【ロイヤルエンフィールド Bear 650】アメリカ育ちのスクランブラー
11月上旬、イタリア・ミラノで開催されたEICMA 2024で、ロイヤルエンフィールドはニューモデルとなる「Bear 650」を発表した。2018年から続く650プラットフォームを継承しつつ、各所をブラッシュアップ&新規アイテムを投入している。EICMA開催直前に米国で開催された試乗会の模様をレポートする。
PHOTO/ROYAL ENFIELD TEXT/T.KOHNO
取材協力/ピーシーアイ https://www.royalenfield.co.jp/
モダンフレバーをトッピングしたアメリカ育ちのスクランブラー
ダブルクレードルフレームに、排気量648ccの空冷直列2気筒エンジンを搭載。リア2本ショックにアップハンドルなど、このディテール解説だけを聞くと、ロイヤルエンフィールド(以下RE)が発表したベア650は、コンチネンタルGT650やINT650といった、REの2気筒シリーズの中でも英国クラシックスタイルで人気を博しているモデルのファミリーと認識されるかもしれない。
もちろん共有するプラットフォームはあるが、それだけではこのモデルの本質を見誤るだろう。
ベア650は、新たに倒立フォークを採用。ツインショックも新設計となり、兄弟モデルであるINT650と比較して、フロント20mm/リア27mmもサスペンションストロークが伸ばされている。また、倒立フォークやフロント19インチホイールの装着に合わせて、ステアリングヘッド周りにガセットを追加し、フレームの剛性バランスを高めている。
この倒立フォークに加え、TFT液晶モニターや、多彩なメニューを操作するためのジョイスティック、フルLED化された灯火類、リアABSをカットできる走行モードなど、英国クラシックなINT650とは異なる、モダンなパッケージがベア650の特徴となっている。
エンジンも一味違う。REの2気筒エンジンシリーズ初となる2-in-1サイレンサーを採用。最高出力には変更がないものの、全域にわたって約8%トルクが増大し、最大トルクも向上している。
このエンジンやシャシーまわりの改良は、オンロードはもちろんオフロードでの走行も十分に考慮し、あらゆるシチュエーションでの扱いやすさと高い走行性能を両立させている。
実際に走らせると、その違いは明白だ。フロント19インチホイールのハンドリングは非常に大らかである。18インチのINT650にも独特の大らかさがあったが、ベア650はストロークの長い前後サスペンションをオンロード寄りにセッティングしたことで、旧車の19インチホイール装着モデルとは異なる高い剛性感を得られている。
それに加え、幅の広いハンドルとステップ位置の変更でゆったりとした膝下ポジションを採用。低中回転域でパンチ力が増したエンジンセッティングによって、スロットル操作やライダーのアクションに対する車体の反応が良くなり、車体が軽く感じられると同時に、キビキビと動く軽快感が生まれている。
見た目はスクランブラーモデルだが、そのステレオタイプのイメージでは語り尽くせない魅力がある。ベア650はそんなバイクに仕上がっていた。
エンジン | 空油冷4ストロークSOHC4 バルブ直列2気筒 |
総排気量 | 648cc |
ボア×ストローク | 78.0×67.8mm |
圧縮比 | 9.5:1 |
最高出力 | 47.4ps/7150rpm |
最大トルク | 56.5Nm/5150rpm |
変速機 | 6段 |
フレーム | スチールチューブラーダブルクレードル |
サスペンションF | SHOWA 製SFF-BPφ43mm倒立フォーク130mmストローク |
R | SHOWA 製ツインショック115mmストローク |
ブレーキF | φ320mmシングルディスク+2ピストンキャリパー |
R | φ270mmシングルディスク+2ピストンキャリパー |
タイやサイズF | 100/90-19 |
R | 140/80B17 |
全長×全高×全幅 | 2216×855×1160mm |
ホイールベース | 1460mm |
シート高 | 830mm |
乾燥重量 | 214kg |
燃料タンク容量 | 13.7L |
価格 | 未定 |