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最新のバイクに搭載される電子制御 それぞれの役割を理解していますか!?【前編】

日進月歩の勢いで、進化を続けているバイクの電子制御システム。わずか10年前には思いもよらなかった技術が、市販車に実装される昨今だ。バイクの未来を語るには、電子制御を素通りするわけにはいかない!ここでは現代の電子制御デバイスの基礎知識をおさらいする。

今、一番注目すべきバイク関連技術! 電子制御デバイスがライディングにもたらすもの

バイクの技術革新の歴史を振り返ると、時代によって特定の分野が飛躍的な進歩を遂げている。 2000年代に入り、著しい進化をみせたのがタイヤだと言われている。そして、この10年で最も大きく発展したのが電子制御デバイスだろう。

きっかけはFI(フューエル インジェクション)が一般化したことだ。 黎明期のFIはパワーデリバリーやパワーフィールに難があったものだが、年を経るごとに技術が蓄積され、キャブレターに遜色ない、いやキャブレターでは不可能な緻密な制御を実現し、バイクの燃料供給システムに不可欠なものとなった。

エンジンの吸入負圧に頼ることなく、任意に燃料供給が可能なFIのメリットは、パワーデリバリーに革命をもたらした。そのFIの頭脳であるECUは、用途が限定されたコンピュータだ。ブレーキやサスペンションも電脳化され、FIと情報を共有して走りを統合的に制御することを可能にした。

FI化が電子制御のファーストインパクトであるとすれば、セカンドインパクトにあたるのがIMUの登場だろう。車体姿勢に関する詳細な情報を提供するIMUを得たことで、トラクションコントロールを始めとする、出力制御の技術は劇的な性能アップを果たしたのだ。

自動運転も実用化が始まり、電子制御デバイスの重要性は高く、強くなる一方だ。一体、次はどんな技術が登場し、我々を驚かせてくれるのか? これは見逃せない。

FIとライド・バイ・ワイヤ

電子制御デバイスが急速に進化した理由の一つが、吸気システムのFI化だ。 バイクへの採用例が増え始めたのは2000年前後。環境問題に対応し、排気ガスの清浄化を図るには、吸気負圧に頼らず、燃調ができるFIが必須だったからだ。 そして“任意で燃料の使用量を調整できる”ことで、パワーデリバリーのコントロールが大幅にやりやすくなった。

例えば、FI以前のトラクションコントロールは、パワーをカットするのに点火カットや点火時期を変更するしかなかったが、FI化で燃調という要素が加わり精度と自由度が飛躍的に向上したのである。

黎明期のバイク用FIは、エンジンの燃焼を最適の状態に保つことを主目的としていた。だが、近年はパワーデリバリーのコントロールに重きが置かれる傾向が高まっている。トラクションコントロールはもちろん、エンジンブレーキコントロール、ウイリーコントロール、ローンチコントロールといった、速く走るため、効率良くパワーを路面に伝えるためのファクターとしても、FIの燃調コントロールが活用されている。クルーズコントロールなどの快適機能にも、FIの存在が欠かせない

FIを構成する重要部品であるスロットルボディ。燃料を噴射するインジェクターのサイズは固定なので、燃料噴射量の調整は噴射時間で行う。燃料を多く使いたい場合は、より長い時間噴射する

FIの可能性を広げたのがスロットル・バイ・ワイヤ。スロットル開度は、情報としてECUに送られるが、バタフライバルブの開度と燃料噴射量はECUが判断し、パワーデリバリーを調整する

近年の電子制御は各機能のモジュール化が進み、モジュール同士で情報をやりとりしながら統合的に制御を行っている。モジュール間を行き来するデータ量が増えるのに伴い、配線も増加。多くのデータを処理しながら、物理的に配線を増やさないための通信技術がCAN(ControllerArea Network)BUSだ。電子制御デバイスを多用するバイクは、CAN BUS通信の採用が増えている

電子制御デバイスの可能性を広げたIMUの登場

電子制御を進化させた立役者の一つがIMU(Inertial Measurement Unit)。IMUは物体の加速度と角速度を計測するセンサーの集合体で、簡単にいえばバイクの角度やどれくらいの勢いで動いているかを検知する機械だ。

バンク角をリアルタイム表示する機能は、IMUから得たデータのひとつだ。IMUの検知情報を、車速やブレーキ入力、スロットル開度などのデータと組み合わせることで、バイクがどういう状態で走っているかを、かなり正確に判断できる。トラクションコントロールやウイリーコントロールなどの制御には欠かせない要素だ。

現在主流なのが6軸IMUだ。これは前後方向に回転するピッチ軸、左右方向の転回のヨー軸、左右にバンクするロール軸の3軸の角速度を検知する。車体の前後、左右、上下の3軸の角速度を検出することで、6軸IMUと呼ばれる。IMUは計測装置であると同時に演算装置でもあり、算出・推定した車体姿勢情報を、FIやABSのECUに提供する
IMUのデータ検知はリアルタイムで、100分の1秒以下で演算処理が行われ、車体姿勢情報が算出される。人間の反応速度を超えた制御が実現したのは、そのスピードのおかげだ

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