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リプレイス品のメリットを知る|カスタムパーツの基礎知識【アクスルシャフト】

カスタムはバイクの醍醐味のひとつ。もっと愛車を楽しくするために、パーツ交換の「効能」から学ぼう!

まだあった! 走りが激変するカスタムパーツ

パーツメーカーによる新製品の開発と、ユーザーからの認知度が、この10年で急激に進んでいるのがアクスルシャフト。電子制御デバイス関連を除けば、純正部品と換装して使うカスタムパーツはすでに開発し尽くされ、広く普及している……と思っていたが、意外にもかなりの〝大物〞が残されていた。 

とはいえ、まだまだ一般的なカスタムパーツというわけではない。以前は製品が少なかったこともあり、ベテランライダーの中にも「車軸を交換したくらいで、何か変わるなんて……」と、その効果を疑っている人も少なくないだろう。とくに最新スーパースポーツの場合、純正でもクロモリ素材を使用している車種がある。これを社外品のクロモリに変更したとしても……と、半信半疑になるのも当然である。 

しかし実際のところ、純正よりも素材にこだわり精度を高めた社外品に換装すると、乗り味に変化が生まれることは多いのだ。 

アクスルシャフト交換の効果を体感したいときは、直前にノーマルの状態で一度乗り、直後に換装して同じように走るのがオススメ。また、フロントとリア、ともに交換を予定している場合、当然ながら同時ではなく個別に換装するほうが、それぞれの効果を把握しやすい。まずは前後どちらか片方でよいので、ぜひ新たなカスタムパーツを試してほしい。

基礎知識①:削りだし製品が主流

一昔前、純正アクスルシャフトにはスチール素材が使われていた。そして次第により強度がある高張力鋼やクロモリ鋼が導入されるようになったのだ。 

これに対してカスタムパーツメーカーのアクスルシャフトは、クロモリ鋼またはチタン合金のいずれかを素材とすることがほとんど。それぞれのメーカーが素材と熱処理にこだわり、無垢棒の状態から削り出して、コストも重視する純正以上の優れた精度と、各メーカーの理論に基づく剛性を与えてある。 

また、切削後の表面処理にこだわるメーカーも多く、クロモリ鋼の高度なメッキ処理やチタン合金の陽極酸化処理で、耐久性を高めつつ〝チラ見え〞の美しさも狙ったシャフトが多いのだ。

主な素材は2種類

クロモリ
クロムモリブデン鋼の略で、鉄にごくわずかのクロム、モリブデンなどを添加した低合金鋼の一種。一般的なスチール素材より強度や硬度があり、粘りやしなやかさもある。

・チタン
正確にはチタン合金で、チタンに他の鋼材をブレンドして製造。バイクパーツにはTi-6Al-4V(64チタン合金)が使われることが多い。軽くて強く、腐食に強いのが特徴。

基礎知識②:足まわりのブレを軽減する

アクスルシャフトの交換で体感できる効果は、車種によって異なるし、フロントかリアかによっても違ってくる。 

一般的には、フロントはハンドリングの軽快感が増したり、サスの動きがライダーに伝わりやすくなったり、接地感を含めてタイヤの状態がわかりやすくなる傾向。リアの場合、同じく接地感が増したとか、乗り心地が良くなったと感じることなどが多いようだ。 

例えば同じ〝クロモリ〞でも、JISに規定のある材料で11種類もある(SCM〇〇〇という材料記号で表記)。どのタイプの素材を選択するか、どのように加工するかでも剛性に違いが生まれる。また、純正シャフトの仕様によっても、比較したときにどれほど剛性に違いがあるのかは異なる。 

とはいえ基本的には、社外品シャフトのほうが純正より高剛性。これが足まわりの動きに変化をもたらし、ライダーに換装の効果を感じさせるのだ。

フロントならこんな効果が期待できる!

①:接地感が分かりやすくなる!

②:サスペンションの動きがスムーズに

③:ハンドリングが軽快に!

基礎知識③:精度が高く、摩擦も低減

社外品のカスタム用アクスルシャフトは極めて高精度。これにより、ホイールベアリングにとって理想的なクリアランスや、内側と外側の平行を生み、フリクションロス低減を図る。 

また、特殊な表面処理を用いることでシャフトとベアリングの摩擦係数低減を図った製品も多く、これによりホイールが軽い力で回転するようになる。 

これらの結果、とくに安い鉄シャフトを使ったバイクの場合は、車体を押し引きしただけでアクスルシャフト換装の効果を体感できることも少なくない。 

なお、シャフトが持つ性能を最大限に発揮させるためには、適切な装着とトルク管理、あるいはブレーキやドライブチェーンなどのメンテナンスも重要となることは言うまでもない。

基礎知識④:効果が実感できるのはサーキットだけじゃない!

カスタムシャフトはややマニアックな製品で、サーキット向きとも思われがちだが、そんなことはまるでない。「基礎知識③」でも触れたが、押し引きで効果を実感できることもあるし、市街地の交差点を曲がっただけでも、接地感がアップしたことがわかる車種もあるのだ。 

ちなみにロードレースの世界では、アクスルシャフトの材質にチタン合金を使うこと(あるいは認定状態からの材質変更)が禁止されている場合がほとんど。ただし換装するのがクロモリシャフトなら、純正がどんな素材であっても、同じスチール系なので基本的には問題ない。 

とはいえ参戦を考えている場合は、それがエンジョイレースであっても、念のため事前にレギュレーションの確認を!

基礎知識⑤:スポーツバイク以外にも効果的だ!

アクスルシャフト交換による恩恵が大きい車種として、よく挙げられるのがハーレーダビッドソン。なかでも超重量級のツーリング系は、「フロントのシャフトを交換したらギャップ通過時の安定性が向上した!」なんて話をよく聞く。 

また、純正がスチールシャフトを使っている車種もまだ多くあり、それらの車両をクロモリ鋼やチタン合金のシャフトに換装すると、剛性や精度などが大幅に向上する。純正との性能差では、廉価な小中排気量モデルのほうが大きくなる傾向だ。 

フロントフォークの剛性が低めの機種も、社外アクスルシャフトの導入で剛性アップが期待できるため、場合によってはバランスが崩れるかもしれないが、効果は実感しやすいだろう。

車重があり、荷物も多く積載可能なモデル【HONDA Gold wingなどのツアラーやメガクルーザー】
フォークが長くパイプ径が細いモデル【HONDA Rebelなどのクルーザータイプ】
比較的安価な足まわりの小排気量モデル【SUZUKI|GIXXERなど】

 

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