現代バイク用語の初心者講座【減速比ってなに?】
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何かと専門用語が多いバイクの世界。自分でも使うけど、実はよく知らない……なんていう言葉も多いはず。「今さら」なんて言わずに、Let’s Study!
エンジン出力と速度をバランスさせる減速比って何?
レシプロエンジンは、エンジン回転数によって発生するトレルクが変化する。そのため、エンジンパワーの〝オイシイ〞部分を使うには、車速によって適切なギアを選択しながら走る必要がある。そこでギア比の異なる複数のギアを組み合わせたミッションが欠かせない。
エンジン回転数より後輪の回転数は少なくなるが、その回転数減少に関わるのはミッションだけではない。
エンジン回転数とはクランクシャフトの回転数。そのクランクシャフトには、プライマリーギアが備わっている。このプライマリーギアがミッション側のギアを回す。一般的にミッション側のギアの方が歯数が多く、エンジン回転はここで一旦減る。これを「一次減速比」と呼ぶ。 ミッションは選択する段数によってギア比が異なるので、ミッションを介したギア比は「変速比」と呼ぶ。
ミッションの最終的なアウトプットとなるカウンターシャフトには、ドライブスプロケットが取り付けられ、チェーンを介してホイール側のドリブンスプロケットを回転させる。ここでも回転数が減速されるので、ドリブンスプロケットとドライブスプロケットのギア比を「二次減速比」と呼ばれる。
一次減速比、変速比、二次減速比を掛け、これらを総じたエンジン回転数と、後輪の回転数の比が「減速比」となる。減速比は、最高速度や加速性能に大きく関わる。二次減速は比較的容易に変更可能なので、チューニング手法としても有効だ。
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ミッションのギア比(変速比)は、そのバイクに求められる走行性能や速度域、エンジンの出力など様々な要素を鑑みて決められている。高回転の使用が前提のハイパフォーマンスモデルは変速比が小さいローギア傾向。クルーザーなど低回転型のエンジンではハイギア傾向が強い
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プライマリーギアは、クランクシャフトの回転軸と同軸上にあり、その回転数はエンジン回転数と同一。プライマリーギアと噛み合うミッション側のギアは、クラッチのハウジングと一体化しているのが一般的。エンジンが動いている間、一次減速の二つのギアは常に回転し続けている
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もっとも馴染み深い減速比が、チェーン駆動車のドライブスプロケットとドリブンスプロケット。変更することで、その効果を体感しやすい。シャフトドライブ車の場合、ギア比の変更は困難で現実的ではないが、シャフトを駆動するギアで二次減速は行われている