1. HOME
  2. テクニック
  3. 【ライダーの憧れ?!”ヒザを擦りたい”】Part02:定常円でフォームを固める

【ライダーの憧れ?!”ヒザを擦りたい”】Part02:定常円でフォームを固める

サーキットでのスポーツライディングに目覚めたライダーたちが、最初に憧れることと言えば……いつの時代もやっぱり「ヒザ擦り」のはず。カッコよく、見ていて安心できる理想的なフォームでのヒザ擦りは、要点をひとつずつしっかり押さえてクリアすることで、きっと達成できる!!

PHOTO/S.MAYUMI TEXT/T.TAMIYA
取材協力/本田技研工業 TEL0120-086819
https://www.honda.co.jp/motor/
ヤマハ発動機 TEL0120-090-819
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/

定常円をぐるぐる回ってコーナリングフォームを固める

正しいライディングフォームの要点を覚えたら、そこから先はマシンを走らせながらマスターしていく必要がある。静止状態のマシンは直立しており、車体がバンクして遠心力が働く実際のコーナリングとは条件が異なるためだ。

「もしも許可を得られるような練習場所があるなら、パイロンなどをひとつだけ置いて、走るラインのことはあまり考えずグルグル回りながら、フォームを固めてバンク角や速度をバランスさせていく方法が、もっとも安全かつ確実だと思います」 

このような中野さんの提案により、平嶋さんもまずは駐車場で特訓。最初こそヒザと地面がかなり遠かったが、自分のペースとタイミングで少しずつバンク角を増やし、まずは2枚重ねニースライダーを使用したヒザ擦りに成功した。

「最初のうちは擦ったというより地面に一瞬触れたという感じだったのですが、フォームを安定させることを意識してからはバンク角がキープできるようになり、長く続けられるようになりました。また、持続できるようになったことで、擦りはじめたらニースライダーを押す足の力をどれくらい抜けばいいのかも感覚的にわかるようになり、ギクシャクしなくなったように思います」 

このように喜んだ平嶋さん。そしてすぐに本来の薄いニースライダーに着け替えると、こちらでもあっさりとヒザ擦りを決めた!

【まずは平嶋さんが乗り慣れた愛車で挑戦】本来はセパレートハンドルのスーパースポーツのほうがヒザ擦りに適したフォームになりやすいが、安心感を得るためまずは乗り慣れた愛機のホンダ・VTR250で練習!
【まずは平嶋さんが乗り慣れた愛車で挑戦】本来はセパレートハンドルのスーパースポーツのほうがヒザ擦りに適したフォームになりやすいが、安心感を得るためまずは乗り慣れた愛機のホンダ・VTR250で練習!
【パイロンを目印にぐるぐる回って練習】環境が許すなら、定常円を周回しながら安定するフォームを探り、徐々にバンク角を深くして、自分のタイミングでヒザ擦りまで持ち込む練習方法が、安全かつ確実だ
【パイロンを目印にぐるぐる回って練習】環境が許すなら、定常円を周回しながら安定するフォームを探り、徐々にバンク角を深くして、自分のタイミングでヒザ擦りまで持ち込む練習方法が、安全かつ確実だ

最初は無理ヒザでもOKヒザを擦る安心感を知ろう

ヒザ擦り経験がないと、ニースライダーが地面に触れたときのちょっとした振動やノイズや抵抗に驚いて“ビクッ”となりがち。平嶋さんのように、それが理由でヒザを閉じてしまう場合もある。最初は必要以上にイン側の足を開いたいわゆる“無理ヒザ”でもいいので、まずは擦ることに慣れたい。

ヒザ擦り成功の秘密兵器!
2枚重ねスライダーを用意

過度な“無理ヒザ”はフォームを崩す原因にもなるので、今回は2枚重ねで厚みを増したニースライダーを用意。ムリのないバンク角でヒザ擦りの感覚を身体に染み込ませていった
過度な“無理ヒザ”はフォームを崩す原因にもなるので、今回は2枚重ねで厚みを増したニースライダーを用意。ムリのないバンク角でヒザ擦りの感覚を身体に染み込ませていった
過度な“無理ヒザ”はフォームを崩す原因にもなるので、今回は2枚重ねで厚みを増したニースライダーを用意。ムリのないバンク角でヒザ擦りの感覚を身体に染み込ませていった
中野さんが現役だった時代、MotoGPのウエットレースでは、ヒザを擦ることで安心感を得るために2枚重ねのニースライダーを自作して使うようになった。小柄な中野さんの必需品だった
中野さんが現役だった時代、MotoGPのウエットレースでは、ヒザを擦ることで安心感を得るために2枚重ねのニースライダーを自作して使うようになった。小柄な中野さんの必需品だった
現在は、レザースーツメーカーが製品として厚みのあるニースライダーを用意していることも多く、ウエットレースではこれが使用される
現在は、レザースーツメーカーが製品として厚みのあるニースライダーを用意していることも多く、ウエットレースではこれが使用される

現役当時、ヒザを擦るのは調子のバロメーターでもありました

画像の説明 自分の走りが調子悪いと感じるときに、ニースライダーのどこを擦っているか確認すると、いつもと違う場所が削れていることはよくありました。ニースライダーの削れ方で、「いつもより身体が入りすぎているのかも」とか、逆に「入っていないのかも」なんて分析もできるので、ヒザ擦りはけっこう奥深いんです。(中野真矢)

速度とバンク角がバランスするフォームと重心位置を探る

バイクのコーナリングにはさまざまな力学が働いているが、これらをかなりシンプルに考えるなら、速度(=遠心力)とバンク角のバランスで成り立っている。また、ある程度のスピードがあるほうが安定しやすい。定常円で旋回しながら、速度とバンク角が釣り合うポイントを見つけると、安定感を得られる。そのときに大切なのは、適正なフォームをキープすることだ。

【一度「擦れる」感覚を知ればいつものスライダーでもラクラク】ぶ厚いニースライダーを使って、ヒザ擦りに必要なライディングフォームと速度、バンク角を身体で覚える。すると、そこから少しだけ多めに足を開いたり、腰を落とすなどのアジャストが、簡単にできるようになるのだ
【一度「擦れる」感覚を知ればいつものスライダーでもラクラク】ぶ厚いニースライダーを使って、ヒザ擦りに必要なライディングフォームと速度、バンク角を身体で覚える。すると、そこから少しだけ多めに足を開いたり、腰を落とすなどのアジャストが、簡単にできるようになるのだ
【手放ししても安定するほど下半身ホールドを意識】ヒザを擦ることに意識を集中しすぎると、地面に近づこうとして、腕に力を入れてハンドルにしがみつくようなフォームになりやすい。実際は、ほぼ下半身のみでマシンをホールドして、車体の挙動を安定させるのが理想だ
【手放ししても安定するほど下半身ホールドを意識】ヒザを擦ることに意識を集中しすぎると、地面に近づこうとして、腕に力を入れてハンドルにしがみつくようなフォームになりやすい。実際は、ほぼ下半身のみでマシンをホールドして、車体の挙動を安定させるのが理想だ

関連記事