1. HOME
  2. カスタム
  3. プリロード整で劇的に乗りやすく!/難しくないサスペンション入門➂

プリロード整で劇的に乗りやすく!/難しくないサスペンション入門➂

大排気量スポーツバイクのサスペンションは、さまざまな調整機構がついているけれどイチバンに触るべきは、大抵のバイクが装備している「リヤショックのプリロード」。乗りやすさと安全性を確保するために、まずはここから調整だ!

サスペンション入門の第一歩 自分の体重に合わせてまずプリロードを調整しよう

バイクが〝曲がる性能”を発揮するには、正しい車体姿勢と、きちんと路面を追従できるストローク量が重要。それを決めるのが「プリロード調整」。まずはメーカーの標準設定で、下に記した方法でストローク量を測ってみよう。

当然ながらライダーの体格でステップ3の〝乗車1G”の数値が変わるが、これをステップ2で計測して空車1Gから引いた値が25~30㎜ならおおむねOK。もし足りない場合( 25㎜以下)はプリロードを弱め、多すぎたら強めよう。そして調整後は1Gと乗車1Gを再び計測して、ストローク量を確認しよう。

とくに重要なリヤのストローク量を3つの状態で計測する

Step 1 : 0G リヤタイヤを浮かせた状態で計測

0Gの計測結果:525mm 
少々大変だけれど、ひとりがハンドルを支え、二人でタンデムステップ等を持ち上げて、後輪を浮かせてリヤショックが伸び切った状態を計測。この数値はリヤショックを交換したり、車高調整機能をイジらなければ変化しない

計測前にチェーンの張りを確認。タイヤの空気圧も忘れずに!

チェーンの張りがキツ過ぎると、バイクの自重やライダーが跨ってもリヤショックが沈み込まないので要注意。またタイヤ空気圧が正常でないと、ハンドリングが大きく変わるので計測前に必ずチェック!

計測する起点と終点をマーキングで明確にする

ストロークを計測する場所は、後輪のアクスル軸と、その真上のテールカウルやウインカーなど目印にしやすい場所(マスキングテープ等で印をつけるのがおススメ)を決めて、その間隔を測る

Step2:1G バイクの自重で沈むストロークを計測

1Gの計測結果:515mm  0G(Step1)から1G(Step2)の沈み込み量:525mm-515mm=10mm
ハンドルを支えて車体を直立させ、バイクの自重で沈み込む量を計測。この数値はプリロード調整を行うと変化する。ここで0G から1Gを引いた数値はあくまで参考値だが、あまりにストロークが少ないと路面追従性が悪くて危険だ

Step3 :乗車1G ライダーが乗って沈み込むストロークを計測

乗車1Gの計測結果:485mm  1G(Step2)から乗車1G(Step3)の沈み込み量 :515mm-485mm=30mm  本誌の推奨は1G-乗車1Gで25~30mmのストローク
テスト車両の場合、Step2 の1G から乗車1Gを引くと30mmだったので、リバウンドストロークは適切といえる。ちなみにモデルの編集・藤田は体重70kg で、ウエアやヘルメット等を加えた装備重量は約80kgだ

最近はプリロード調整しにくいモデルも多い……

……上で書いたコトと矛盾している様で心苦しいが、最近はハンドブックに「販売店で調整してください」と記されるような、調整作業が難しい車種も少なくない。というか、調整用のフックレンチが車載工具に付属しない場合も多い(オプション、またはバイク用品店で購入しよう)

小~中排気量車でもリヤのプリロードだけは装備する Honda レブル250

排気量やスポーツモデルに限らず、ほとんどのバイクのサスペンションに、少なくともリヤのプリロードだけは装備されている。ということから分かるように、プリロード調整は安全・快適に乗る上で必須なのだ

サスの硬さは「伸びる」時に引っ張って確認

プリロードのかかり具合を見ようとしてハンドルやシートをグイグイ押して硬さを確認しても、あまり意味が無い。写真のようにグイっと押し沈めた後に、意識して“引っ張り上げ”て、動きの速さや抵抗感を確認。ジワ~とゆっくり戻り、重さを強く感じるようだと伸び側減衰力が効き過ぎだ  

メーカーが想定する標準体重ってどれくらい? 

国内メーカーは明確に公開していないが、たとえばドゥカティは「ライダーの衣料込みの体重を80~90kgと想定」とハンドブックに記載。ヘルメットやレザースーツなどは相応に重量があるので、おおむね裸で70kgくらいだろう。

関連記事