは、現在13機種(海外仕様ふくむ)。またボッシュ系のコネクト技術「SPIN」に対応した「RIDEOLOGY THE APP Kawasaki SPIN」に対応するのは2機種となっている。スーマートフォンコネクト機能を搭載したモデルをここまで多く擁しているのはカワサキぐらいである。

RIDEOLOGY THE APP Motorcycle対応モデル

  • 2019- Ninja H2 SX SE+
  • 2019- VERSYS 1000 SE
  • 2020- Z H2
  • 2020- Ninja 1000SX
  • 2020- Z900
  • 2020- Ninja 650
  • 2020- Z650
  • 2021- Z H2 SE
  • 2021- VERSYS 1000 S
  • 2021- Ninja ZX-10R/RR
  • 2022- Z900 SE
  • 2022- VERSYS 650

RIDEOLOGY THE APP Kawasaki SPIN対応モデル

  • 2022- Ninja H2 SX
  • 2022- Ninja H2 SX SE
バイクとのスマートフォンコネクトの機能をフルに活用するには、まずAndroidもしくはiOSスマートフォンが必須。電話や音楽再生などの機能によっては市販のBluetoothインカムも必要になる

スマホからのマシンセッティング変更が可能!
[ RIDEOLOGY THE APP Motorcycle]

【ペアリング手順】

RIDEOLOGYをスマホで開くと、車両とのBluetooth接続のためにペアリングを開始する画面が立ち上がる
車両のメーター画面に「Menu」を呼び出し、「Bluetooth」を選択してペアリング機能をONにする
スマートフォンとアプリが車両を認識すると、メーター画面にコード番号が表示されるのでアプリに入力。スムーズな接続のポイントは作業はアプリから行い、スマホの設定画面からBluetoothの接続設定をしないこと
Bluetooth接続されると、メーターに「Bluetoothマーク」が表示される。ペアリング作業が必要なのは初回だけで、次回以降はスマホでアプリを起動させると自動的に接続するようになる

【チューニング】

ライディングモードを構成する「出力設定」、「トラクションコントロール(KTRC)」などのパラメーターの確認および設定変更が可能。項目に関しては、車両それぞれの電子制御装備の配備状況によるところが大きいが、モデルによっては、電子制御サスペンションの減衰力調整機能の変更までも行えるようになっている。

「Rider」設定をいくつか保存しておけば、サーキット走行やウエット路面など、状況によってすぐさま切り替えられる
走行モードに関しては、カスタマイズしたパラメーター設定を「Rider1 ~4」に保存しておくことがで可能

【メンテナンスログ】

オイル交換やタイヤ交換などのメンテナンス情報をオーナー自身で書き込んで保存しておける。このため“いつ”、“何km”で作業を行なったかが自動的に記録され、非常に便利。メンテナンスを記録としてアプリに残しておけば、次回のメンテナンスタイミングも把握しやすい

【ライディングログ】

この機能に関しては、次項の「RIDEOLOGY THE APP Kawasaki SPIN」のコーナーで詳しく解説。新機能である「クラウド連携機能」「ライディングログの3D表示」「RIDEOLOGYスコア」は、この「ライディングログ」に内包されている機能。GPS の走行データと合わせ、バイクのOBDⅡからのデータも毎秒記録。月間、週間などの走行データの統計も行う

【車両情報】

前回アプリが接続されていた時点での、ODOメーターや航続距離といった車両の情報をアプリが吸い上げてアプリ内にデータ保存している。車両のメーターを見に行かなくとも、燃料残量や航続距離などがスマートフォンで確認可能。またモデルによってはライディングモードの設定状況も表示する。Ninja ZX-10Rの場合、IMUを搭載しているので左右の最大バンク角なども記録している

「SPIN」搭載モデル用のスマートフォンアプリ
KawasakiSPIN + RIDEOLOGY THE APP Kawasaki SPIN

2つのアプリを同時に使うため複雑な印象を受けるが、「KawasakiSPIN」は、メーターにスマホの情報をミラーリング(映し出す)するためのアプリ。このアプリを介すことで、RIDEOLOGYをメーター上で操作することができるようになる。「RIDEOLOGY THE APP Kawasaki SPIN」は前項で紹介したアプリと機能や操作感はほぼ同じ。ただし、現状では「チューニング」機能が省略されたいた。

「mySPIN」ってなんだ?

ボッシュが提供する「mySPIN」とは、バイクの液晶メーターをモニター化し、スマートフォンの情報を映し出すための技術。「mySPIN」搭載車は、スイッチボックスを使って、電話の着信応答や発信、音楽プレーヤーの操作など、スマートフォンの機能をコントロールできるようになるほか、ナビアプリなどの地図画面をメーターに表示させることも可能だ。最大の特徴は、地図画面のような情報量の多いデータを“無線”で行えること。このため「mySPIN」搭載モデルは、USBなどで有線接続する必要がなく、手軽に使えるようになっている。

【ペアリング手順】

スマートフォンの「KawasakiSPIN」を開いたた状態から「RIDEOLOGY THEAPP KawasakiSPIN」を立ち上げて、車両とのBluetooth接続を開始
車両の「Menu」画面から「Setting」→「Connections」→「Mobile Devices」と進んでいくと「Pair new mobile device」にたどり着く
「Pair new mobile device」を選択するとペアリング開始。スマートフォンのBluetooth設定でペアリングを開始するとコードが送られてくるのでペア設定開始
ペアリングが完了し、アプリを起動すると自動でSPINの「車両モード」となり、メーターのMenu画面で「KawasakiSPIN」の項目が選択できるようになる

【連絡先】

【カレンダー】

「連絡先」を選択すると五十音順に連絡先を表示。選択すればもちろんそのまま電話がかけられる。また「電話」の機能ではダイアルのほか、着信履歴に返信することも可能だ
選択すると、Googleのカレンダーに書き込んである予定を確認可能。バイクに乗っいる間にこの機能が必要なシーンは少ないが、「カレンダー」の表示そのものを消すこともできる

【音楽】

別途Bluetoothインカムなどのスピーカーが必要だが、「再生」「停止」「曲送り」といった機能や音量調整など操作がスイッチボックスで行える

【マップ】

スマホのGPS情報により、現在地を表示するほか、目的地を検索してルートを表示させることが可能。ただし、初期状態ではナビ機能は有しておらず、あくまで現在地から目的地までのルートの確認にとどまる。走行中にナビを行うには、別途「TOURING SUPPORTER」や「REVER」、「Sygic」といった対応ナビアプリを利用する必要がある

走行中にナビをするためには、別途mySPINに対応する、他社の有料アプリが必要となる
文字入力か検索履歴での目的地検索とルート表示が可能。ただし走行中のナビは行われない

走りを“見える化”する「Riding Log」

上記で紹介した「RIDEOLOGY THE APP Motorcycle」および「RIDEOLOGY THE APP Kawasaki SPIN」における、もっとも特徴的な機能がこの「Riding Log」である。スマートフォンの位置情報を利用した走行ログデータと、バイクのOBDⅡからのデータも1秒ごとに記録。水温、エンジン回転数、ギアポジションといったデータはもちろん、車両によってはスーパーチャージャーのブースト圧などのデータも記録するようになっている。

メーター内にある「SPIN」メニュー内の「RIDEOLOGY THE APP Kawasaki SPIN」アイコンを選択すると「RidingLog」機能が立ち上がる
スイッチボックスの操作でメーター上から「Riding Log」を選択すると、記録がスタート。記録中はスマートフォンの電源消耗が早いので充電しながら使いたい

【ライディングログの3D表示機能】

アプリ上で走行時のバイクの姿勢を3Dアニメーションで再生することが可能。車種によってはコーナリング時にはバイクのバンク角度が変わり、サスペンションが動いてピッチングする様子も再現されている

【RIDEOLOGYスコアの表示機能】

走行ログのストップ&ゴーなどの車体の挙動情報を独自のロジックとAIを使って自動判定し、RIDEOLOGYスコアをつけるてくれる。このスコアは「どれだけ楽しく走れたか?」を指標としており、総合的なスコアがマークの表情で表されるほか、地図上の走行ルートの色の濃淡が楽しさの指標となる。

ストップ&ゴーが少なく、ワインディングなどを気持ちよく走れた場合には、ログに笑顔アイコンが付く

【クラウド連携機能】

アプリを通じて、プロフィール、位置情報、ライディングログなどを他のアプリユーザーと共有することが可能(もちろん非公開設定も可能)となっている

【グラフ】

項目は「車速」「ギア」「燃費」「エンジン回転数」「スロット開度」「水温」「ブースト温度」「加速度」「ブースト圧」。折れ線グラフで表示し、マップ上の軌跡と連動して再生される
表示するグラフの項目は任意で選ぶこともできる。マップの走行軌跡はスマートフォンのGPS情報を元に記録されているので正確だ

AIが走りを進化させる!?

カワサキのスマートフォンコネクトを使ってみて驚いたのは、「ライディングログ」機能である。この機能はツーリングというより、サーキットなどでのスポーツライディングでとても役立ちそうな印象を受けた。 

大抵の場合、サーキットでは走ることに夢中で自分の走りを冷静に分析することなどほぼ不可能である。しかし「ライディングログ」を使えば、コーナーでの最大バンク角といった記録はもちろんだが、「このコーナーでは3速だとスロットル開度が何%でエンジン回転数が……」なんて分析も可能。

〝2速で入るべきか、3速の方がいいのか?〞なんて迷った場合には、コーナーの脱出速度やその後の伸び具合などからどちらがいいかの判断が可能。ライダーの感覚だけでなく、走りをデータとして視覚化して比較することができる。実はこれとんでもなくスゴイことである。

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