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伸び側減衰力の強弱は誰でも体感できる!  難しくないサスペンション入門④

自他共に認めるライテク初心者である編集・藤田でも本当に減衰力の違いを感じることができるのか? 伸び側減衰力だけをイジってワインディングを走ってみた!

違いの分からない男、編集・藤田が体験!伸び側減衰力の「硬い・柔らかい」で走りはどう変わるのか?

自分の愛車で、サスセッティングには何度も挑戦した。もちろん「チョット良くなったな」という実感が得られることもあったけど、 「このセッティングこそが自分にベスト!」と言えるまでには至らなかった。その時は「僕にはセッティングの違いが分からないかも……」と、結構落ち込んだものである。

そんな〝違いの分からない男?が今回、モンスターで伸び側減衰力の最強と最弱を乗り比べてみた。はたしてその変化を感じ取ることができるのか? 不安を抱えつつ乗り比べてみると……結果は歴然。単純に「安心感」と「操りやすさ」がまったくの別物で、最弱の方が遙かに楽しく、ライディングが上手になったような錯覚さえ覚えた。

ではなぜ、自分の愛車では感じられなかったのか。それはズバリ、2~3クリックずつしかセッティングを変えず、何も分からないまま伸び側の次に圧縮側……と、イジる箇所を変えてしまったからだった。 まずは伸び側を大きく変えてみる。これが減衰力の強弱によるフィーリングの違いを知る第一歩だったのだ。

モンスターで必要な工具は六角棒レンチだけ

試乗したのはモンスター1200Sで、減衰力調整は全25段階。標準セッティングの想定体重は、衣料などの装備込みで80 ~ 90kg。藤田の体重が70kgだから、装備の重量を合わせると想定体重に近い

Test : 1 まずは標準セッティングで乗ってみた  ほとんどの人が標準設定に大きな不満は感じないモノ

『……まぁ、こんなもんじゃないですかね』

いつも乗っているモンスター。とくに不安や不満はないし、「まぁ、可も無く不可も無くって感じ?」。本当に違いが分かるの!?

Test : 2 前後の伸び側減衰力を「最弱」にした バイクが軽く感じ、思い通りのラインで曲がれて気持ちいい!

最初に感じたのは、軽く重心移動するだけで車体がスパッとバンクしていくこと。S字区間では、標準よりも圧倒的に切り返しが軽かった。旋回中もサスが路面に追従し、グリップ感を得やすい

『S字カーブで車体が勝手に立ち上がって鋭く切り返せる』⇒スッと起きて⇒パタッと倒せる⇒『旋回中のグリップ感が分かりやすい』

Test : 3 前後の伸び側減衰力だけ「最強」にした

狙った地点から曲がれずリーンも緩慢な印象に……『特に下りのコーナーは恐怖しかない!』『インに着けず膨らんで怖い……』

抜重した所から曲がれず、少し遅れて車体が傾き始めるし、最弱に比べてリーン自体が重い印象。さらに下り坂になるとリヤの接地感がすごく希薄に感じ、どんどんアウト側に膨らんでしまう
普通に真っ直ぐ走るだけでも、サスが硬いと路面からの突き上げが強く、道路の細かい凹凸もゴツゴツと感じた。スロットルの操作に車体が敏感に反応している気がして、長時間走ると疲れそうだ……

Columm 編集・藤田でもできるセッティングのコツ

●どのバイクでも使う工具はこれぐらい

右から六角レンチ(マイナスドライバーの車種もある)で減衰力。スパナでフロントのプリロード。フックレンチはリヤのプリロードを調整(手で回せる車種もある)する

●BMWはメインキーでアジャスターを回せて便利

S1000RRなど、主にスポーツライディングを楽しむ車種に装備。キーの先端がマイナスドラーバーの代わりになる。調整段階も数値で示しているので分かりやすい

●まずは伸び側減衰力だけ調整するのがオススメ

表記がある場合は「REB」や「TEN」と書かれている方。少し前の車種の場合、フロントはフォークトップ、リヤはボトム側に付いている調整が伸び側であることが多い

●大きく振った方が変化が分かりやすい 『最強⇔最弱』 
少しずつ変えるよりも大きく変えた方が違いは分かりやすく、好みの特性も把握しやすい。試走する場所もひとつのコーナーだけでなく、いろんなシーンで試してみよう

 ●ノーマルサスなら最強や最弱にしても危なくない ―調整幅の限界値ではない― 
最強や最弱が、そのサスペンションが備えている調整幅の限界値ではない。どちらにしても安全性が破綻しないマージンが取られているので、怖れることなく一杯まで回そう 

●一度に調整する箇所は1つにしないと分かりにくい 
伸び側と圧縮側を同時にイジってしまうと、どの部分が乗り味に影響しているのか分からなくなってしまう。プリロードも含めて調整は1カ所ずつにすること。最初は伸び側を試すだけで、十分その違いは分かるはずだ   

●結局は「怖くいない方」に合わせていく作業なのだ 
多くの人は何を最終目標に調整すれば良いのか分からないだろう。しかしそこは難しく考えず、2パターン試した結果「怖くない方」を探そう。この感覚は体調にも左右されるので、1回だけでなく何度も繰り返して自分の傾向も知っておこう。

例えばこんな感じ▶︎『最弱と最強を試す』『最弱の方が怖くないので標準と最弱の中間を試す』『まだ最弱の方が怖くないなら現状と最弱の中間を試す』『この作業を繰り返す』

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